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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
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第六十五話 朝を迎えて

✣ ✣ ✣


結局的宴は続き、朝を迎えた。

デウス達も寝ずに朝を迎えることとなった。

「もう朝か。」

デウスが空を見てそう言う。

『眠かねぇのか?』

(相棒)がそう言うと、デウスは少し疲れたように鼻で笑った。

「眠くわねぇけど疲れたな。」

『どうして眠くねぇんだ?』

「イフリートとの戦いで死にかけた時に少し寝れた気がしたんじゃねぇか?知らんけど。」

デウスは立ち上がり、目を閉じて下を向いた。

「そろそろ出るか。」

その言葉に歩み寄ってきたビングルが反応する。

「そろそろ行くのはいいが、こいつらどうすんだよ。」

ビングルの見つめる先ではデア達が寝ていた。しかもぐっすりと。

「そうだなぁ。全員抱き抱えていくか?」

「馬鹿言え。無理に決まってんだろ。」

派手にツッコミをかますビングルにデウスは少し笑った。

「じゃあ、全員起きるまで待つとするか。」

そう言ってデウスはまた座り込んだ。その隣にビングルが座り込む。

「デウス、お前にひとつ話がある。」

「なんだ?」

ビングルの改まった感じにデウスはいつものように返答を返す。

「お前、いつも誰と話してる。」

「…………」

ビングルの問いかけにデウスは黙り込んだ。

『バレちまったな。』

『多分、お前が俺に話しかけた時からバレてる。』

デウスが(相棒)と話していると、ビングルがデウスに言った。

「また話してんだろ。誰だ。」

真剣に聞いてくるビングルにデウスはため息をついた。

「知ってもいい事なんてひとつもねぇぞ。」

「別に得しようとなんてしてねぇよ。ただ単純に気になったから問いかけてんだよ。」

一向に折れないビングルに(相棒)がデウスに言った。

『いいんじゃねぇか?話しても。』

デウスはそれには回答せず、ビングルに話した。

「俺が話してる相手は″俺″だ。」

「″俺″?」

「あぁ。」

ビングルはそれ以上問うことは無かった。

デウスは胡座を搔いた。

「…お前も話してんだろ?その″銃″と。」

デウスの問いにビングルは笑みを浮かべた。

「…気づかれてたか。」

「気づかないわけないだろ。お前が気づけてんだからよ。」

「そうだな。」

ビングルは立ち上がった。

「ぼちぼちあいつらも起きるだろ。」

ビングルはそう言って皆の元へ行った。

『もう一人の″俺″、か。カッコイイこと言ってくれるじゃねぇか。』

『別にそういう意味で言ったわけじゃねぇよ。ただ、』

『ただ?』

『……ただ、あいつの顔が何処か恐れていたからだ。』

『ふぅん。取り敢えず準備はしろよ。そろそろ行くんだろ?』

『あぁ。そうだったな。』

デウスは立ち上がり、少しその場を離れた。

ビングルはデア達が起きたところに出発すると伝えた。

デアとサクラはまだ少し酔っていた。

デウスがその場に戻ってきた。

「全員起きたか?」

デウスのことを見た途端、デアが顔を溶かした。

「…デウスゥ。」

訂正、少しではなく、普通に酔っている。

「デア?酔いがまだ回ってんのか?」

「酔いぃ?何それぇ。」

「完全に酔ってんな。」

デウスは呆れたように溜息をつき、デアを抱き抱えた。

「何ィ?」

デアは酔いに勢いを乗せ、笑顔を浮かべながらデウスの頬を撫でる。

「酔いが強いのか?」

アルカナムがデウスに問いかける。デウスは軽く頷いた。

「体が、だるい、ですね。」

デアに対してサクラは激しく酔っているのではなく、程よく酔っている。

「大丈夫か?」

「あ、はい。少し休憩すれば、大丈夫だと思います。」

サクラはアルカナムの肩を借りる。

「二日酔いか?」

「多分、そうだと思います。」

アルカナムの肩を借りるサクラだが、高さの違いが少しサクラを苦しめる。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

ずっと息が整わないサクラ。顔が赤く、今にも倒れそうだ。

「本当に二日酔い?」

「二日酔いだと、思います、けど…」

サクラはふらつき、地面に落ちた。

「おっと。」

アルカナムが何とか掴む。

「あ、ありがとうございます。」

サクラの感謝に何も言わず、アルカナムはサクラのデコに触れた。

「…熱い。」

「はぁ、はぁ、はぁ、」

どうやら二日酔いでは無く風邪であった。

「これで旅を続けるの難しそうだ。」

アルカナムはサクラをゆっくり地面に下ろした。

「す、すみません。私が風邪を引いたばっかりに。」

「気にすんな。仕方ないさ。」

だが、風邪の原因が何も分からない。

「体、熱い…」

サクラが右腕をデコに乗せる。

汗が凄く、見ているだけでこちらも熱くなるようだ。

「いや、待て。これ、本当に風邪か?」

デウスの言葉にアルカナムが少し体を動かし、デウスの方向にゆっくりと振り返った。

「どういうことだ?」

アルカナムの言葉にデウスは目を瞑った。

「風邪にしては症状が変だ。息切れはあっても、こんなに酷くない。」

「………………」

アルカナムは黙り込み、デウスの話を確り聞いていた。

「アルカナム、さん。」

「のわっ!」

アルカナムは後ろからサクラに倒された。アルカナムは倒れる際に体の向きを変え、仰向けで地面に倒れた。

アルカナムを乗馬のようにし、上に座ったサクラ。

息遣いが荒く、胸が大きく動く。

「サ、サクラ…?」

サクラは酔った時のように顔をとろけさせた。

「ねぇ、アルカナムさん?私、貴方が欲しい。」

「…は?」

「「えぇぇぇ!?」」

サクラの衝撃発言に全員が驚天動地。

敬語が無くなっている。サクラはサクラだが、何かが違う。

そして、アルカナムはある物を見つけた。

「…?なんだこれ。」

瓶が落ちていた。アルカナムはそれを拾い上げる。

「デ、デウス。なんだ、これ。」

アルカナムはその瓶をデウスに渡した。

デウスはそれを手に取り、瓶を見た。

貼り紙を剥がしたような白い跡が付いていた。

そして剥がし忘れのような場所にこう書いてあった。

″精力″と。

デウスはそれを見て言葉を失った。

「お、おい!デウス!何が書いてあったんだ!」

アルカナムが強く聞くと、デウスは瓶を下げ、アルカナムに告げた。

「精力…」

「…精力…だと…」

アルカナムは完全に終わったと思った。

すると、サクラがアルカナムの顔に顔を近づけた。

「アルカナムさん、ね?良いでしょ?」

アルカナムは目を瞑った。

その時、サクラが急にアルカナムに倒れ込んだ。

「な、なんだ?」

そこにはサクラの頭に手を置いているイラデゥエトスがいた。

「幻覚を、かけま、した。」

その言葉に全員が安堵。

イラデゥエトスを褒め讃えた。

その場は何とかイラデゥエトスによって沈められた。

その後、デウス達は行き先を決めた。

「次の国は″ベリアラスク國″だ。」

「ベリアラスク國?」

世界で三番目に巨大な國、ベリアラスク國。その規模からモンスターの標的になることもあるが、強い戦士によって守られている。

その國を目指す者も少なく無く、旅人なら必ず寄る國だ。

ビングルとグーラ、イラデゥエトスはベリアラスク國のことをあまり知らない。

「ここから北方向に七十キロ以上ある。」

かなり遠い。

「なんでそんな遠い所にわざわざ?」

ビングルが聞くと、デウスは普通に回答した。

魔神族ディアヴォルの本拠地がその方向にある。」

「本当か!」

フローレの驚きにデウスは頷く。

「何キロあるんだ?」

ヘルトがそう聞くと、デウスは少し考えた。

「そうだな。多分八千くらいか。」

普通の人間が歩きで移動すれば大体二千時間。日にちにして八十三から四日程かかる。

とてもでは無いが行こうとはしない。

「八千キロ。遠いな。」

しかし、デウス達は龍、あるいは闇で移動するため、長くても五十日程である。

「取り敢えずベリアラスク國に向かうぞ。」

デウスの言葉に満場一致。

因みにデアとサクラは両者とも眠っている。デアはデウスが、サクラはアルカナムが抱えている。

朝が来て時間は経ったが、移動することになった。

街民の人達の中には起きているものがいた。

その僅か十数名がデウス達の出発を見送った。

デウス達は街を出た。

「行くか。」

そう言ってデウスは背中から翼を生やした。

フローレ達の九つの罪龍はそれぞれ龍になり、主人を背中に乗せた。

「アルカナムは龍の姿にならないのか?」

「僕はいいよ。」

そう言ってアルカナムは少しだけ体を丸めた。すると、背中から龍の翼が生え、尾も生えた。

「龍化か?」

「半人半龍だ。」

アルカナムはそう言って空に飛び上がる。

「まぁ、同じだろ。」

デウスも飛び上がった。

「ここから何キロだっけ?」

イリビードはデウスに問いかけた。

「七十キロぐらいだ。」

デウスはそれに回答をした。

イリビードは納得し、翼をはためかせた。

「よし、行くか!」

デウスの掛け声に全員が反応し、北方向に七十キロぐらいの位置にあるベリアラスク國に向かった。


✣ ✣ ✣


「漸くここが分かったか。」

暗闇に一人、整った姿勢の男がいた。

「じゃあ、私が行くわ。」

その男の前にひざまづく女性。男は前を指さした。

「良かろう。お前に任せよう。」

その言葉に女性は笑みを浮かべた。

「逢瀬のままに。」

女性は男のことを王と言った。

男は腕を組んだ。

「私が奴らの首を持ってきましょう。」

「軽々しく言いよるわ。」

男は少し笑い、女性を見た。

「奴らの首を取ってくるのだ。紫骸架しがいかアルテミス。」

女性、いや、アルテミスは立ち上がり、男に一礼してから後ろに振り向いた。

そして歩き出すと、その体は原型をなくし、塵となって飛ばされた。

「さて、魔神王様に報告しなければな。」

男はまた笑った。大きな声で、大きな口で。

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