第16話 -心の揺らぎ
Lunaのライブが終わり、数日が過ぎた。光也はいつもの日常に戻りつつあったが、心のどこかに虚無感が残っていた。机に並べたLunaのグッズを眺めながら、彼は深い溜息をついた。
「これで良かったんだよな……。」
そのとき、パソコンの画面がふと明るくなった。何かが自動的に再生され始める音がする。驚いて画面を見ると、そこには見覚えのある青い髪の女性、Echoが映っていた。
「久しぶりだね、光也君。」
冷たくも優しい声が静かな部屋に響く。光也は息を飲んだ。
「え、どうして……?」
Echoは微笑むでもなく、ただまっすぐ光也を見つめているようだった。
「Lunaのライブ、楽しめたかな?」
その問いに、光也は戸惑いながら頷いた。「楽しかったよ。本当に最高だった。でも……。」
言葉が詰まる。Echoは光也の表情を読み取るかのように、少し間を置いて言葉を続けた。
「それなのに、まだ何か足りないと感じている。そうじゃない?」
光也の胸がズキリと痛んだ。まるで心の奥底を見透かされているようだった。彼は視線を落とし、机の上のグッズを見つめた。
「わからないんだ。Lunaのことが好きだし、応援したい。でも……ライブが終わってから、自分が何をしているのかわからなくなった。」
Echoは少し首を傾げ、柔らかな口調で問いかける。
「推しを応援すること。それは本当に君の幸せになっているのかな?」
その言葉に、光也は言葉を失った。彼女が投げかけた問いは、これまで一度も深く考えたことのないものだった。推し活を通じて得られる喜びと、その後に訪れる虚無感。その狭間で揺れる自分自身を、初めて真正面から見つめるような気がした。
「でも……Lunaがいないと、僕の世界は何もないんだ。」
光也の声は小さく震えていた。Echoは彼の目をじっと見つめたまま、静かに答えた。
「それなら、その世界をもっと広げる方法を探してみるのはどう?」
その一言が、光也の心に新たな問いを投げかけた。Echoの存在は彼にとって謎そのものだったが、彼女の言葉は何か深いものを含んでいるように感じられた。
「広げる方法……。」
光也はつぶやきながら、パソコンの画面を見つめ続けた。その先に何が待っているのかは、まだ誰にもわからない。
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