第11話 - Echoの挑発
光也は、またもEchoの配信を開いていた。Lunaへの想いが揺らいでいるわけではない。それでも、Echoの冷ややかな問いかけには、なぜか惹かれるものがあった。
「あなたの推し活、その先に何があるのでしょうか?」
画面越しのEchoは、澄んだ声で語りかける。青い光が彼女の背景に揺れ、どこか幻想的な雰囲気を醸し出していた。
コメント欄には賛否両論の意見が流れている。
「確かに考えさせられるな」
「推し活を否定するの? Echoはアンチ?」
「でも、言ってることも一理あるかも……」
光也はその中で、「俺は推しを愛してる。それがすべてだ」というコメントを打ち込もうとしたが、指が止まった。Echoの問いかけは、彼の胸に鋭く刺さっていた。
「応援することで満たされる心。それが本当にあなたの望むものですか?」
Echoの目が画面越しに光也を見つめているように感じた。まるで彼の心の奥を見透かされているかのようだった。
「……そんなこと、考えたこともないよ。」
光也は小さく呟き、椅子に寄りかかった。
Echoは続ける。
「推しが輝くほど、あなたの存在は薄れていきます。それでも、推し続ける理由は何ですか?」
光也の頭にはLunaの笑顔が浮かんだ。自分を癒してくれる存在、喜びを与えてくれる存在。けれど、Echoの言葉を聞くたびに、心の奥にしまっていた小さな不安が浮き彫りになる。
「俺の推し活に、理由なんていらない……だよな?」
自問自答する中、光也はふと画面のEchoを見つめ直した。その問いかけが本当に挑発なのか、それとも単なる疑問なのか、判断がつかなかった。
配信が終わった後、光也はしばらく席を立つことができなかった。推し活の価値観を根底から揺さぶられる感覚。それでも、Lunaを愛する気持ちは変わらない――そのはずだった。
「Echo……お前は一体、何が目的なんだ?」
その夜、光也は眠りにつくことができなかった。Echoの言葉が頭の中で何度も反響していた。
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