第50話 - Echoとの出会い
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愛瑠はスマートフォンの画面を見つめながら、ため息をついた。
Lunaの配信を開こうとして、もう何度目かの迷いに襲われる。
結局、アイコンをタップすることなく、指を滑らせて別の動画を探し始めた。
――Lunaを推していた頃は、こんなこと考えもしなかったのに。
心のどこかで、まだ未練が残っている。だが、それを素直に認めるのが怖かった。
なんとなく、おすすめに流れてきた配信のサムネイルに目が留まる。
青白い光の中で微笑む少女。煌めく星のような装飾。どこか静かで神秘的な雰囲気が漂っていた。
「Echo……?」
初めて見る名前だった。興味を惹かれるままに、再生ボタンを押す。
「こんばんは。静かに夜を楽しみましょう」
柔らかく澄んだ声が、イヤホン越しに響く。
Lunaの明るく元気なトーンとは対照的な、落ち着いた声。
愛瑠は思わず、スマホを握りしめた。
配信の背景は、夜空を思わせる深い青。きらきらと輝く星々が、まるで視聴者を包み込むように揺らめいている。
「今日は、少しだけ夢の話をしましょう」
Echoの静かな語りに引き込まれるうち、愛瑠の胸の奥で何かが揺らぎ始めていた。
Lunaを推していた頃の熱狂とは違う。だが、確かに何かを感じている。
――私、本当にLunaを手放していいの?
迷いながらも、愛瑠は配信のコメント欄に視線を落とす。
そこには、彼女と同じように静かにEchoを楽しむファンたちの言葉が並んでいた。
「この空間、落ち着くなあ」
「Echoの声、本当に癒される」
「なんだか、泣きそう……」
愛瑠は、そっとコメント欄に文字を打ち込む。
「はじめまして。すごく素敵な配信ですね」
送信ボタンを押した瞬間、胸の奥に小さな灯りがともるような気がした。
Lunaへの想いは、まだ整理がつかない。
でも――もしかしたら、新しい道がここにあるのかもしれない。
愛瑠は、静かに画面を見つめ続けた。
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