お姫様?
演劇部部室までの道のりは、不思議なくらい、しんとしていた。いつもならば、他の運動部や文化部も活動していて、活気溢れているはずなのだが。文化祭の前ということもあり、ほとんどの部活が休んでいるのだろうか。
(暁斗も部活が休みだと言っていたし…)
身に覚えがあるような恐怖を感じつつ、部室の前に着くのだった。
「緊張するね」
扉に手をかけた時、冬弥先輩が言う。気を使わせてしまっただろうか。腰をかがめ、笑いかけてくれる。自然と気持ちが安らぐ。恐怖も緊張も解け、意を決して扉を開ける。
部室内には5名程の部員がいた。丁度、奥の方で当日の劇に使う衣装を合わせていたようだ。暁斗と冬弥先輩はそれぞれ部室を見に回ってしまった。自由だなと思いつつ、依頼主である小田さんを探すことにした。
(うーん……見当たらないな……)
入り口から見渡すが見つけることができない。と、そこに衣装合わせが終わったのか、1人の部員が奥の方から出てきたのを見つける。部員もこちらに気づいて声をかけてくれた。
「今日、取材に来る予定の新聞部の夏夜さんですか?」
小田さんではないものの、会えたのはこちらとしても助かることだ。それに、部員の方も私の名前を知ってるのか。
「はい、そうです。改めまして、葉山夏夜です。本日はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします。僕は、部長をしている、森 良樹です。」
お互いに固くなりながら挨拶を交わす。
「まいからは話を聞いています。皆、奥の方で衣装合わせをしているので、そちらへ行きましょう。お連れの方もどうぞ、ご一緒に」
部長の森さんは先に奥へ行ってしまった。私は部室を見て回っていた2人にも声をかけ、一緒に奥へ入っていくのだった。
そこには数多くの小道具などがたくさん置いてあった。ジャンルも様々で、台本や他の衣装、小道具作成に使う木材などが大量にあった。台本の数を数えてみると、その数30冊。代々、大切に保存されているのだろう。この部屋を見ているだけでワクワクしてくる。くぎ付けになって見ていると、きらびやかなドレスを着た子が私の肩をたたいた。
「ねぇ、もしかして夏夜ちゃん?」
こちらも部員の方だろうか。ふと、髪型が目に入る。三つ編みおさげだ。つまり…。
「もしかして、小田さんですか!?」
「そうだよ〜」
制服の時と印象が違い過ぎて気づかなかった。制服姿も可愛いと思っていたが、これは別格だ。
(いや、他の方も綺麗だけど…)
などと失礼なことを考えていると、小田さんが言う。
「夏夜ちゃん。さっそく、取材始めましょ!」




