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いつの間にか、眠っていた。
となりでは、カウンターに突っ伏して、キイの寝息が聞こえる。
キイを起こさないように、ゆっくりと、硬くなった体を動かしてみる。
窓の外では、重い雲が海を黒く染めていた。
僕の心が、そのまま目の前にあって、海は、それを否応なく映す。
背けたくなる光景に、なつかしさも、心の扉が開くことも。
灰色のその海の上で、空が光り、その数秒あと、神さまの声があった。
世界と離れてしまうって、こんな感じか。
僕だけが取り残されていたらと不安になる。
僕だけが取り残されたわけじゃないと安心する。
結局、雨にはならなかった。
それでも湿った風は、熱を奪っていった。
波の音ですら、ひんやりしている。
灰色の海が、僕を見ている。
その視線が、僕をとらえて離してくれない。
雨が降って、僕のこの不安を、すっかり流してくれればよかったのに。




