第97話:過去との分岐点
1日2回更新。
Lunaの界隈は、まるで別世界のように変わっていた。
光也はスマホの画面を眺めながら、その事実を改めて実感する。
以前の世界では、Lunaに対する批判が飛び交い、ファン同士の争いが絶えなかった。些細な発言が炎上し、コミュニティは分裂していた。しかし、今のLunaの界隈には、そうした空気がまるで感じられない。
SNSのタイムラインには、Lunaの活動を楽しむファンたちのポジティブな声が並んでいた。
「Lunaの新しい衣装、可愛すぎる!」
「推しが今日も最高だった!」
「次の配信、めっちゃ楽しみ!」
——争いの影は、どこにもなかった。
光也は夕真とともに、イベント会場の準備を手伝いながら、ぼんやりと考えていた。
「……どう思う?」
ふいに夕真が声をかける。
「何が?」
「この世界のことだよ。お前も違和感を覚えてるんだろ?」
光也は答えに詰まった。
それは違和感ではなく、確信に近かった。明らかに世界は変わっている。そして、炎上や争いが起こるはずだった出来事が、ここでは存在しない。
「……ああ。」
短く答えたそのとき——。
スマホの通知が鳴った。
Lunaの公式アカウントが、新たなライブイベントの発表を告げていた。
『Luna 1st LIVE - Re:START - 開催決定!』
その文字を見た瞬間、光也の胸に確信が芽生えた。
——この世界は、もう以前とは違う。
そして、それが何を意味するのか、彼は少しずつ理解し始めていた。
最終章スタート。100話で完結。




