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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
92/100

第92話:歪んだ déjà vu

1日2回更新。

 光也はスマホの画面を見つめていた。


 Lunaの配信が始まったばかりのはずなのに、コメント欄は驚くほど穏やかだった。かつての世界では、彼女の配信は誹謗中傷の嵐にさらされ、ファン同士の争いが絶えなかったはずだ。


 ——いや、それが普通だったはずなのに。


 流れるコメントはどれもポジティブなものばかり。「Luna最高!」「今日も可愛い!」「新曲楽しみ!」——この空気は異常なほど清らかだった。


 光也は何度も画面をスクロールし、過去の記憶と照らし合わせた。しかし、どこを見ても炎上の影はない。


 (何が……変わった?)


 同じ頃——。


 未来は部屋の中でイヤホンをつけ、Lunaの配信を視聴していた。けれど、どこか落ち着かない。Lunaの話し方や、配信の進行自体に違和感があった。


 (この配信、前に見たことがある……? いや、そんなはずは……)


 以前の世界で経験したはずの出来事とは、微妙に異なっている。それはまるで、同じ映像の中に別の流れが入り込んでいるような感覚だった。


 愛瑠もまた、Lunaの配信を眺めていた。もともと彼女はEchoのファンとして推し変していたはずだった。しかし、気づけばLunaの配信に戻ってきている自分がいた。


 (……私は、なんでここにいるんだろう?)


 心の中に違和感が生まれる。昨日までの自分が見ていた世界と、今の世界がズレているような、そんな感覚。


 一方、夕真は夜の街を歩きながらスマホを開き、Lunaの配信を確認していた。


 (こいつは……前と何かが違う。)


 Lunaの声は変わらない。だが、その存在感がまるで別人のように感じられた。


 4人はそれぞれ、別の場所でLunaの配信を見ながら、同じ違和感を抱いていた。


 彼らの記憶が間違っているのか。それとも——世界の方が、変わってしまったのか。



最終章スタート。100話で完結。

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