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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
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第70話:孤独な選択

毎日2回更新

 夕真は立ち尽くしていた。


 未来の笑顔。光也と愛瑠の楽しそうな会話。そのすべてが、夕真にとっては信じがたい光景だった。


 唯一、心を許しかけていた未来が——自分が敵視する二人と親しくしている。


 胸の奥がじわりと冷えていく。これまで、未来とのやり取りにほんのわずかな希望を見出していた。しかし、その希望は、音を立てて崩れ去った。


 未来が楽しそうに笑っている。それが光也と愛瑠と共にあるという事実が、夕真を強く拒絶する。


 「……俺は、なんだったんだ。」


 呟いてみても、答えは出ない。未来との会話の端々に感じていた親しみも、ただの思い込みだったのかもしれない。


 立ち止まる理由はもうなかった。


 夕真はゆっくりと踵を返す。誰にも気づかれないように、静かに会場を後にする。


 雑踏の中で、誰も彼を呼び止める者はいない。


 未来の姿が遠ざかる。賑わいの向こうで、彼女はまだ笑っているのだろうか。


 ——俺のことなんて、最初から眼中になかったんだろう。


 ふっと自嘲するように笑い、夕真は歩き続ける。


 会場の喧騒が、少しずつ遠のいていく。


 そして、やがて彼の背中は、雑踏に紛れ消えていった——。

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