2人目の嫁は獣人戦士!? 新たな生産スキルが覚醒する時
「……あの、ガルアさん? 『毎日限界まで付き合ってやる』って、初対面で言うセリフじゃないと思うんですが」
俺は、目の前で豊満な胸を張る褐色肌の獣人美女に、引き気味でツッコミを入れた。
「何を言う! 我ら百獣の民は常に実力主義、かつ効率主義だ! お前がエルフの呪われた荒れ地を一瞬で大農園に変えた『生産の力』、この目で確かに見せてもらった。そんな最高峰のオスを、我が部族が見逃すはずなかろう!」
ガルアはふんすと鼻を鳴らし、ピンと立った獣耳を揺らす。
どうやら彼女たちの部族は、深刻な戦力不足に悩まされているらしく、強い子孫を残すために「最強の生産力」を持つ俺をスカウト(という名の子作り拉致)しに来たらしい。
「ちょっと待ってください!」
そこに、ルナを背中に隠したリリィが、キッと眉を吊り上げて割り込んできた。
「タクト様は私の夫です! 出会って数分のあなたに、はいそうですかと差し上げるわけにはいきません!」
「ふん、エルフの細腕で我が部族の戦士長たる私に勝てると思うか? 強いオスが複数のメスを囲うのは世界の理だ!」
バチバチと火花を散らす、正妻vs 押しかけ新妻候補(獣人)。
美少女二人に奪い合われるのは男のロマンだが、修羅場の空気は胃が痛い。
と、その時。ガルアの乗ってきた巨大な白い虎――『白嵐虎』が、ガルアの背後で急に「くぅん……」と情けない声を上げて倒れ込んだ。
よく見ると、その白い毛並みは傷だらけで、脚からは血が流れている。
「ガルア、その虎、怪我をしてるじゃないか」
「あ、あぁ……。実はここへ来る途中、強力な魔物の群れに遭遇してな。私の愛獣が身を挺して守ってくれたのだが……里の回復薬は底を突いていて、もう手遅れなのだ……」
ガルアが悔しそうに拳を握りしめる。
どうやら、かなり無理をしてここまで走ってきたらしい。
「手遅れ、ねぇ」
俺はそっと白嵐虎に近づき、その大きな頭に手を触れた。
『ピコーン。対象の負傷を確認。スキル【至高の生産】が派生します。医療・調剤技術が最高難度に達しました――固有能力【神の調剤】が解放されます』
脳内アナウンスが響くと同時に、俺の右手に、まばゆい黄金の光が宿った。
その光は、俺がいつも飲んでいるただの水(コップに入った携帯用)に吸い込まれ、一瞬で見たこともないほど透き通ったエメラルドグリーンの液体へと変化する。
「よし、これを飲め」
俺がその水を虎の口元へ流し込むと――。
シュアァァァッ!!
「ガルルッ!?」
虎の身体が光に包まれた。
次の瞬間、深い切り傷が一瞬で塞がり、剥がれていた鱗のような皮膚が再生し、それどころか毛並みが前よりツヤツヤと輝き出したのだ。
「な、なんだと……!? 傷が完全に消えた!? 伝説のエリクサーか何かか!?」
ガルアが驚愕で目玉を飛び出さんばかりに見開く。
『ガルルゥ……(すりすり)』
元気百倍になった巨大虎は、完全に俺に懐き、大きな頭を俺の胸にゴロゴロと押し付けてきた。
「あ、こら、くすぐったいって」
「パパすごーい! ポンポンでお薬作ったー!」
ルナがパチパチと手を叩き、エルフたちも「さすがタクト様……水すら奇跡の薬に変えるとは!」と拝み始める。
それを見たガルアは、顔を真っ赤に染め、今度は両膝を地面について、俺の手をギュッと握りしめた。
「き、傷を癒やす『生産』までこなすとは……! 決めたぞ人間、いや、タクト! 私はもうお前以外のオスなど認めん! 第二夫人でも、奴隷でも、愛玩動物でも何でもいい! 私を、お前の家族にしてくれ!!」
ガルアの好感度が、一瞬でカンストした瞬間だった。
「む、むぅぅー! タクト様、ずるいです! また女の子をたらし込んで!」
リリィがぷくーっと頬を膨らませるが、その目は「仕方ないですね」と半分諦めている。
こうして、俺の異世界ハーレム大家族に、頼もしすぎる(そして肉感的な)獣人の美女が加わることになったのだった。




