第55話「推しのカタチ」
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「推しってさ、人それぞれ違うよね」
昼休み、未来と愛瑠は屋上の隅に座り、風に吹かれながら話していた。
「未来ちゃんは、ずっとLunaを推してるんだよね?」
「うん。Lunaの歌も、雰囲気も全部好き。ずっと応援してるし、これからも変わらないって思ってる」
未来は胸を張ってそう答えたが、愛瑠の反応は少し意外だった。
「私はね……なんか、前ほどLunaの配信を開かなくなっちゃった」
愛瑠はスマホを取り出し、Echoの配信画面を見せた。
「今はEchoの方が落ち着くんだ。彼女の歌声、優しくて包み込んでくれる感じがしてさ……」
未来は、その言葉を聞きながら、どこかモヤモヤした気持ちを抱えた。Lunaを推していたはずの愛瑠が、いつの間にか別のVtuberに夢中になっている。まるで、推しを変えることが当たり前のように聞こえて、少しだけ違和感を覚えた。
「……それって、推し変したってこと?」
「うーん、そうなのかな。Lunaが嫌いになったわけじゃないよ。でも、前みたいに『絶対にリアタイで見たい!』っていう気持ちがなくなったんだよね」
愛瑠の言葉に、未来はますます戸惑った。自分はずっとLunaを推しているのに、愛瑠は違った。好きだったものへの気持ちが変わることもあるのか——。
「でも、なんでだろう? 未来ちゃんがLunaを推し続けてる姿、すごく素敵だと思うよ」
「え?」
「だって、未来ちゃんはLunaのことを心から好きで、それがずっと変わらないんでしょ? それってすごいことだと思う」
愛瑠は笑顔でそう言ったが、どこか遠い目をしていた。未来は、その言葉の意味を考えながら、自分の推し活について改めて見つめ直す。
「……そっか。推しのカタチって、人それぞれなんだね」
「うん。大事なのは、自分が幸せになれる推し方をすることじゃない?」
愛瑠の言葉に、未来の心のモヤモヤが少しだけ晴れていくのを感じた。推し続けることも、別の推しを見つけることも——どちらも間違いじゃない。ただ、それぞれの気持ちのカタチが違うだけなのだ。
青空の下、未来は静かに、Lunaの配信を開いた。
Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。
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