今日は何日
私たちは校内を見て回るため、部室の扉へ向かった。
「さっきの揺れは結構大きく感じたね。揺れたことで開けた時に、なにか倒れてくるかもしれない。」
「そうか?」
「うーん…。先ほどの揺れは私たち"人間"しか感じていなかったように見えました。」
「確かに、夏夜の言う通りだ。見た感じ、小道具とかは1ミリも動いていないようだけどな。そんなに気にしないくてもいいんじゃねぇか?」
暁斗は私の意見に賛同する。だが、冬弥先輩からは納得していないようだと表情から読み取ることができる。
「それでも、君たちになにかあっては遅いんだよ。用心するに越したことはない。先輩である僕の顔を立てると思ってさ、ね?」
先輩は一歩も引かないようだ。先輩だから犠牲になってもいいという考えには納得できないが…。暁斗の方をチラリと見る。もうそれでいいとでもいうような表情でこちらを見ていた。…。
「わかりました」
「いい子だね。ありがとう。」
心配ではあるが、仕方ない。
「さぁ、開けるよ。2人も僕の後ろにいるんだよ」
先輩が扉に手を掛け、開けようとしたとき。
ガラガラガラッ
ひとりでに扉が開いた…?いや、そんなはずない。先輩の背中は意外に大きく、前が見えない。先輩が開けていないことは分かるのだが…。
背中から顔を出し、向こうを覗くと、扉を開けた正体であろう宇佐美さんが立っていた。その後ろにもう2人。私の知らない大人がいた。
入学式からは半年は経つが、まだ先生方の顔は全員は覚えることができていない。冬弥先輩の驚いた顔を見るに、宇佐美さんを含めて知らない人たちなのだろう。ということは後ろの大人はこの学校の職員ではないということ。では誰なのだろうか。
(文化祭は明日。だから生徒や職員、関係者ではないならば入れないはずだけれど)
ぼーっと彼女たちを見つめていると、宇佐美さんが私たちに気づく。
「あれ?夏夜ちゃん…に、暁斗……さん。それに柊木さんも。どうしてここに?」
「どうしてって、宇佐美さん。私が演劇部に取材へ行くこと忘れたんですか?」
「取材?夏夜ちゃんこそ、それは1週間前に終わったって忘れたの?」
「……え?」
どうも話が噛み合わない。『1週間前に終わった』ってどういうこと?私が動揺していると、暁斗がケンカ腰で言う。
「お前ちゃんと日付見てみろよ」
「はぁ〜?あなたこそ見てみなさいよ。今日は10月20日。文化祭当日だよ」




