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被せられたものは、まだ冠ではない
ヤスオがまだ戸惑いを抱えたまま沈黙していると、給仕服の二人の男が静かに近づいてきた。
彼らの手には、奇妙な形をした金属製のヘルメット。見た目は奇抜だが、威圧ではなく、異様な静けさを漂わせていた。
「本日のお客様には、特別な処置を行います」
一人の男が声を低く、機械的に告げる。
イシコは黙ったまま、軽く頷いた。
ヘルメットは、イシコの頭上で一瞬光を反射し、そしてそっと被せられた。
重くはないが、確実に現実感を変える、異質な存在感を持っていた。
「これから、あなたの記憶の一部を……調整します」
男の声は冷たく、店のクラシックな空気とは不釣り合いだった。
ヤスオは息を呑む。目の前で、愛する人が何かの儀式に参加している。
その瞬間、彼は「これが何を意味するのか」を直感的に理解したが、口を開くことはできなかった。




