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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
65/100

第65話:夕真の探し物

毎日2回更新

 夕真は会場内を歩きながら、未来の姿を探していた。人混みの中、次々とすれ違う人々の顔を見ても、目的の人物は見つからない。


 未来とはオンラインで何度も話をしてきた。そのやり取りの中で、夕真は未来に特別な親しみを感じていた。彼女の言葉にはどこか気負いがなく、何気ない会話の中にも安心感があった。その未来に、今日は直接会えるはずだった。しかし、広い会場と人の波の前に、その期待は焦りに変わりつつあった。


 スマホを取り出し、未来からの連絡を確認する。しかし、新しいメッセージは届いていない。電波状況が悪いのか、それとも単に忙しくしているのか——。理由は分からなかったが、夕真の心の中でざわつくものが広がっていく。


 「こんなに人が多いなんて……。」


 つぶやきながら、夕真は目を細めて辺りを見渡す。イベントの華やかな雰囲気とは裏腹に、彼の心は落ち着かなかった。


 会場の端から端へと歩き回る。写真撮影に夢中になっているコスプレイヤーたちや、買い物を楽しむ人々が視界に入るが、その中に未来はいない。


 「もしかして、もうどこかへ移動しちゃったのかな……。」


 そんな考えが頭をよぎる。これだけ探しても見つからないとなると、少しだけ不安になってくる。


 ふと、遠くで誰かが楽しげに笑う声が聞こえた。夕真は反射的にそちらを見た。だが、それは未来ではなく、見知らぬ人たちだった。


 ——どうしてこんなに探してるんだろう。


 夕真は立ち止まり、自分の気持ちを整理しようとした。なぜここまでして未来に会いたいのか。オンラインでの関係のままでも十分だったはずなのに。


 けれど、それでも。


 「やっぱり、直接話したい。」


 自分の気持ちを確かめるように、夕真は小さくつぶやいた。そして、もう一度、未来の姿を求めて歩き始めた。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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