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次の週末、店に、幼馴染のキイが来た。
「ほんとにやってんだね」
「まあね」
「客、来た?」
「風は、よく来るよ」
「あと、砂も。みたいね」
「大盛況だろ」
「冗談言ってる場合か」
キイは、差し入れのジュースの入った袋をカウンターに置くと、掃除を手伝ってくれた。
テキパキと手慣れてて、ほんと頼りになる。
海からの風が、砂と肩を組み、この店に訪れることを、僕はこの夏、はじめて知った。
マスターがいたときには、そんなこと、すこしも感じられなかった。
この店を守ることの苦労を、やっていくことのたいへんさを、知ることにもなった。
洋風な音を出す風鈴の音色に、砂が床を転がる音が愉快にまじる。
ジャンポール
かすかに聞こえていた声が、時の流れとともに大きくなる。
ジャンポール
砂浜をゆくその声に、犬の声が重なる。
金色の毛が、夏の光のように眩しい。
おおきな犬が、砂浜をかける。
その足跡が、ささやかな混沌を生み出す。
つかの間の混乱は、でも、波が、きれいに鎮めてくれる。
ジャンポール
犬が、青い服の女性に飛びついて、女性が、犬を抱きとめて。
キイと僕とで、その光景を眺めた。
暑いなかにあって、でも、その姿は、異質なまでに涼やかだ。
「すてきだね」
窓の外を見つめながら言うキイに、僕は、笑みだけでそれに応じた。




