自己紹介できるかな?
「オレのなまえは、やまと!おおきいって字にわって書くんだ、ってせんせーがいってたぞ!」
先に自己紹介をしてくれたのは、ここへ1番乗りに来た、元気いっぱいな男の子だった。きっと、漢字は大和と書くのだろう。先ほど、入江先生は彼らの保護者と言っていたが、彼らにとっても先生なのだろうか。
「わ、わたしは、ねお…。漢字は…まだ、よくせつめいできないの…、ごめんなさい…」
次に自己紹介をしたのは、少し気弱そうな女の子。大和くんと遊んでいた時とは違い、私たちを前に緊張しているようだ。
「ぼくは、だいちだよ!よろしくね!」
最後に、3人の中で1番小さい男の子。小さいが、1番元気があり、明るい子だ。どうやら、鼻を怪我したのか、絆創膏を貼っている。2人から大ちゃんと呼ばれていたのは『だいち』という名前からのようだ。
「ねおとだいちの漢字は、これだ」
そう言って、先生からメモ帳の切れ端を渡される。そこには、なぐり書きの『希愛』と『大地』という字が書かれていた。実に、女の子らしい漢字と男の子らしい漢字だ。
「希愛ちゃん。可愛い名前だね」
しゃがんで目線を合わせて、宇佐美さんが言う。
「ありがとう!このなまえはね、せんせいがつけてくれたの!」
顔がパッと明るくなり、嬉しそうに言う。
(せんせいって入江先生のことだよね…?)
疑問に思うところがあるが、人の家庭のことだ。あまり深追いするべきではないだろう。宇佐美さんもそう思ってか、それ以上のことは聞かなかった。
「この紙はもらってもいいんですか?」
名前が書かれた紙を受け取った冬弥先輩が言う。こくり、と先生は頷く。それを見た先輩はズボンのポケットに紙をしまうのだった。




