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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
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第49話 - Luna推しの終わり

毎日2回更新

愛瑠はスマートフォンを握りしめたまま、画面を見つめることができずにいた。


Lunaの最新配信が始まっているはずだった。通知も届いていたし、タイムラインでは「今日も最高!」「Luna、かわいすぎる!」といったコメントが流れている。


しかし、愛瑠は再生ボタンを押せなかった。


彼女のTLには、Luna推しのコミュニティ内での争いや、匿名アカウントによる嫌がらせの痕跡が広がっていた。


「Luna推し、最近変な奴多すぎ」

「新規が幅利かせてるの、マジでムカつく」

「にわかのくせにでしゃばるな」


以前なら気にしなかった言葉が、今は鋭い棘となって愛瑠の心を突き刺した。


ほんの少し前まで、このコミュニティは彼女にとっての“居場所”だった。Lunaの歌や笑顔を愛する人たちと、同じ熱量で語り合うことができた。推しを応援することが、日々の支えになっていた。


けれど、いつからか歪み始めた。


推し活をしているはずなのに、誰かを攻撃することが目的になっている人がいる。気に入らない意見を排除しようとする空気。愛情が憎しみに変わる瞬間を、何度も目の当たりにした。


そして、彼女自身もその標的になった。


「運営に媚びて認知されたって嬉しいの?」

「こいつ、絶対裏で何かやってる」

「Lunaに近づこうとしてるの、見え見えでキモい」


そんな言葉を見ても、最初は「自分のことじゃない」と思おうとした。でも、実際に自分の名前が出た時、恐怖で手が震えた。


そして、気づいてしまった。


――私がLunaを好きでいる限り、この攻撃は終わらない。


涙が落ちる。スマートフォンの画面に映るLunaのアイコンが滲んでいく。


彼女の歌が好きだった。笑顔が好きだった。推し活をしている時だけは、自分を好きになれる気がした。


でももう、純粋に楽しめなくなってしまった。


指が震えながら、Lunaの配信画面を閉じる。Lunaのアカウントを開きかけて、躊躇う。


今、フォローを外せば、全部終わるのだろうか?


推し活のない自分なんて、想像できなかった。だけど、これ以上傷つくのも怖かった。


愛瑠は、深く息を吸い込む。そして、何かを振り払うようにスマートフォンを伏せた。


彼女の推し活は、終わりを迎えようとしていた。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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https://x.com/bank26nt

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