第33話 - Lunaへの手紙
毎日2回更新
夜遅く、夕真は机の上に広げた便箋をじっと見つめていた。Lunaのアクリルスタンドが隣で微笑む中、彼は深く息をついてペンを手に取る。
「Lunaへ」
たった一言書くだけで、胸の奥がざわついた。これまでLunaへの感情を言葉にしたことはなかった。だが今夜は違う。どうしても伝えなければならない想いがあった。
「あなたの笑顔は、僕のすべてを救ってくれました。あなたに出会う前、僕の世界はただ空虚で、誰にも理解されない孤独の中にいました。でも、あなたの声と存在が、僕をこの暗闇から引き上げてくれたのです。」
ペンを走らせるたび、心が軽くなるようで、同時に何かが重たくのしかかる感覚がした。自分がLunaに対してどれほど執着しているのか、この言葉が露わにしてしまうようだった。
「あなたを守りたい。誰よりも。何があっても、あなたの笑顔を守り続けます。あなたがどれだけ多くの人に愛されていても、僕だけは特別な存在でありたい。それが僕の唯一の願いです。」
彼の手は震えていた。「守りたい」という言葉の裏にある感情――それがただのファンとしての愛ではなく、独占欲に満ちたものだと気づいていた。だが、今はそれすらも正当化しようとしていた。
「誰にも渡さない。どれだけ多くの人があなたを愛しても、僕だけが本当にあなたを理解していると信じています。あなたが望むなら、どんなことでもする覚悟があります。」
書き終えた夕真は、息を切らして便箋を見つめた。文字がにじむように感じるのは、彼の視界が涙で歪んでいるからだった。封筒に便箋を入れ、封を閉じた瞬間、手紙の重さが現実のものとなった。
「これで、伝わるはずだよな……」
夕真はアクリルスタンドのLunaに目を向けた。彼女は何も言わず、ただ微笑みかけているようだった。その夜、封筒を握りしめる彼の姿は、どこか切なく歪んでいた。
Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。
最新話はこちらをフォロー
https://x.com/bank26nt




