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生後三日で大豊作!?

「ぱーぱ! 抱っこ!」

「はいはい、おいで――って、やっぱりおかしいだろォォォッ!?」

俺の胸に飛び込んできたのは、ひらひらとした可愛いワンピースを着た、推定3歳児ほどの女の子だった下。

名前はルナ。俺とリリィの間に生まれた、記念すべき第一子ハーフエルフである。

……もう一度言うが、生後【三日】である。

産声おぎゃあを聞いたのが三日前。

次の日にはハイハイを始め、その日の夜には二足歩行で「パパ、お水ちょうだい」と喋りだし、三日目の今日には、見た目も知能も完全に幼稚園児クラスまで成長していた。

『ピコーン。スキル効果【すくすく成長(超高速)】により、対象は自立可能な年齢まで急速発育します。なお、この成長は無害であり、肉体・精神ともに最高に健康な状態で固定されます』

脳内アナウンスはそう言うが、親の心の準備が追いつかない。

だが、我が子はめちゃくちゃに可愛い。金髪のツインテールに、リリィ譲りの少し尖った耳。クリクリした琥珀色の瞳で俺を見上げられたら、もう何でも許せてしまう。

「タクト様、ルナのお洋服、新しく縫いましたよ。ふふ、本当に育ち盛りですね」

出産から三日しか経っていないリリィも、完全に元通り――というか、前より肌がツヤツヤして綺麗になっている。【母体完全保護】のスキル、恐るべし。

「リリィ、本当に大丈夫なのか? その、エルフの常識的に見て……」

「そうですね、普通のエルフは成人までに百年のんびり育ちますけど……タクト様の特別な血ですもの! これくらい当然です!」

奥さんが満面の笑みで全肯定してくれるなら、もう深く考えるのはやめよう。

「ねぇパパ、お外いこう! ルナ、お花いっぱいにしたい!」

「お、おう。じゃあ、里の近くの荒れ地に行ってみるか」

◇ ◇ ◇

エルフの里の裏手には、かつての魔王軍との戦いで土が呪われ、ペンペン草も生えなくなった広大な『嘆きの荒れ地』が広がっている。

里の深刻な食糧不足の原因でもある場所だ。

俺がルナの手を引いてそこへ向かうと、里のエルフたちが心配そうに集まってきた。

「タクト様、そこは危険です。呪われた大地の毒で、体調を崩されては……」

「大丈夫ですよ、ちょっとルナが遊びたいって言うので」

俺が言うと、ルナは元気よく過酷な荒れ地へとトコトコ走っていった。

そして、小さな手をポンと赤茶けた地面につく。

「お野菜さん、お花さん、おっきくなーれ!」

ルナの小さな身体から、エメラルドグリーンの眩い魔力が爆発的に広がった。

彼女が持つ固有能力【大自然の寵愛(農業・植物創造LV.MAX)】の本格発動だ。

ゴゴゴゴゴ……!

地鳴りと共に、信じられない光景が広がった。

ひび割れていた大地が一瞬で肥沃な黒土へと変わり、そこから緑の芽が猛スピードでニョキニョキと生えてくる。

「な、なんだと……!? 呪いが消えていく!?」

「バカな、世界樹の聖水でも数百年かかる浄化を一瞬で……!」

エルフたちが顎が外れそうなほど驚くなか、荒れ地はあっという間に、見渡す限りの『大農園』へと変貌を遂げた。

そこには、今すぐ収穫できそうなほど丸々と太った大根やトマト、さらには見たこともないほど大粒の果実が実る木々が、たわわに並んでいる。

「パパ! できたー!」

ルナが満面の笑みで、自分の顔より大きなイチゴを抱えて走ってくる。

「……すごいな、ルナ。天才だ」

「えへへー!」

俺が欲しかった農業や生産の能力を、娘が完璧に、しかも最上級のチート規模で代行してくれた。

俺がしたことと言えば……うん、夜の生産活動だけだ。

「これだけの食料があれば、我が里は向こう百年は安泰じゃ……!」

「タクト様はやはり、神が遣わした救世主……!」

エルフの男たちは涙を流して俺を拝み、エルフの娘たちは「次は私があの人の子を……!」と、さらに目を血走らせて俺を見つめ始めた。夜の防衛戦がさらに過酷になりそうだ。

◇ ◇ ◇

その日の夕方。

ルナが作った極上の果物や野菜で、里を挙げた大収穫祭(お祭り)が開かれた。

美味しいご飯を食べ、可愛い妻と娘に囲まれて、俺は「あぁ、ブラック企業を辞めて異世界に来て、本当に良かった」と心から癒やされていた。

だが、幸せなスローライフの時間は、早くも次の展開を連れてくる。

ドォォォン!!

突然、里の入り口の方から、凄まじい地響きが聞こえた。

「魔物の襲撃か!?」とエルフの戦士たちが弓を構える。

砂煙を巻き上げて突進してきたのは――魔物ではなかった。

それは、巨大な白い虎に跨った、褐色肌にピンと立った獣耳を持つ、抜群のプロポーションを誇る美女だった。

背中には身の丈ほどもある大剣を背負っている。

「ここにか! この里に、神の如き生命力を持つ【生産】の男がいるというのは本当か!?」

彼女は荒々しく虎から飛び降りると、エルフたちをかき分け、まっすぐに俺の前へと歩み寄ってきた。

そして、豊満な胸を大きく揺らしながら、俺を指差す。

「我が名はガルア! 百獣の民を統べる、獣人族の戦士長だ! 頼む、人間! 我が部族は今、強靭な次世代の戦士を求めている! お前のその『生産の力』、我が肉体で試させろ!」

「……えっと、それってつまり」

「私と子作りをしろ! 毎日限界まで付き合ってやる!」

初対面の獣人美女からの、あまりにも直球すぎる第二のプロポーズ。

背後から、リリィの「む、むぅ……!」という嫉妬の視線と、ルナの「パパ、新しいママ?」という無邪気な声が聞こえてくる。

俺の異世界ハーレム大家族計画は、どうやら留まることを知らないらしい。

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