第78話:静かなる恐怖
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未来は足早に帰路を急いでいた。街灯の光が滲む夜道を歩きながら、背後を気にせずにはいられない。
——また、いる。
気のせいではない。数日前から、ずっと誰かにつけられているような気がしていた。振り返っても誰の姿もない。だけど、確かに何者かの視線を感じる。
「……気のせい、じゃないよね。」
小さく呟くが、答えはない。怖い。けれど、このことを誰にも相談できずにいた。
光也なら話を聞いてくれるかもしれない。でも、今の彼はそれどころじゃない。Lunaの自粛後、彼は界隈からの攻撃を受け続けていた。未来の不安を伝えるには、あまりにも状況が悪すぎる。
「大丈夫、大丈夫……。」
自分に言い聞かせるように、未来は歩く速度を上げた。
そのとき——
足音が止まる。
それまで一定の距離を保っていたはずの何者かが、未来が足を止めたのと同時に動きを止めた。
心臓が高鳴る。
——誰かいる。
鼓動の音が耳に響く中、未来は意を決して振り返る。
しかし、そこには誰もいなかった。
「……っ!」
息が詰まる。冷たい汗が背中を伝う。胸の奥で、強烈な恐怖が膨れ上がる。
未来は震える手でスマホを握りしめた。助けを呼ぶべきか。しかし、誰に? どうすれば?
思考がまとまらないまま、未来は再び歩き出す。後ろを振り返ることはできなかった。
暗闇の中、何者かが確かにこちらを見ている——そんな気配が、確かにあった。
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