第75話:未来への影
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コスプレイベントの会場は、いつも通りの賑わいを見せていた。
未来はLunaの活動自粛に落ち込んでいたが、それでもイベントの雰囲気に少しだけ気持ちが和らいでいた。だが、その安心感は長くは続かなかった。
イベントも終わりに近づいた頃、未来は人気の少ない通路を歩いていた。次の撮影エリアに向かおうとした矢先、背後から誰かの気配を感じた。
「——!」
振り返る間もなく、突然、何者かが未来の腕を掴んだ。
「お前のせいでLunaは……」
低い声とともに、未来は強引に引き寄せられそうになる。
パニックに陥りながらも、未来は必死で抵抗した。持っていたバッグを振り回し、なんとか腕を振りほどくと、すぐに走り出した。
背後で怒号が聞こえたが、振り返る余裕はなかった。会場の混雑したエリアまでたどり着くと、ようやく足を止め、肩で息をする。
——何だったの……?
警備員に相談しようかとも思ったが、犯人の顔は見ていないし、確証もない。恐怖はあったが、騒ぎを大きくすることにも躊躇いがあった。
「気のせい……じゃないよね。」
未来は自分に言い聞かせるように呟いた。
しかし、それは気のせいではなかった。
数日後。
未来は家に向かう道で、再び異変を感じた。
後ろを歩く足音——それが、どこまでもついてくる。
角を曲がり、歩くペースを変えても、気のせいではない。誰かが確実についてきている。
未来は鼓動が速くなるのを感じながら、スマホを握りしめた。
「……誰?」
声に出す勇気はなかった。ただ、知らない誰かの視線が、自分に向けられていることだけは確かだった。
未来の中に、言いようのない不安が広がっていった。
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