第63話:焦る鼓動
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イベント会場の入口を抜けた瞬間、愛瑠はその熱気に圧倒された。人の波が途切れることなく流れ、賑やかな音楽と喧騒が会場全体に満ちている。キラキラと輝く衣装を身にまとった参加者たちが楽しげに談笑し、写真を撮り合っていた。
「未来はどこにいるんだろう……」
愛瑠はスマホを取り出し、未来とのメッセージを確認した。けれど、最後のやり取りは「もうすぐ会場に着く!」というもの。それ以降、未来からの更新はない。
会場の広さを考えれば、簡単には見つからないだろう。愛瑠はため息をつきながら、人混みをかき分けるように歩き出した。
スマホを片手に連絡を試みる。しかし、画面には「送信中」の文字が浮かんだまま動かない。人が多すぎて電波が不安定になっているのかもしれない。
「もー、繋がってよ……」
焦りが募る。未来とは学校で何度か顔を合わせたことはあるが、こうしてイベント会場で探し回るのは初めてだった。
「確か、彼女はコスプレしてるって言ってたよね……」
愛瑠は視線を走らせ、周囲のコスプレイヤーたちを注意深く見て回る。しかし、どれも目立つ衣装ばかりで、未来の姿を特定するのは容易ではなかった。
人の波を抜け、少し開けたエリアに出ると、カメラを構えた人々の輪ができていた。中央には、数人のコスプレイヤーがポーズを決めて立っている。その中に、愛瑠が見覚えのある衣装を見つけた。
「あれ……未来?」
彼女の心臓が跳ねる。
確信を持つ前に、愛瑠の足は無意識にその方向へ向かっていた。
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