第59話「見えない顔」
毎日2回更新
未来はスマホの画面を見つめていた。
「Y」——SNS上での名前しか知らない彼との会話は、未来にとっていつの間にか日常になっていた。だが、彼はどこか一線を引いていた。未来がリアルでの交流をほのめかすと、必ず話を逸らされる。
「会うつもりはないよ」
そう言われたことが何度かあった。
「どうして……?」
彼の投稿を遡ると、推し活に対する深い考察が並んでいた。Lunaの魅力、ファンとの関係、そして時折混じる「推し活との距離の取り方」についての言葉。
そして今日、未来はふと、ある投稿に目を留めた。
「推し活から離れるべきかもしれない」
その一文に、未来の胸がざわついた。
(何かあったの……?)
Yはいつも冷静で、推し活に対して客観的な視点を持っていた。それなのに、こんな呟きをするなんて——。未来は気づけばDMの画面を開いていた。
「あなたにとっての推し活って何?」
送信ボタンを押した瞬間、少しだけ後悔した。答えにくい質問かもしれない。でも、聞かずにはいられなかった。
……しばらく、画面には何の反応もなかった。
未来はスマホを握りしめながら、ぼんやりと考える。
Yは、どんな顔をして、このメッセージを見ているのだろうか——。
Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。
最新話はこちらをフォロー
https://x.com/bank26nt




