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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
55/100

第55話「推しのカタチ」

毎日2回更新

「推しってさ、人それぞれ違うよね」


昼休み、未来と愛瑠は屋上の隅に座り、風に吹かれながら話していた。


「未来ちゃんは、ずっとLunaを推してるんだよね?」


「うん。Lunaの歌も、雰囲気も全部好き。ずっと応援してるし、これからも変わらないって思ってる」


未来は胸を張ってそう答えたが、愛瑠の反応は少し意外だった。


「私はね……なんか、前ほどLunaの配信を開かなくなっちゃった」


愛瑠はスマホを取り出し、Echoの配信画面を見せた。


「今はEchoの方が落ち着くんだ。彼女の歌声、優しくて包み込んでくれる感じがしてさ……」


未来は、その言葉を聞きながら、どこかモヤモヤした気持ちを抱えた。Lunaを推していたはずの愛瑠が、いつの間にか別のVtuberに夢中になっている。まるで、推しを変えることが当たり前のように聞こえて、少しだけ違和感を覚えた。


「……それって、推し変したってこと?」


「うーん、そうなのかな。Lunaが嫌いになったわけじゃないよ。でも、前みたいに『絶対にリアタイで見たい!』っていう気持ちがなくなったんだよね」


愛瑠の言葉に、未来はますます戸惑った。自分はずっとLunaを推しているのに、愛瑠は違った。好きだったものへの気持ちが変わることもあるのか——。


「でも、なんでだろう? 未来ちゃんがLunaを推し続けてる姿、すごく素敵だと思うよ」


「え?」


「だって、未来ちゃんはLunaのことを心から好きで、それがずっと変わらないんでしょ? それってすごいことだと思う」


愛瑠は笑顔でそう言ったが、どこか遠い目をしていた。未来は、その言葉の意味を考えながら、自分の推し活について改めて見つめ直す。


「……そっか。推しのカタチって、人それぞれなんだね」


「うん。大事なのは、自分が幸せになれる推し方をすることじゃない?」


愛瑠の言葉に、未来の心のモヤモヤが少しだけ晴れていくのを感じた。推し続けることも、別の推しを見つけることも——どちらも間違いじゃない。ただ、それぞれの気持ちのカタチが違うだけなのだ。


青空の下、未来は静かに、Lunaの配信を開いた。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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