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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
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第54話「交差する視線」

毎日2回更新

昼休み、澄み渡る青空の下、未来は学校の屋上にいた。涼しい風が吹き抜ける中、スマホを取り出し、Lunaの最新の動画を再生する。


「やっぱりLunaはすごいな……」


ヘッドホン越しに流れるLunaの歌声に耳を傾けながら、未来は自然と笑みを浮かべた。


すると、不意に背後から声がした。


「Luna、好きなの?」


驚いて振り返ると、そこに立っていたのは別のクラスの生徒、藤川愛瑠だった。未来は一瞬、どう答えようか迷ったが、正直に頷いた。


「うん、大好き。ずっと推してるから」


愛瑠は少しだけ目を伏せ、微笑を浮かべた。


「そっか……私も、前はそうだったんだけどね」


未来は違和感を覚えた。どこか遠い目をしている愛瑠の表情。まるで、過去の自分を懐かしむような雰囲気だった。


「前は、ってことは……今は?」


愛瑠はスマホを取り出し、画面を未来に見せた。そこにはLunaではなく、Echoの配信チャンネルが映っている。


「今は、Echoの配信ばっかり見てる」


その名前を聞いて、未来は意外に思った。EchoはLunaと同じ界隈のVtuberだが、雰囲気はまるで違う。静かで神秘的な空気をまとい、落ち着いたトークと幻想的な歌声が特徴の配信者。未来も名前くらいは知っていた。


「Echoか……Lunaとは、全然違うよね」


「うん。でも、今の私にはEchoの方がしっくりくるんだ」


愛瑠はそう言いながら、どこか遠くを見るような目をした。未来は、それ以上何かを聞こうとしたが、愛瑠の表情が妙に静かだったので、言葉を飲み込んだ。


ふと、愛瑠が未来の顔をじっと見つめる。


「ねえ、未来ちゃんって……ちょっとLunaに似てるよね」


未来の心臓が跳ねた。これまで何度も言われてきた言葉だったが、愛瑠の口から聞くと、なぜか違和感があった。褒められているのか、それとも別の意味があるのか——。


「……そう、かな」


曖昧に笑ってみせると、愛瑠も「うん」とだけ返し、微かに口元を緩めた。未来の心には、どこか引っかかるものが残っていた。愛瑠の目に映るLunaと、未来自身がなぞるLunaの姿——それは果たして同じものなのだろうか。


彼女の胸の奥で、かすかな違和感が揺らいでいた。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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