第61話:仮想世界
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イベント会場の入り口を抜けた瞬間、光也は圧倒された。広がるのは、現実とは異なるもうひとつの世界——鮮やかな衣装を纏った人々が行き交い、歓声とカメラのシャッター音が混ざり合う空間。そこは、まるで現実と虚構の境界が曖昧になった「仮想世界」のようだった。
「未来はどこにいるんだ……?」
光也はスマホを取り出し、未来とのSNSのやり取りを確認した。彼女が今いる場所のヒントになる投稿を探すが、最新のメッセージは「もうすぐ会場に着く!」というものだけ。あとは推測するしかない。
未来はコスプレイヤーとして参加している。ならば、撮影エリアか、同じ作品のコスプレイヤーたちが集まる交流スペースにいる可能性が高い。光也は深く息を吸い、人混みをかき分けるように歩き始めた。
しかし、進むたびに道を阻まれる。大きなカメラを持った参加者、グループで談笑する人々、鮮やかな布が翻るたびに目を奪われ、目的を見失いそうになる。何度もスマホを確認し、未来の姿を探しながら進む。
だが、なかなか見つからない。
焦る気持ちを抑えながら、光也はさらに奥へと進んだ。ふと、視界の端に見覚えのあるシルエットが映る。
彼は足を止め、慎重に視線を向けた。
コスプレエリアの一角で、誰かと話している女性。光也はその衣装を見た瞬間、確信する。
「……未来だ。」
彼女は、画面越しではなく、目の前にいる。
心の準備が追いつかないまま、光也は無意識に足を踏み出した。
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