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合流地点へ強行


「よし、チャンネルの設定完了っと。……やるぞ。」


 無線機のチャンネルを設定し終えた東夜とうやは、インカムに手をあてて交信を始めた。


「こちらP.K.D.F津軽中央支部の生き残りです。現在、多数の敵に追われています。至急救援を要請します。繰り返します──」


 東夜が繰り返し何度もそう喋っていると、早くも雑音と共に返事が返ってきた。


「こちら西津軽支部の生き残りだ。無線の内容を了承した、至急そちらの救援に向かいたい。返事を求む。」


 無線先の声は30から40代くらいの男の声だった。


「応答を確認しました。そちらの部隊名とあなたの名前をお聞きしたい。」


「こちらは西津軽支部、西宮にしのみや攻撃隊だ。私は隊長の西宮篤にしのみやあつし。そちらも部隊名と名前を求む。」


「こちらは津軽支部、川嶋かわしま攻撃隊の隊長、川嶋東夜です。」


 どうやら一般戦闘員の部隊名は隊長の名字で固定されているようだ。


 “攻撃隊”とはクライシスなどとの戦闘を最前線で行う兵科だ。

 他にも救助をすることに特化した救助隊や避難をさせる事に特化した誘導隊など兵科は複数ある。


「了解した。そちらの位置は無線の発信源で把握している。とりあえず人数や状況などを知りたい。」


「こちらの人数は…7人、うち2人は重傷、移動は装甲車一台で行っています。」


「敵の数は?」


「人数は不明、重装甲車5台で銃撃をしながらこちらを追ってきています。」


「了解だ。そちらへ合流するためのポイントをこちらで絞る、少しのあいだ耐えててくれ。」


 西宮隊長はそう言うと無線を一時的に終了した。


「東夜、これ以上は耐えられないわ!」


 安奈が泣き叫びそうな声で言った。

 さっきから銃弾が当たる音が止まらない。このままでは合流する前に大破してしまいそうだ。


 そろそろ立ち上がるべきだろうか……。


「ここは俺が少しでも反撃して銃撃を弱める。東夜は無線で指示を聞いてくれ。」


 俺はそう言って銃座へと足を進めた。

 正直この状況で黙っているのに我慢の限界が来ていた。


常田ときた……、頼んだぞ。」


 銃座から外を覗くと後ろで二列になって追ってきているグリードの重装甲車を目視できた。

 俺は取り付けられた機関銃のグリップを強く握ると、重装甲車の銃座に立っている兵士らに照準を定めてトリガーを引いた。


「やりやがったなっ!」


 命中はしなかったものの、撃たれた機銃主は俺に向けて集中放火をしてきた。

 身の危険を感じ取った俺はとっさに車内に全身を隠して回避行動をとった。 


「だ、大丈夫?」


 俺の様子を見た諒が目を丸くして質問してきた。


「あ、ああ…しかし、こいつはいかんな……。」


 あの銃弾の嵐だといずれ連中に撃ち抜かれそうだ。

 どうやら俺の行動は無駄なあがきだったらしい。


 そう思っていると西宮隊長からの無線連絡が届いた。


「私だ、今から送る地図を見てほしい。」


 車内のコンピューターの画面モニターにルートを記した地図が映し出された。


「その地図通りに移動すれば、大きな川がある橋までいける。そこまで何とかして向かうんだ。」


「そこで合流ですか?」


 東夜は地図を拡大しながら質問した。

 見た感じではここから3、4キロメートルくらいはありそうだ。


「その通りだ。君たちが橋を渡ったら爆弾で壊して渡れなくする。だから少しでも距離を離して来てくれ。我々は今から橋に爆弾を仕掛ける。」


「そんな時間ありますか?」


 東夜の疑問に対して西宮隊長は鼻でふふーんと笑った。


「こっちは20人ばかりの人数がいるんだ。総勢で仕掛ければこの程度の橋は直ぐだ、安心しろ。」 


「結構揃ってますね……。」


 確かにこの状況で20人はかなりの団体に思える。


「まあな。後で合流したら詳しく話すが、ここにいる全員が俺の部隊ではないんだ。いうなら生き残りの集まりって感じでな、俺たちはこの集まりで小規模ながら仮設の避難所を開設した。現在は民間人の受け入れもしているし、P.K.D.Fの生存者で医療関係に携わっていた者には怪我人の治療をしてもらっている。」


「少し希望が見えてきたって感じがします……。」


 その会話に俺と諒は目を合わせて驚いた。

 確かにこれは希望だ。


「あんたらも合流したら、その避難所に案内するぜ。」


「助かります。それでは指定されたルートに従って進行します。」


「了解、検討を祈るぞ。」


 東夜は西宮隊長の無線を終了すると、目的地の記された地図のデータを運転席のモニターに送信した。


安奈あんな、今からその地図通りに移動してくれ。橋で別の部隊と合流することになった。」


「りょ、了解っ」


 安奈は画面をチラ見しながらスピードを上げて装甲車を走らせた。


「俺たちはどうするんだい?」


 諒が困った様に聞いてきた。


「どうするも橋に到着するまでは安奈の運転技術と神様にでも祈るくらいしかできないだろう。体を穴だらけにされたきゃ、銃座から機関銃でも撃ちまくるって案もあるがな。」


 東夜は苦笑いしながら言った。


「それだけは勘弁願いたいな……。」


 この状況ではやれることは無いと言ったところだろうか……。




「橋が見えたわ!」


 あれから10分弱、外の景色も見れないまま車内で揺られていると安奈の一言で全員が顔を合わせた。


 それと同時に西宮隊長からも無線が届いた。


「あんたらを確認した、そのままこっちまで渡ってこい!」


「了解ですっ」


 東夜がそう返事をするのと同時に、安奈の気迫のある叫び声が車内響いた。


「あああっ皆、何かに掴まって!」


 車内にいる全員がその言葉にポカーンとしていると、大きな爆発音と共に装甲車は宙に舞い上がった。


 それから車体は何回か転がり落ちながら、逆さまになった状態で橋の真ん中くらいの位置で止まった。



 ロケットランチャーか何かで吹き飛ばされたのかもしれない。

 

 最悪だ……。


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