70/100
第70話:孤独な選択
毎日2回更新
夕真は立ち尽くしていた。
未来の笑顔。光也と愛瑠の楽しそうな会話。そのすべてが、夕真にとっては信じがたい光景だった。
唯一、心を許しかけていた未来が——自分が敵視する二人と親しくしている。
胸の奥がじわりと冷えていく。これまで、未来とのやり取りにほんのわずかな希望を見出していた。しかし、その希望は、音を立てて崩れ去った。
未来が楽しそうに笑っている。それが光也と愛瑠と共にあるという事実が、夕真を強く拒絶する。
「……俺は、なんだったんだ。」
呟いてみても、答えは出ない。未来との会話の端々に感じていた親しみも、ただの思い込みだったのかもしれない。
立ち止まる理由はもうなかった。
夕真はゆっくりと踵を返す。誰にも気づかれないように、静かに会場を後にする。
雑踏の中で、誰も彼を呼び止める者はいない。
未来の姿が遠ざかる。賑わいの向こうで、彼女はまだ笑っているのだろうか。
——俺のことなんて、最初から眼中になかったんだろう。
ふっと自嘲するように笑い、夕真は歩き続ける。
会場の喧騒が、少しずつ遠のいていく。
そして、やがて彼の背中は、雑踏に紛れ消えていった——。
Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。
最新話はこちらをフォロー
https://x.com/bank26nt




