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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
75/91

第六十四話 強き敵には頼れる仲間

✣ ✣ ✣


デウスとイフリートはぶつかった。

ぎりぎりと武器を掻き削る。

「おらああ!」

イフリートは言葉遣いを変え、完全的敵対の意志を見せる。

「その力で押し切ろうとするの嫌いじゃねぇ。だがな、テクニックも必要だ!」

デウスはマルミアドワーズの向きを変え、デースペーラーティオを流した。

「悪魔も再生するのは知らなかったよ。いい勉強になったぜ!」

デウスはそう言ってイフリートの首筋に切り傷をつける。

イフリートは首から血を垂れ流すが、傷も、その血すらも消え去った。

「くそ魔神族ディアヴォルが!」

イフリートは怒りに任せ、槍を振るう。

デウスは全て受け流し、反撃の機会を伺う。

しかし、デースペーラーティオはデウスの腕を切り付け、ガードを弱めた。

「く、なんだ今のは。」

デウスが軽く無駄口を叩いている間にかなり追い詰められた。

「はああああ!」

イフリートは連撃の強さを高めた。速度も、強さも。

そしてイフリートは一撃に力を込め、真上から振り下ろした。

デウスは防ぎ切れず、肩を深く切られ、後方に吹き飛ぶ。

「ぐおあ!」

デウスは地面を転がり、仰向けで止まった。

傷は再生していく。

「「はぁ、はぁ、はぁ、」」

デウスもイフリートも息切れを起こしていた。両者とも汗の量が凄い。

デウスはゆっくりと立ち上がる。

「さっさと殺されろ。」

イフリートは声に疲れを乗せ、デウスに言い放った。

「それは、無理な話だ。」

デウスはマルミアドワーズを肩にかけた。

イフリートはデースペーラーティオを振った。

「これを喰らわせてやる。」

イフリートはデースペーラーティオを片手に構えた。

デウスはその構えを見て驚きを隠せずにいた。

「そ、その、構えは、」

その構えはデウスの仲間全員がほぼ知っている構えだった。

初めてデウスが全員の前で披露した流派の構えだった。

臥龍冴虎構がりごとらがまえっ!」

世界にひと握りしか使うものがいない虎のように獲物を狩る構えを取る流派である。

「蒼々たる限界の導きが霊気と慙愧として伸し掛る。それらを銃火のように射抜け!『全虚の望外雷(レク・ベレクセ)』!」

槍は突き出され、銃弾の如く極速を出し、デウスに襲いかかった。

デウスは躱そうとするも、躱しきれず、左胸を穿かれる。

「ぐはっ!」

口からも左胸からも血を出したデウス。

デウスは地面に膝を叩きつけ、腕で体を支えた。

『い、痛いッ。いつもよりも、痛いッ。』

『神気霊魂槍は嘗て大地の再生力を奪ったと言われる。相棒の再生力も奪われたぞ。』

となればこのままではデウスは出血多量か失血死してしまう。

それだけは防がなければならない。でなければまたあれが発動してしまう。

「……はぁ……はぁ……」

息が続かなくなってきている。

それにつれて血はダラダラと溢れるばかり。

イフリートは渾身の力を出し切ったと言わんばかりに地面に座り込んでいる。

デウスは到頭手をつく力すら抜けて行った。

地面に打たれた鰻のようにデウスは地面に体を倒した。

視界が暗雲に包まれていくようだった。

まるで干将・莫耶を手に入れようとしていた時のようだ。

『相棒!しっかりしろ!』

(相棒)の声さえも遠ざかってゆく。

しかし、その鼓膜を叩くように声が聞こえた。

「お前は、またデアを泣かす気か?」

その声が聞こえた途端、デウスは背中を刺された。

「ぐあ!」

声の張本人が刺したと思われる。

刃物をデウスの背から抜いた張本人。

すると、傷が癒えて行った。血の量も全て治っていた。

デウスは座り込み、傷口を見た。刺されて傷が修復する。

『これは、干将・莫耶の能力だ。』

デアが所持していた干将・莫耶の効果だ。

しかし、声の高さ、それにデアと名を使っていたため、デアではない。

デウスは後ろに振り返った。

「ビングル!ヘルト!」

そこには干将・莫耶を持ったヘルトと銃を持ったビングルがいた。

「その干将・莫耶は?」

デウスが問いかけると、ヘルトは鼻から空気を出した。

「あそこまでベロベロに酔ったデアから武器を取るのなんて簡単さ。」

「どうして干将・莫耶を持ってきた?」

「数時間前のお前とアルカナムのあの表情から敵が強いってことが分かったからな。ひょっとすれば再生力を奪われてるんじゃねぇかって思ってな。」

デウスは立ち上がり、マルミアドワーズを持ち上げた。

「それより、助かった。」

「礼はアイツを倒してからにしろ。」

ビングルはイフリートを見てそう言った。

ビングルの目先には立ち上がるイフリートがいた。

「巫山戯やがって。」

疲れは無くなった様子のイフリートがデースペーラーティオをビングルに向けてそう言った。

「すまねぇな。だが、こいつは俺らのリーダーなんだ。そう簡単に死なせやしねぇよ。」

ビングルは突撃銃をイフリートに向けた。

狂確サンガ。」

ビングルはそう言って銃を発砲した。

覊惹きじゃ。」

イフリートは腕を硬化させ、銃弾を弾こうとした。

しかし、銃弾はイフリートの腕を抉り、風穴を開いた。

「ビングル、お前。」

デウスがビングルを見ると、ビングルは銃から出た煙を吹いた。

「俺もあの一ヶ月間ダラダラしてた訳じゃねぇんだ。」

その言葉を威嚇するように大きな音が鳴った。

「何奴も此奴も巫山戯やがって。」

イフリートは槍を地面に付けた。

デウスは大剣を肩にかけ、イフリートを見た。

「次は本気で行くぞ。久々だ。これ程までに力を振るいたいと思うのは。」

そう言った途端、デウスの周囲に風が浮遊し始めた。

「ビングル、ヘルト。少し下がってろ。」

ビングルとヘルトはデウスの言う通り後方に下がった。

風がデウスの姿を隠した。

イフリートはデースペーラーティオを強く握り、構えた。

イフリートは何も言わず、地面を蹴り、デウスに突撃した。

槍が風を切り裂き、デウスに届いた。

しかし、手応えをイマイチ感じなかった。

それに、金属のぶつかる音が鳴っていた。

「少し待ったらどうだ。急がば回れって言うだろう。」

その途端、風が弱まり、デウスの姿が顕になった。

背中には翼、尾が生え、腕と脚が龍のようになっていた。そして彎曲した邪気の角。

「久しぶりに使うな、龍化。」

デウスはイフリートをはじき飛ばした。

イフリートは後ろに飛ばされ、背中から地面に激突する。

「ぐっ。」

イフリートは槍を地面に付け、立ち上がる。

紅黒こうこく。」

デウスはそう言うと、マルミアドワーズに火が灯った。それも紅と黒の。

絃紋げんもんか。フローレの紋章も無しによく扱えるな。」

デウスはマルミアドワーズを肩に置いた。

『お前の力借りるぞ。』

『別にいいが、そんなに発動して体持つのか?』

『お前も見てただろ。修行を。』

デウスは目を瞑った。

気を逃すまいとイフリートはまた構えた。

その時、イフリートの左頬を銃弾が掠った。

「少し相手をしてやるよ。」

デウスが集中している間、ビングルとヘルトがイフリートの相手をすることになった。

イフリートは構えた。

「臥龍冴虎構えか。俺はあまり好きじゃねぇんだけどな。」

ビングルはそう言って銃を構えた。

ヘルトは干将・莫耶を腰に携えた鞘に収め、背中から鎌を取り出す。

「その鎌は、」

イフリートはあることに気づき、動きを止めた。

「ま、気づかれるわな。」

鎌を肩にかけたヘルトにビングルは問いかける。

「その鎌何かあんのか?」

「これはな、織が修行の時にたまたま見つけた産物だ。名前は死を導く者(アンヘル・カイド)。神気霊魂鎌だ。」

今この場に三つしか存在しない神気霊魂武器が揃った。

「貴様は先に消す!」

イフリートは地面を蹴り、ヘルトに急接近した。

イフリートは神気霊魂槍を振り下ろした。が、神気霊魂鎌に止められた。

「そう興奮すんな。」

そう言ってヘルトは神気霊魂槍ごとイフリートを地面に叩きつけた。

現虐げんぎゃ蒡極ぼうごくかいを招き、惨虐なる殺戮世界と化せる。その一撃は死神の玉座にせし玉砕!廃壊の極上よ!殺せ!『天下の殺戮兵器ドロモス・レク・ボリバトール』!」

イフリートの目には一瞬、ヘルトが死神に見え、恐怖が滲んだ。

即座に逃げ出そうとしたが、体が動かない。

鎌はイフリートの背中に刺さり、地面を砕いた。

地面にヒビが入り、周囲に広がった。

五メートルほど伸び、音を立てて地面が抉れた。

「があああ!」

痛みのあまり声が出るイフリート。

ヘルトは鎌をイフリートの背中から抜き、蹴飛ばした。

イフリートは顔を蹴られ、そのまま後ろに吹き飛んだ。

「なんて破壊力だ。」

ビングルが驚いて言葉を出す。

「うーん。あれはまだ初期攻撃に過ぎないんだが、まさかここまで崩壊するなんて。」

ひと目見ただけでその破壊力は絶大だった。しかし、それを初期攻撃と。神気霊魂鎌はかなりの破壊武器なのだろう。

「取り敢えず、相手も少し怒ったみたいだぞ。」

ヘルトの言葉にビングルは薄ら笑いをした。

「後はデウスに任せるか。」

ビングルとヘルトは武器を下ろし、後方に下がった。

「くっ、そ。」

イフリートは何とか立ち上がった。

その時、デウスが目をゆっくりと開き、笑みを浮かべた。

「本番ハコレカラダゾ、イフリート!」

デウスの声は二重になっていた。

炎の灯ったマルミアドワーズの色は変色し、黒紫色になっていた。

イフリートは体に出来ている傷を抑えた。

「何故、塞がらない。」

ヘルトに付けられた傷が癒えない。

そこでヘルトがイフリートに言った。

「知ってるか?死神の攻撃は死の尊重。何をしようが傷が癒えることはなく、死を待つしかなくなるのさ。」

ヘルトの言葉に終止符を打つようにデウスがイフリートの目の前に移動した。

ヒザマズケ。」

デウスはそう言って開眼した右眼を大きく開いた。

すると、イフリートの体は重りにかかったように地面に叩きつけられた。

うつ伏せになるのではなく、膝と手を地面についている状態だ。

「最期ノ攻撃ダ。確リ受ケ取レ。」

デウスはマルミアドワーズを上に掲げた。

「ハアアア!」

振り下ろされたマルミアドワーズは真っ直ぐにイフリートを狙い、イフリートの体を縦断する。

イフリートの体は二つに分かれ、塵残らず燃えて消えた。

デウスは紅黒を解除し、その後諸々解除した。

そしてゆっくりと開眼した右眼を閉じた。

デウスはマルミアドワーズを鞘に収めた。

「終わったな。」

ビングルが銃を背中に収めて近づいてきた。

「長かったな。」

鎌を背に収めたヘルトが歩み寄ってきた。

「強かったよ。」

そう言ってデウスは地面に座り込んだ。

「次からはちゃんと俺らを頼れよ。」

ビングルの言葉にデウスは苦笑いした。

「悪かったよ。次からは頼る。」

ビングルとヘルトは頷いた。

そこへぞろぞろと街民がやってきた。

「さっきの大きな音はなんだ!?」

一人の街民がデウスに聞くと、ビングルとヘルトが笑った。

「な、何が可笑しいんだ!あんたら!」

デウスが立ち上がり、一人の街民の肩を叩いた。

「少し力試しで戦い合ってただけだ。気にするな。」

そう言ってデウスとビングルとヘルトは街の方向に向かって歩き出した。

街民達はどうにも納得できなかった。

破壊されていた地面を見て。

街民達はデウス達の方向を見た。

デウス達は笑い合い、話し合いながら歩いていた。

『『何があったんだ……』』

街民達は疑問が消えないままだった。

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