「梅おかかサラダ風和え物」と、『漬物屋』と花梅と実梅
その日ここ数日続く、気持ちの良い程の晴れやかな天気の中。万次郎茶屋には、とある一組のお客さんが来店していた。
◇◇◇◇◇
「ヘェ~~!ならこの梅干しは、菊子さんのお婆さんから習って漬けられたんですね。
うんうん、とっても美味しいです!」
「う~ん、酸っぱいのじゃ!
しかし梅干しとは酸っぱいながら奥深い旨さがあり。こぉ~、ついつい冷酒に手が伸びそうな、…………いや、冷酒へとコラボさせたい程の癖になる旨さなのじゃ♪」
自分達の前に置かれた『梅干し』を食べている愛満と山背の2人は、何やらとある誰かへと自分達が食べている『梅干し』の感想を述べていて
「本当!まぁ~嬉しい!愛満さん達にそう言ってもらえて本当に嬉しいわ~♪
あっ、それから祖母と言っても私からは曾祖母になるんだけどね。
なんでも曾祖母の暮らしていた里の方では、この『梅干し』と言う漬物は有名な漬け物になるらしくて、」
愛満達の前に座る、村で見慣れぬ女性が嬉しそうに笑みを浮かべ話し始め。
「そんな梅干しを漬ける名人だった。今は亡き曾祖母が生前は毎年沢山の『梅干し』を漬けてくれていてね。
その技術が曾祖母から祖母へ、祖母から母へ、母から私や兄さんのお嫁さん達へと脈々と受け継がれている訳なのよ。
それに梅干しを漬ける技術を身に付ける事もさることながら、いつしか我が家では、毎朝梅干しを一粒食べる事が決まり事になっててね。
だから私も小さい頃から母親達の梅干し作りを手伝っては、この年になっても毎朝欠かさず梅干しを一粒食べていて、今では梅干しを漬ける事もだけど、食べるのだって大好きな訳なのよ!」
女性は止まらぬ様子で、まさにマシンガンのようなに早い口調で、そしてノンストップでスラスラと1人楽しそうに話しを続け。
「だからね。今回の旅行にも自家製の梅干しをたっぷり持って来ているのよ。
けど、悲しい事に梅干し特有のこの余りの酸っぱさが世間の人達にはなかなか受け入れられないみたいで、…………。
たまに家の梅干しに興味を持って下さる方も居るのだけれど、やはり皆さん一口梅干しを食べると、…………嫌われちゃってね。
…………こんなに美味しい『梅干し』なのに、……………この『梅干し』を作るのも食べるのも家の一族の者達や、その関係者に加え。家の領民達しか居ないのが現実なのよ。………はぁ~、ねぇカール。」
最後の方は少し寂し気な様子で、自身の隣の席に座る夫カールへと話し掛け。
「そうだね。菊子の家に伝わる『梅干し』の美味しさを解り合える人には、今までなかなか出会えなかったからね。
こうして何かの縁で『梅干し』の美味しさを解り合える愛満さんや山背さん達に出会えて、僕も本当に嬉しい限りだよ。」
女性改め名が『菊子』と判明した。菊子の夫カールが、とある女性芸能人と言うか、………スピーディーある早い口調で有名な、あの人!アン○カに良く似たマシンガントークの妻・菊子とは真逆の。大変深みのある、例えるなら藤○弘、のような落ち着いた低音ボイスの渋い声で話し始め。
「と言っても、実は私も恥ずかしながら菊子と結婚するまで『梅干し』を口にした事が無くてね。
初めて『梅干し』を口にした時には、その余りの酸っぱさに、こんな酸っぱい食べ物がこの世に存在するのかと驚いた程だったよ。ハハハハハハ~~♪
しかしだね。次第に『梅干し』を食べ慣れていくと先程山背さんが仰った通り。酸っぱさの中に奥深い味わいが感じられてきてね。いつしかそれが癖になり。
今ではあの酸っぱいと酸味しか感じられなかった『梅干し』が大好きになったんだよ。」
隣に座る妻の菊子を気遣うよう。こちらの世界では菊子の実家にしか無いらしい。妻の実家名産品『梅干し』の事を誉め。
「それに菊子の薦めで『梅干し』を毎朝一粒口にし始めてから、なんだか前より体の調子が良くてね。
だから今では妻の菊子が漬けてくれた『梅干し』を毎朝一粒食べるのが私の楽しみなんだよ。
菊子、いつも美味しい『梅干し』を僕達家族の為に漬けてくれて本当にありがとう。僕の心は君への感謝や愛の気持ちでいっぱいだよ。」
「まぁ、カールたら!そんなぁ~~~♪私こそ、いつも私や家族の事を労ってくれるカールへの感謝の気持ちでいっぱいよ~♪」
今だ独身で、産まれてこのかた彼女の居ない愛満を始め。
今だ独身貴族の山背の前で菊子達2人は暫しの間、終始ラブラブな様子で、まさに背景に無数のハートマークが飛び交うかのようにノロケ始めるのであった。
「僕もだよ、菊子!」
「私もよ、カール!」
◇◇◇◇◇
この少々何とも言えない半目になった愛満や山背達が無の表情をして見つめる。
ラブラブモード全快にして、何やら日本人にはポピュラーな『梅干し』と大いに関係の有る様子の菊子・カール夫妻が誰かと言うと
実は最近、巷で密かに噂されている。とある条件と言うか、規定の用な物をクリアした限られた人達だけがたどり着けると噂されている。
朝倉村に在る『風呂屋・松乃』へと家族で泊まりに来ていた。朝倉村の隣の隣、そのまた隣の隣、………と、簡単に言えば朝倉村から4つ離れた領地を納める領主の妹夫婦になり。
少々話す速度や口調等に特徴が感じられ。立ち振舞い等からは上品さを感じられるのだが、その早すぎるマシンガントークから導き出す事は大変難しい。
王都から少々遠く離れているものの。とある地方の広大な範囲の土地を治める領主一族の産まれでいて、…………。
菊子の兄曰く、広大な土地と言うものの。半分、…………いや、1/3くらいは牧草地や果樹園等になり。
領民の数より飼育されている動物達の方が多いかも、密かに噂されているそうだ。
そんな菊子にベタ惚れな様子の、低音ボイスの夫カールはと言うと。
ここチャソ王国で国民達の間でもそれなりに名の知れた。王都でも有名な力や財力等々、そんなのが結構有る高位貴族の家に誕生した九男になるらしく。
産まれ落ちた順番が息子の中で九番目とは言え。母の身分は正室になり。母を同じにした兄がカールの上に2人居るものの。母のお腹から3番目に誕生した息子になるそうで、…………。
まぁ、九男やら三番目の息子やらで、何やらおかしいと思われるかも知れないのだが、カールの産まれ落ちた家には正室の母を始め。第二婦人、第三婦人、第四婦人、第五婦人と、6人の妻達が居り。
身分的にはカールの母、ご正室様が一番偉いそうなのだが、優秀な兄達を前に自分が実家を継ぐ事はまずありえず。
高位貴族に身を置くため好きでもない女性と言うか、良く知らない女性達と婚約した後に結婚する事になり。
更には貴族社会の関係等から新たな嫁を度々進められ。そんな妻達の間で板挟みにあい。
更には更にはカールならば、きっとストレスで胃に穴が2つや3つ空きそうな。ある意味、人間の皮を被った魑魅魍魎達が住みかう貴族社会を渡り歩いている父の姿を見ていて、自分は父のように成れぬと早々に諦め。
しっかりとした目で自分の身の丈を確認しながら、カールは王都の学園で菊子と出会い。
貴族には大変珍しい大恋愛の末、見事結ばれ。カール達の為にと両親が新たに用意してくれた分家へと2人は籍を移し結婚した。
なので子を授かった今でも他の貴族の夫婦と違い。相変わらずのラブラブ相思相愛でいて、愛満達が知らないだけで度々ああしてラブラブモードに突然突入しては周囲の者達を困らせていた。
ちなみに菊子やカール達2人は、やはりそれなりに身分有る方々になる為。普段は執事やメイド達等の側使えが必ず近くに居て、………居るはずなのだが!
今回、安全面に多いな安心感を与えてくれる朝倉村の警備面等にフッと気を緩めてしまい。
巧みに執事やメイド達側使えの目を掻い潜り。見事『風呂屋・松乃』を家族で抜け出した菊子達は、普段見慣れぬ、美しい建物達が立ち並ぶ朝倉村をあちらコチラにと探索しては珍しくもあり。見ているだけで目の保養になったらしい。そんな美しい町並みの朝倉村を心行くまで家族で堪能していたらしい。
◇◇◇◇◇
そうして愛満や山背の2人が暫しの間、無の表情になりながら2人のラブラブの様子を見せつけられる時間が無事終わり。
カールと菊子の2人が万次郎茶屋内小上がりで、愛之助達が自身の子供達と楽しそうに遊んでくれている姿を微笑ましそうに見つめ。
自身が持参した。菊子お手製の『梅干し』を愛満や山背達へと、お代わりはどうかと振る舞いながら、愛満が出してくれた。
程好い冷たさに冷え。美しいグリーンの色合いの、グリーンティーならぬ緑茶に加え。
本日の茶菓子になるらしい。『あんみつ』なる甘味に舌鼓を打ちながら、また和やかと言うか、あのノンストップの喋りを再開して、愛満とのお喋りを楽しむ中。
「それでですね。『梅干し』は家の祖母も言ってましたが『医者いらず』と言われるほどの食べ物で、素晴らしい効果や効能が沢山有るんですよ。
それに菊子さん達が普段何気無く食しているように毎朝一粒の梅干しを食べるだけで腸内環境を整えてくれ。整腸作用や殺菌作用なんかもしてくれて便秘解消の効果にもなるんです。
他にも血糖値を下げる効果もあり。糖尿病、高脂血症予防にもなって、二日酔いや乗り物酔いにもオススメなんですよ。」
自身も大好きな婆ちゃんから教わり。自分でも少し勉強した『梅干し』の効能等を愛満が菊子達へと話して、何やらフッと思い出した様子の愛満が
「あっ!けど梅干しを食べ過ぎるとですね。塩分の取り過ぎに加え。高血圧、動脈硬化等をまねく恐れがあるので、いくら素晴らしい効能が有るからと言って、基本『梅干し』は1日一粒が目安になっているんですよ。
だから菊子さん達ご家族の皆さんは知らず知らずのうちに梅干しの適切と言うか、僕が思うに一番良い食べ方をしていた事になり。それってちょっとしたスゴい事だと思うんです。」
との『梅干し』の食べ方等の注意点を軽く説明しながら菊子達の梅干しの食べ方は理にかなっているのだと愛満は菊子達を誉め。
そんな愛満からの自分達の知らなかった『梅干し』の話を聞いた菊子は驚きながら目を白黒させ。自身の目の前に置かれたお手製の『梅干し』を見詰め。
「梅干しって、そんなに体に良い食べ物だったのね。全然知らなかったわ。
カールみたいに梅干しを毎朝一粒食べ始めたら体調が良くなったと言う人達の声が有るのは知ってたけど、………まさかそんなに『梅干し』が体に良い食べ物だったなんて、………………。
はぁ~~、やっぱり家の曾お婆様は、本当に偉大な人だったのね!
それにうちの領民達は他の領地の領民達と比べ健康的でいて、長命の者達が多いのも納得だわね!」
実は菊子自身も少し半信半疑だった『梅干し』の効能の高さや、その『梅干し』を領地へと授けた曾祖母の事を自分の事のように嬉しそうに褒め称え。
「そうだったのかい。だから菊子と付き合うようになり。毎朝『梅干し』を口にするようになってから私の体調が良いのは、その訳だったんだね。うんうん、謎が解けたよ。ありがとう、愛満君。」
愛満の話にカールが関心深げに頷き。感謝の言葉を伝える中。何や思い出した様子の菊子が
「そうだわ!曾お婆様と言ったら梅の木よ、梅の木!
こないだ無理をして腰を痛めたカールの療養の為にと、最近うちの領地でも話題の風呂屋に来てみたら、曾お婆様からはこの辺りではうちの領地にしか生息して無いと話されていた。あの梅の木が沢山の梅の実をたわわに実らせて生えているんだもの!
あんまりにも驚いちゃって、おもわず近くに居た人に手当たり次第聞いてみたら、詳しい事は万次郎茶屋で愛満から聞いた方が良いと言われるし。あの時は本当に驚いちゃったわ!」
菊子の曾祖母にあたる花子の話では、日本人には大変ポピュラーになる梅の木は、ここ異世界では生息していないと思われ。
この世界には菊子達一族が治めている領地にしか、きっと生息して無いだろうと伝えられていて。
そんな梅の木を一族皆で大切に大切に育てているのだが、菊子達家族が朝倉村を探索していたさい。たわわに実を実らせた梅の木と言うか、梅園を発見し。
綺麗に手入れされていて、どの梅の木にもたわわに梅の実が実り。また梅の花が咲いている姿を目のあたりにした菊子が腰が抜けるほどに本当に驚いたんだと、本日何度目かになる話をして、何やら愛満へと、またあの話を聞かせてほしいとねだりし。
「うむ?この話これで5~6回目のような気がするのじゃが?気のせいかのう~~?」
山背がまたかと遠い目をして、隣に座る愛満へと問い掛ける中。
「いやはや、ハハハ~~。愛満も山背も何度も同じ話で悪いね。
菊子は気になる話になるとああして、何度も何度も同じ話をしてしまう癖があるんだよ。本当に申し訳ない。」
カールが菊子に解らぬよう。あの低音ボイスでコッソリ、愛満や山背達へと謝り。
何やら愛満が菩薩のような慈愛に満ちた笑みを浮かべて
「そうだったんですか、それは驚きましたね。」
まるで初めて聞いたかのように菊子の話に相槌を打ち。本日何度目かになる梅の木の品種の説明を繰り返して
「梅の木にはですね。梅の花を観賞するための『花梅』と、実を収穫して梅干しや梅酒を作る『実梅』と言う2つのグループがあるんですよ。
その為、うちの村の梅の木には村人を始め。村を訪れて下さった皆さん達に純粋に梅の花を楽しんでもらう為にと『花梅』や『実梅』等のグループの梅の木達が梅園などに沢山植えられているんです。
そして『実梅』のグループの中では梅の実を収穫する為。
集約管理をすれば結実量が多くなる品種で耐病性がある『青玉梅(古城梅)』や、小梅を収穫する為の『竜峡小梅』等の3種類から5種類ぐらいの梅の木を植えてあるんですよ。」
朝倉村に沢山植えられている梅の木の品種に加え。そもそも梅の木には梅の花を楽しむ『花梅』、梅の実が目的の『実梅』が有る事を菊子達へも説明して、
「それから失礼になるかも知れませんが、菊子さんやカールさん達の話を聞いていてですね。
考えられる菊子さん達の街で生息している梅の木は、たぶん晩霜の被害に強く。安定した結実をみせる『白玉梅』と言う品種に良く似た梅の木のような気がするんですよね。」
「白玉梅ねぇ。……うんうん、梅の木ってそんなに種類豊富に沢山あるのねぇ。勉強になったわ。」
「いえいえ、そんなそんな。
あっ、それでですね。少し詳しく説明するならば、僕が『梅干し』だけじゃなく『梅酒』や『梅シロップ』を主に作りたかったので、梅干しの他に『梅酒』や『梅ジュース』等に適すると言われる『古城梅』を始め。
果実は大きく、果肉が柔らかいとされている。梅干しや梅酒等に幅広く利用出来る『南高梅』
数有る梅の品種の中でも、かなり小ぶりで『梅酒』に適する『竜峡小梅』
酸味がマイルドで香りの良い小梅になり。皮が美しい澄んだ黄色になる。まろやかで味の良い『梅干し』が出来る『七折小梅』等の梅の木を選んで村に植えている訳なんです。」
「ふんふん、そうなのねぇ!あの梅園には、そんな種類様々な梅の木達が植えられていたのね。
それはそれは、私とした事が見落としていたわ!後でもう一度確認しに行かなくちゃ!」
本日何度目かになる菊子との一連のやり取りを無事やり終えた愛満は、いまだ菩薩のような慈愛に満ちた笑みを浮かべ。この後、梅園へと行く予定らしい菊子の姿を微笑ましそうに見つめるのであった。
◇◇◇◇◇
そんなこんなで菊子との梅の木話のやりとりを無事終え。度々菊子の話に出てくる菊子の曾祖母・花子がどんな人物になるかと言うと
実は花子、日本生まれ日本育ちの女性になり。
とある県の田舎町で家族とひっそり暮らしていた所。ある日家の手伝いの畑仕事での帰り道、神隠しのように突然異世界に飛ばされてしまい。
気がつくと慣れ親しんだ日本から異世界のチャソ王国の田舎町に降りたっていたそうで、初め見慣れぬ風景等に恐怖やパニックで震え。泣いていた花子であったそうだが、そこをたまたま通りかかった。後に花子の夫となる領主家嫡男のタスクに助けられ。
どちらかと言うと白人のよう見た目で、日本人とは姿形も違うタスクの姿に初め花子は怯えたのだが、その後花子の知る日本に伝わるちょっとした(婆ちゃんの)知恵に加え。
持っていた畑仕事の道具、収穫した野菜等を上手に活用してタスクや領主家族、村人達と力を合わせ。徐々にではあるものの。その頃は、まだ小さな村でしかなかったタスクが治める領地を豊かにしていき。
領主家族や領民達だけにしか人気が出なかったのだが、花子が領地に教えた物の一つになり。
長期間の保存食にも適した日本産の『梅干し』がタスクが治める異世界の領地で誕生したのだが、…………。
ここで少し。菊子達の一族が治める領地に日本の梅の木、梅干し等が誕生した話をさせて頂くと。
とあるの日事、日本人の花子は、この後自分が異世界に飛ばされる事など夢にも思わず。
いつものように畑仕事に出掛け。畑近くに生えた梅の木が梅の身をたわわに実らせていた事から畑仕事の合間に、たわわに実る梅の実を自宅で『梅干し』等を漬ける為、背負い籠いっぱいに収穫し。
その後、いつものように畑仕事を無事終え。食べ頃の野菜等を背負い籠が梅の実や畑仕事道具で占領されている為。持参していたザルや風呂敷等で家に持ち帰る事を決め。
運が良いのか悪いのか、そのまま収穫した畑の野菜や梅の実、畑仕事の道具と共に花子は異世界へと飛ばされてしまい。
花子の好物の一つになる。梅干し用の梅の実は有るものの。異世界では『梅干し』を漬ける材料が無く。生食に向かない沢山の梅の実を花子が持て余していた所。
何やら花子に恋心を抱く様子のタスクが日本を恋しがる花子の為。そんな梅の実達を利用して、更には自身が少々使える魔法等を梅の実へと施し。
屋敷の一角に美しく梅の花が咲き乱れる2本の梅の木を植え。花子へとサプライズプレゼントしたのが始まりになり。
タスクからプレゼントされた梅の花を目にした花子は、故郷で嗅ぎ慣れた梅の花の匂いに包まれ。
二度と帰れそうにない故郷への気持ちに固く心に蓋をしていたつもりが、故郷で嗅ぎ慣れた梅の花の香りに包まれた瞬間。懐かしい故郷の風景、大切な家族の姿が独りでに頭の中を駆け巡り始め。
また梅の花が見れた喜びと共もに何とも言えない悲しみや怒り、憤り等。
ポロポロ、ポロポロと、何とも言えない様々な感情が入り交じった涙を梅の花をぼんやりと見つめながら、1人静かに流していた所。
コッソリ隠れて花子の姿を見ていたタスクが花子が喜んでいるんだと勘違いをし。大好きな花子を更に喜ばせてあげたいと調子にのっていき。
花子が持っていた残りの梅の実の種を全て使い。魔法でどんどん成長させては領地に梅の木を植え続け。
結果タスクの領地には日本の梅の木が、その数を増やしていく事になり。
そうしてその後、何とか故郷や家族への気持ちの整理をつけた様子の花子が見事たわわに実った梅の実を見て、まさに飛び上がらんばかりに大喜び。
その時にはすでに恋仲になっていたタスクの力を借りて、領地内で毒が無いながらも、その色合いや見た目から食用に向かないと嫌われていた。
日本の赤紫蘇に良く似た見た目や効能を持つ。そこら中にまるで雑草のように自生していた『赤草』と言う植物を偶然発見。
梅干し好きな花子主体の元。異世界初の『梅干し』作りが領主の家や村で行われるようになったそうだ。
◇◇◇◇◇
との、愛満や菊子達が曾祖母の花子の事、菊子が産まれ育った領地の事、そこで育つ梅の事等を多岐にわたり色々と話し込んでいた所。
何やら茶屋内小上がりコーナーで遊んでいたはずの愛之助達が
「愛満~~!拙者、何やら小腹が空いたでござるよ。」
「「「「「(僕も・私も)お腹 空いた~!(へけっ。)」」」」」
腹ぺこチビッ子組を引き連れ。小腹が空いたと愛満に訴えてきて
「えっ?皆お腹空いたの?お茶菓子の『あんみつ』食べなかったの?」
「あぁ、茶菓子のあんみつでござるね。あのあんみつならば、とっくの昔に食べ終えていたでござるよ!」
「そうそう!とっくの昔に食べ終えちゃったんだ。」
「あんみつ美味しかったっへけよ!」
「そうだね。あんなに走り回ったりして遊んでたからお腹が空いちゃうよね。そりゃしょうがないか、……………う~ん、ちょっと待ってて、何か作って来てあげるから。
あっ、けど、どうしょうかな。結構微妙な時間帯だし。下手に何か食べさせて晩ご飯が食べれなくなっちゃったら困るしなぁ~、………う~ん、何が良いのあったけなぁ~、………………。」
1人ブツブツと独り言を呟きながら愛満は台所へと移動して行き。少々微妙な時間帯になり。晩ご飯前だからなぁ~と頭を悩ませ。お腹を空かせた愛之助達に何を食べさせようと考えていた所。
何やらキョロキョロと辺りを執拗に見渡す山背がコソコソした様子で台所にやって来て
「のう~愛満!コレ、さっき菊子さんからお手製の『梅干し』を分けて貰ったのじゃが、今日の晩酌用に胡瓜につけて食べようと思っとるからのう。愛之助や光貴達に食われんように内緒で冷法庫に直しておいてくれんかのう?」
内緒話するように小声で、菊子お手製の梅干しが入った小さな壺を手渡され。くれぐれも食いしん坊の愛之助や光貴達に食べられないようにとお願いされ。
そんな山背の姿に愛之助達に食べさせる物を何するか悩んでいたはずの愛満は、ついつい笑いが溢れてしまうのを堪えつつ。
何とか山背の願いを笑わずに了承した愛満は、冷蔵庫奥深くに梅干しが入った小壺が見えにくいように隠してあげ。
何やら思い付いたらしく。1人納得するかのように大きく頷きながら冷蔵庫から使用する食材を取り出し、手際良く料理を作っていった。
◇◇◇◇◇
「愛満~!お腹空いたへけっ!」
「ねぇねぇ、何を作ってきたの?」
「お腹空いた!」
「はいはい、皆お待たせ~!今は晩ご飯前だからココはヘルシーにと思ってね。梅干しと鰹節を使った。具沢山のサラダ風和え物を作ってきたんだよ。」
あの後5分もかからない短い時間の間に手際良く軽食を作り上げた愛満は、お腹を空かせたチビッ子達に周りを取り囲まれたりしながらテキパキと完成したばかりの『サラダ風和え物』なる料理をテーブル席へと運び。
人数分の小皿へと取り分けていって、カールや菊子達を含めた皆へと手渡していき。
愛満から手渡された。小皿に彩り鮮やかに盛られたサラダ風和え物なる料理を見たタリサ達が
「うわ~~!何これ、美味しそう!」
「わぁ~~、具沢山で美味しそうへけっ♪」
「これはこれは、実に美味しそうでござるね!愛満、もう食べていいでござるか?」
「よしみちゅ、マヤラちゃべたいにゃ~?もういい?」
「見た目も美しく、本当に美味しいそうですね!僕も早く食べてみたいです!」
と口々に話して、小皿に盛り付けた『サラダ風和え物』をまだ貰っていない人へと料理を手渡していた愛満へと、もう食べ始めて良いかと聞き。
「うん、貰った人から食べ始めて良いよ。お代わりも有るから皆遠慮しないで、ゆっくり食べてね。」
との愛満からの返事にタリサ達は待ちきれなかった様子で『サラダ風和え物』を食べ始め。
「う~~ん美味しい!梅干しの酸っぱい味はするんだけど、そこまで酸っぱくなくてね。ちゃんと甘味があって美味しいの♪」
「本当に美味しいへけっ!具沢山と言うだけあってへけっね。本当に野菜が沢山入っててシャキシャキした歯応えが最高へけっよ!」
「………モシャモシャ…………モシャモシャ…………うむ!本当に美味しいのじゃ!
サラダ風和え物と言う名だけあって、野菜だけじゃなく食べごたえある鶏肉や蒟蒻のような物が種類豊富に入っておるから、ちょっとした軽食としても晩酌のつまみにも良いのじゃ!
なぁ愛満や、このサラダ風和え物の中の具材は他に何が入っておるのじゃ?
ワシの口に良く合い、スゴく旨いからのう。出来れば、また作ってほしいのじゃ!」
ご満悦な様子の山背から『サラダ風和え物』の具材を訪ねられ。更にはまた作ってほしいともお願いされ。
他の皆からも『美味しい、美味しい』との言葉を頂いた愛満は、ニコニコと嬉しそうに笑みを浮かべ。
「あのね、この『梅おかかサラダ風和え物』の中の具材は、まず野菜が胡瓜でしょう。それに水菜や貝割れ、オクラ、ミニトマトなんかが入っててね。
そこに食べごたえをプラスする意味で、湯がいてさいた鶏ササミ、刺身蒟蒻を使っているんだよ。
それに今日は菊子さん達との『梅』や『梅干し』からの縁を大切にと考えて、子供達が主に食べるから少し甘めもに味付けしてね。
叩いた梅干しに鰹節、蜂蜜、醤油、みりんを混ぜ合わて作った『梅おかかダレ』を野菜や鶏肉、蒟蒻を使った具材とサラダ風と言うか、和え物風と言うか、下拵えした具材とタレを絡めてある一品になるんだ。」
簡単にではあるが、山背から質問された『梅おかかサラダ風和え物』の具材や作り方等を答え。
「よしみちゅ、コレ、スゴいおいちいね♪」
「本当に!そう言ってもらえて嬉しいよ。ありがとうね、マヤラ。」
「あのね、このみじゅながパリパリちておいちいの。マヤラ、みじゅなちゅき~~♪」
愛満の隣に座るマヤラとお喋りしていた所。
自分が漬けた『梅干し』が使用された『梅おかかサラダ風和え物』を黙々と食べていた菊子を始め。カール達2人が
「……モグモグ…………モグモグ…………うんうん!本当に美味しいわねぇ~♪
それにしても『梅干し』がこんなにオシャレで美味しい料理に変身するなんて驚きだわ。
普段『梅干し』は、そのままで食べる事しか考えてなかったから、今は亡き曾お婆様にしても梅干しを使った料理を知っていたみたいだけれど、故郷で使っていた調味料なんかが手に入らないからと自分の故郷の料理を求めて作るのでは無く。
曾お爺様が好きなコチラの料理を全て覚えると言って毎日頑張っていたみたいだったものね。
うちで梅干しを食べると言えば基本そのままだけだったもの。」
「そうそう。君もだけど、君に良く似た曾お婆様もスゴく頑張り屋さんだったと皆口を揃えて言っていたからね。
う~~ん♪それにしてもこのサラダ、本当に美味しいね。僕の好きな梅干しのほのかな風味が感じられ。コレならいくらでも食べられそうだよ。」
初めて体験した。新たな『梅干し』との出会いに今は亡き曾お婆様の事を菊子が思い出したり。
菊子ラブのカールがサラリと菊子を誉めていたりと、感激した様子で喜び。
いつの間にやら、台所に何か取りに行っていたらしい愛之助が戻って来て
「菊子さん達もどうぞ。愛満と拙者が漬けた漬物になるでござるよ。美味しいでござるから是非みんなに食べてほしいでござるよ!」
菊子ラブのカールに負けず劣らず。自身の兄になる愛満ラブの愛之助は、そんな愛満と一緒に漬け込んだ。数種類になる漬物が盛り付けられた大皿を自信満々の様子でテーブルの上に置き。皆に『食べて、食べて』と嬉しそうに進め。
「う~~~~ん♪コレコレ!
やはり愛満お手製の『ぬか漬け』は、いつ食べても本当に美味しいでござるよ!」
「美味しいへけっねぇ~♪僕、愛満が漬けた。この『枝豆のぬか漬け』が一番大好きへけっよ!」
「おぉ~~~、な、何ですかこの食べ物?それにこの白い漬物と言うんでしたっけ?
この白い見た目の漬け物、適度な歯応えがあり。またほのかに甘味も感じられ。すごく美味しかったです。
タリサタリサ、この漬物は何と言うんですか?」
さすが貴族のお子様。まだ幼いながらに自分の考えをまとめ。少々子供らしくない口調ながら、カールと菊子の子供になる。嫡男の蓮太郎が驚いた様子で、自身の隣に座るタリサへと質問。
「あぁ、それは『べったら漬け』だよ。甘くて美味しいよね。僕も好きなんだ。
あっ、そうだ!それよりこっちの『野沢菜漬け』も食べてみてよ。歯応えあってスゴく美味しいんだよ。それに白ご飯にも良く合うし!」
と山背を含めたチビッ子組が漬物をモリモリ食べ進める中。
愛之助から漬物を進められた菊子やカール達も初め沢山の種類の漬物に驚いていたものの。
大皿の上の漬物が見る見るうちに減っていく事に焦りを覚え。皆に負けじと見た事もない漬物を美味しそうに食べ進めて漬物を満喫した2人は、その後も愛満達と梅干しや、先程食べた漬物の事等を根掘り葉掘り、心行くまで聞き。
途中、早々と逃げ出したカール夫妻を見付けていたのだが、何やらいつになく楽しそうに話をしている夫妻の姿や子供達の姿を目にし。
そのまま周囲に護衛を残しつつも、今はソッとしておく事を決めた執事やメイド達が帰りの遅いカール家を迎えに来たり何かありつつ。
愛之助達と遊び疲れて眠ってしまった子供達を抱えたカール家は、明日も来ると言って『風呂屋・松乃』へと帰って行き。
その次の日も昨日の約束通りに万次郎茶屋へと家族プラス少人数の執事やメイド、護衛達等を連れて来店し。
昨日に引き続き。矢継ぎ早にではあるが、あの菊子お得意のマシンガントークで、愛満や愛之助、山背達に昨日食べた漬物の作り方や梅干しを使った料理を習いたいと強くお願いされ。
昨日とは違いカール家の執事さんやメイド達、護衛達の視線がある中。
どうしたものかと愛満達が少々しどろもどろしてる間に、あの菊子のお得意のマシンガントークに押しきられる事になった。
◇◇◇◇◇
そうして菊子達へと愛満が知っている限りの漬物の漬け方を始め。梅干し使用した料理等を無事教え終え。
何やら菊子の兄が領主を勤めるカナーノ町と朝倉村が交流を持つ事になったりして、朝倉村の村長愛満が忙しい日々を過ごす中。
菊子のたっての希望からカナーノ町と朝倉村の両地へ。それなりに高い地位になる貴族の菊子率いるカール家が営む『漬物屋』が開店する事がいつの間にやら決まり。
更にバタバタした日々を過ごす事になる愛満なのであった。
ブックマーク、お気に入り、評価・コメント・レビュー等、して下さった方々、本当にありがとうございます。
脱字、誤字が多々ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。
「梅おかかサラダ風和え物」と、漬物屋と花梅、実梅
の登場人物
・菊子
カナール領の3女、貴族、領地は兄が継いでいる
見た目や頑張り屋さんな性格が曾お婆様に似ていると良く言われる、曾お婆様は元日本人
曾お婆様からお婆様、お母様、菊子達へと脈々と梅干しの漬け方や技術、コツ等が受け継がれている
カナール家に産まれた女の子は曾お爺様の決め事から名前の最後に『子』がつける事が決まっているらしい
花子曾お婆様好きの曾お爺様が勝手に決めた事ルートの1つ
夫カールとは大恋愛の末ゴールイン、後5人の子供を授かり
いくつになってもカールとは相思相愛のラブラブなご様子
少々………いや、かなり早口のマシンガントークになり
たまに話に夢中で息継ぎするの忘れて話が止まるとか、止まらないとか、…………
愛満曰く、女性芸能人になるアン○カに話し方や口調が大変良く似ているらしい
・カール
チャソ王国の金や権力、力等それなりに持つ高位貴族の九男
母は正室になり、母にとっては3人目に産んだ三男
母を同じにした兄が上に2人居る
父親には正室の母親を含め、第五婦人までの側室が居る
【ここだけの話、第五婦人まで持つカールの父親になるのだが、決してスケベ爺じゃありません】
後に菊子と結婚する為、分家を貰い受ける
菊子大好きのベタ惚れ、溺愛している
愛満曰く、藤○弘、のような深みのある、大変落ち着いた低音ボイスの渋い声の持ち主
たまに暴走する菊子のストパーになったり、ならなかったり
・蓮太郎
カールと菊子の嫡男、幼いながらにしっかとした考えを持ち、いつも丁寧な言葉でゆっくりハッキリ喋る事を心掛けている
蓮太郎の下に4人の弟や妹が居る
・チビッ子達
カールと菊子の4人の子供達
今回の旅で愛之助達に全力で遊んでもらい、美味しい物も食べれてバッタンキューするぐらいに大変満足しているご様子
・愛満
今回もいろいろと頑張っているご様子
・愛之助
今回、子守を頑張りつつ、愛満と一緒に漬けた『漬物』を皆にお披露目するご様子
・タリサ、マヤラ、光貴
今回、新しい友達を作り、遊びに勉強に大ハッスルご様子
・山背
今回、菊子から分けてもらった梅干しを愛之助達に食べられぬように頑張るご様子




