5時にはなにが起こる?
5時か、5時なんだ。あぁ、もうそんなに経っていたのか。順調に進んでいたとは思っていたが、そんなには順調ではなかったのだと感じた。しかし、なにかを忘れている。なんだ、なんなんだこの違和感は。先ほどまで覚えていたあの恐怖のことか?それとも、暁斗も持っていたあの手紙のことだろうか?……。あ。そうだ。頭を悩ませてやまなかったあの手紙。その内容だ。確かその内容は…
―『明日の夕方5時、演劇部部室にて。』
こんな感じだったはずだ。現在の時刻は5時。手紙の内容と一致している。だが、とてもじゃないが、サプライズだのをする雰囲気ではない。
その瞬間。ほんの一致だが、グラりと大きく揺れたような気がした。すぐに周りを見渡すが、台本や小道具、壁に立てかけてある木材の1本すら動いていない。地震速報の通知も来ていない。唖然としていると、暁斗と冬弥先輩が肩を叩く。
「夏夜ちゃん、大丈夫?」
「おい、しっかりしろよ」
「あ…、うん、大丈夫……」
2人ともなにも気にしていないようだ。
(私の気のせいなの…?)
「あの…さ、さっき揺れませんでした?」
不安になり、確かめる。すると、2人は驚いた顔をした。
「夏夜も、感じたか?やっぱ、そうだよな…!」
「夏夜ちゃんと暁斗くんも?僕もだよ!」
暁斗は安心したように、冬弥先輩は興奮して、言う。気のせいではなかったようだ。演劇部の人たちも頷いている。とりあえず、自分だけではないと知り、安堵のため息をもらす。
揺れたことは事実。確認できたのはよかったのだか、感じた揺れの大きさと物の動きがどうも矛盾している。
(一体何が起こったの…?)
「2人とも、ちょっと校内を見て回ろうか?」
冬弥先輩が提案する。
「そうですね、見て回りましょう。暁斗も行くでしょ?」
「あぁ」
またもや、怪訝な顔。そんなに行きたくないのか。少々、不満を抱きつつも、私たちは校内を見回りに行くことにする。




