第35話 - 過去の記憶
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黒崎夕真は、静まり返った部屋でぼんやりと天井を見つめていた。大学での孤独な日々が、まるで昨日のことのように思い出される。
彼がLunaに出会ったのは、大学に入学したばかりの頃だった。同じキャンパスにいる多くの学生たちが談笑し、グループを作り上げていく中で、夕真は誰とも親しくなれず、図書館と自室を行き来するだけの日々を過ごしていた。自分は必要とされていない――そんな思いが頭をよぎるたび、夕真はひとりきりの孤独に押しつぶされそうになっていた。
ある夜、偶然目にした動画配信アプリが彼の運命を変えた。画面に映るLunaの笑顔は、まるで暗闇に一筋の光を投げかけるようだった。初めて彼女の配信を見た瞬間、夕真はその明るさと温かさに引き込まれた。Lunaの優しい声と、ファン一人ひとりに丁寧に応える姿勢に、心が救われる思いだった。
「俺を必要としてくれる人がいるかもしれない」
そう思った夕真は、それからLunaの配信を見ることが日課になった。彼女の言葉は、孤独で凍りついた彼の心を少しずつ溶かしていった。配信を見ながらコメントを送り、Lunaから「ありがとう」の一言をもらったとき、夕真は初めて自分が存在していてもいいのだと感じた。
だが、その感情は次第に変化していった。他の視聴者が彼女と交流するたび、夕真は胸の奥で小さな苛立ちを覚えるようになった。彼女の「ありがとう」が自分だけのものではないと気づいた瞬間、その光は独占したいという強い執着へと変わったのだ。
「俺だけがLunaを本当に理解している」
そう思い込むことで、夕真は自分の孤独を埋めようとしていた。だが、その執着が膨らむたび、Lunaとの距離が広がっていることに彼は気づいていなかった。
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