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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
76/100

第76話:沈黙する愛瑠

毎日2回更新

 部屋の中、愛瑠はイヤホンをつけてスマホの画面をじっと見つめていた。そこにはEchoの配信が映し出されている。


 「みんな、今日も来てくれてありがとう!」


 Echoの明るい声が流れ、コメント欄は一斉に賑わい始める。愛瑠も画面の端に小さくコメントを打ち込んだ。


 “今日も最高だよ”


 すぐに流れていくコメントの中に自分の言葉が混ざる。その瞬間、愛瑠は少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。


 Luna界隈の混乱が続く中、愛瑠は完全にそこから距離を取ることを決めた。もう、あのギスギスした世界には戻りたくなかった。誰が正しいとか、誰が悪いとか、そんな争いに巻き込まれるのはもううんざりだった。


 Echoの配信は穏やかだった。ファン同士の空気もLunaの頃とは違う。ここには、余計な争いもなかった。純粋に推しを応援できる空間——それが今の愛瑠には心地よかった。


 「次の曲、いっちゃおうかな!」


 Echoの笑顔が画面越しに広がる。愛瑠はそれを見つめながら、小さく頷いた。


 もう、Lunaのことには関わらない。


 愛瑠はそっとスマホを握りしめた。


 Luna推しだった頃の自分を振り返ることは、もうほとんどなくなっていた。ただ、どこか心の奥で、ほんの小さな痛みが残っていることに気づいてはいた。


 それでも、今はEchoの歌声だけが、愛瑠にとっての救いだった——。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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