『綿菓子』とマヤラと山背の戦い
その日 万次郎茶屋では、愛之助達が昨晩仕入れてきたアルモノを使い。皆で楽しそうに何かを作っていた。
◇◇◇◇◇
「出来た、出来たよ!僕にも作れた!見て見て!
愛之助、僕のは真っ白だからまるで雲みたいだよ。スゴいね~!」
「僕も作れたへけっ!僕のはピンクへけっよ!可愛いへけっね~♪
しかしへけっ、割り箸をクルクル回すだけでお菓子が作れなんて不思議で楽しいへけっね♪」
「タリサも光貴も上手に出来たでござるね。
それにしても、やはり拙者が考えた通り。綿菓子作りは、実に楽しいでござるね!
その上、フアフアした不思議な食感になり、綿菓子は甘くて美味しいでござるよ♪」
「本当じゃのう~。ワシもクルクルするのが楽しかったのじゃ!しかし綿菓子とは本当に不思議なお菓子じゃのう。
口に入れた瞬間直ぐに溶けて無くなってしまうのじゃ。
…………………フッフッフフ。しかししかし!今日のワシはそれだけではないのうじゃ!
どうじゃ!見るのじゃ!ワシが作り上げた綿菓子は七色に光輝く『レインボー綿菓子』なのじゃぞ!」
自身が作り上げたレインボー綿菓子を掲げ。ドヤ顔の山背が、七色に作られた綿菓子を披露する(見せびらかす)
「ウヮ~~~本当だ!山背スゴ~い!どうやって作ったの?」
「本当にスゴいへけっ!僕も作ってみたいへけっ。」
「スゴいでござる!どう作るでござるか?」
自分達で作った綿菓子に舌鼓をうつなか。
山背の作った『レインボー綿菓子』に驚いたタリサや光貴、愛之助達3人は、興奮した様子で山背へとレインボー綿菓子の作り方を質問する。
一方、愛満の隣でしんみりと愛之助に作って貰った綿菓子を食べていたマヤラは、そんな山背達の姿を目にし。何やらメラメラと闘志を燃やし始め。
「よしみちゅ、マヤラも!
マヤラもクルクルちて、こんどこそ、スゴイわたがしちゅくる!!」
「えっ!マヤラ、もう1回綿菓子作るの?」
「あい!!」
「そうだね。泣かされたままじゃ、マヤラも悔しいもんね。
じゃ、さっき泣かされた仕返しに山背を驚かしちゃおうか?」
先ほどの綿菓子作りで、自分1人だけ綿菓子が上手に丸く作れず。
その上、頑張って作った綿菓子の形が瓢箪みたいだと山背に少し笑われ。
マヤラはあまりの悔しさでシクシクと泣いてしまい。
そんな山背への恨みが有るマヤラは、並々ならぬヤル気をみせ。
「あい!マヤラもうにゃなかい!
やまちろより、ちゅごいわたがしちゅくてやるだもん!まけりゅもんか、ばいがえしじゃ!」
愛満へと宣言し。
「そうだよ!そのいきだよ、マヤラ。
今度は僕とマヤラの2人で、山背のレインボー綿菓子よりスゴい綿菓子作ろうね!」
「あい!がんばりゅましゅ!」
先程までの泣きべそをかいていたのが嘘のよう。
山背の『レインボー綿菓子』を一目見。何やら闘志に火がついたヤル気満々の様子のマヤラは、愛満と2人、山背のレインボー綿菓子よりスゴい綿菓子を作り上げる為。
綿菓子器の前に移動して、皆にバレないよう。何やらコソコソ2人で話し合いながらスペシャルで、さらにはトリプルで、ゴージャスな綿菓子を作り始めるのであった。
◇◇◇◇◇
そもそも何故、業務用の綿菓子器が万次郎茶屋内のテーブルの上に置いてあり。
それを使用して愛之助達が、現在綿菓子を楽しそうに茶屋内で作っていて
はっきり言って、家庭用の適度な大きさの綿菓子器ならまだしも
いくら業務用綿菓子器の色合いが女性受けするような、淡いピンク………桜色になり。
ポップで可愛らしい桜の花が絵が描かれているとしても
更に更に!一般人になる愛満達が、業務用の大きな綿菓子器を1台所有してるのも不思議な所。
現在、万次郎茶屋のテーブルの上には2台の業務用綿菓子器が置いてあり。
更に更に更に!と更にが3つ並ぶ中。
業務用綿菓子器特有の煩いモーター音や、綿菓子器から出る熱風に苦しむ所。
その辺の処理を見逃さない愛満が、しっかり自分の力を使って2台とも処理を終えており。
業務用の大きな綿菓子器が2台稼働しているものの。
万次郎茶屋内では、愛之助やタリサ達のキャピキャピとした楽しそうな笑い声以外聞こえてこず。
とても静かで、また熱風など出ておらず、快適な空間のなか綿菓子を作っていた。
そしてそもそも本日の万次郎茶屋内で、何故愛之助達が楽しそうに綿菓子を作っているかと言うと
とある本を読んでいた愛之助が、本に出てきた綿菓子に興味を持ち。
いつものよう愛満へと根掘り葉掘りと綿菓子に関する事を質問を開始。
その結果。ますます綿菓子に興味を持った愛之助は、本に出てきた真ん丸でいて、まるで雲のような綿菓子を食べたがり。
そこに話を聞いた山背や光貴、タリサ、マヤラ達4人も加わり。綿菓子が食べたいと騒ぎ出し。
駄菓子の綿菓子ならば、簡単に手に入るのだが、愛之助達が希望する。
棒で作られた真ん丸の綿菓子は縁日やお祭りなど、そんな機会でなければ手に入らず。
愛満が頭を悩ませる中。愛之助やタリサ達がいつものように八文字眉で、不安そうにお願いされ。
そもそも綿菓子器を販売してるお店など愛満には到底検討もつかず。
良く良く考えれば、今ならちょっとした家電店やホームセンター等に家庭用の小さな綿菓子器が販売されているのだが
まだ独身の愛満は、そもそも綿菓子器を買おう等と思う機会が無く。
頭を悩ませ、解らず仕舞いで悩みに悩んだ愛満は、偶然とある出来事を思い出し。
愛満が公務員1年目のある日
先輩と一緒に古くなり使用出来なくなったり、壊れていたり。
村主催のお祭り用品等の買い出しに、業務用調理器やお祭り用品等と幅広く販売する。都市の大きな商店街へと仕事関係で訪れた事を何とか思い出し。
いつものように愛満の力を使い。
綿菓子器を含め。綿菓子を作るさいに使用する。綿菓子グッズ(セット)を仕入れてきたのだ。
その際、一緒について来た愛之助の希望から普段見慣れぬ様々な調理器具、お皿、グッズ等を仕入れる事になり。
業務用綿菓子器の色にしても愛之助の希望から、愛之助が大好きなマイ○ロちゃんカラーの淡いピンク色へと愛満の力を使い、見事に塗り変え。
更にタリサ達の意見も取り入れ。朝倉村に一年中咲き誇る桜の花やマイ○ロちゃんの絵が小さく描かれていたりするのであった。
◇◇◇◇◇
「やまちえ!どうじゃ、みて!!」
愛満と2人で作り上げた。
綿菓子で作った、つぶらな瞳の目や鼻が顔の辺りに飾り付けられ。真っ白で長い兎耳がチャームポイントのマヤラ作製『ラビット綿菓子』を掲げ。マヤラが自慢気に山背に見せつける。
「な、なんじゃそれは!!
ワシのレインボー綿菓子に負けないくらいスゴいのじゃ!」
「ウヮ~~~!マヤラ、スゴい!
その綿菓子可愛いね。どうやって作ったの?僕もこんな綿菓子作りたい!」
「本当にスゴいへけっ!
それにマヤラとお揃いの耳が可愛いへけっね♪マヤラが作ったへけっか?頑張ったへけっね!」
「か、可愛いでござるよ!!まるでマイ○ロちゃんみたいでござる!マヤラ、スゴいでござるね。頑張ったでござるよ。
…………あっ、そうでござるよ!そこにピンクの綿菓子を頭巾風に被せたら、拙者の大好きなマ○メロちゃん風の綿菓子が作れるでござるよ!」
「フッフフフ、みちゃか、やまちろ!これがマヤラのじつりょくじゃあ!」
山背が驚き、タリサと光貴の2人が羨ましがり。
愛之助がラビット綿菓子を見て何やら閃き。自身が大好きな『マイ○ロちゃん綿菓子』を作ろうと模索するなか。
マヤラが作った『ラビット綿菓子』は、山背が作った『レインボー綿菓子』にも負けないくらい人気をはくし。
その後、愛之助達が材料が無くなるまでノリノリで沢山の形やカラフルな色合いの綿菓子を大量に作ってしまい。
店内に溢れる大量の綿菓子を見つめ。
全て食べたら虫歯になってしまうと心配する愛満の意見や、自分達で作った力作を皆に自慢したいとの愛之助や山背達の意見が上がり。
そして一番には、大量のこの綿菓子を愛之助達だけで食べきるのには、きっと何ヵ月もかかるだろうとの意見が纏まり。
結果。愛之助やマヤラ達力作の大量の綿菓子達は、ご近所へとおすそわけする事が決まるのであった。
◇◇◇◇◇
ちなみにその後、そのおすそわけに貰った綿菓子を食べた村人達が、その独特の見た目や口どけ、甘い味に魅了され。
更にはカラフルな色合いや、可愛らしい見た目などから子供から大人まで虜になり。
愛満お手製の特殊な袋に入れてなければ、あっという間に萎み。
綿菓子特有の魅力が半減される。そんな儚くも有り、少々特殊な甘味に爆発的な人気が出て
綿菓子を口にした村人達からの、また食べたいや販売しないのか等の質問が愛満の元に多数寄せられ。
そこにタイミング良く。たまたまギルド長の琴柏谷から相談が有り。
何やら、片や元冒険業を生業にしていた夫とギルドの受付をしていた妻の子持ちの夫婦が、今だ引きずる戦争の影響等で暮らしが達いかず。
更にはドワーフ族とエルフ族の夫婦になる為。
子供達を含め、間の子等と意味無く差別、迫害され。生活もままならず、食うも困ってる様子だとの
友人家族の現状を、つい最近になって別の友人からの人づたいに知り。
そんな友人家族を朝倉村に有る、自分の自宅へと呼び寄せ琴柏谷は、久しぶりに再会した友人夫婦の痩せ細り、苦労を滲ませるものの。
久しぶりの再会に笑顔を浮かべる姿に心を締め付けられ。
琴柏谷は、その友人家族を朝倉村へと移住させてもらえないかと愛満に相談しに来たのであった。
そんな琴柏谷の相談に愛満は2つ返事で了承。
その後、琴柏谷や友人夫婦との話し合いの末。
愛満プレゼンの綿菓子に興味を持ってくれた夫婦は、朝倉村で『綿菓子店』を営む事を了解してくれ。
愛満の力使い建てられた店舗兼自宅へと、琴柏谷の友人家族改めて
ドワーフ族とエルフ族の夫婦の夫婦になるハザマ家が、朝倉村へと移住する事が決まり。
愛之助達指導の元、朝倉村初の『綿菓子店』が開店する事になり。
老若男女を問わず、その物珍しさから人気を博すのであった。
《『綿菓子』とマヤラと山背の戦い、の登場人物》
・愛満=今回、可愛い弟の愛之助からのお願いに頭を悩まる事になる
・愛之助=今回気になっていた『とある物』を見事ゲットし、大いに満喫する
・山背=今回、少々大人げない行為からバトルになる
・マヤラ=今回普段なかなかない熱いヤル気を見せ、勝負を挑む
・タリサ、光貴=今回、心行くまで綿菓子作りを楽しむ
・琴柏谷=朝倉村にあるギルドの長、万次郎茶屋で販売されている『みたらし団子』が好物になる
今回、自身の冒険者時代の友人夫婦の現状を心配し。とある事を愛満に頼みに来る
・ハザマ家=元冒険者でドワーフ族の夫と元ギルド職員のエルフ族の妻になり。
戦争の名残で物質等が不足し、貧しくとも子供達と慎ましく仲良く暮らしていた所。
とある宗教の教えなどから、言われない差別や迫害を受け。日に日に暮らしが立ち居かなくなり。負わなくてもいい苦労を重ねていた。




