第六十話 強さへの第一歩
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九つの罪龍ではないが、契約を交わしたサクラ。
模様は四大天使の翼だった。
右上にウリエルの翼、左上にミカエルの翼、右下にラファエルの翼、左下にガブリエルの翼となっている。
四大天使は一人一人によって翼の形が変わっている。
ウリエルの翼は天使の翼、ミカエルの翼は覊鏖の力で形成された翼、ラファエルは鳥哭龍の翼、ガブリエルは妖艶精壊龍の翼。
見た目はかなり恐ろしい。
「それではマスター。闇の解放を目当てにしているのだろう?」
「どうして分かるんですか?」
まだ何も言っていないサクラの思考を読み取った。
「覊鏖を扱えますので。」
アルカナムの覊鏖の個性は思考掌握、明鏡止水、刹那の三つ。
思考掌握はその名の通り、相手の思考を読み取り、全て自分のものにしてしまう。
明鏡止水は邪を打ち払い、聖に尽くす。魔神族への最高対策でもある。
刹那は一瞬の内に攻撃できる。目にも見えぬ速度で敵を攻撃する。デメリットとして体力、魔力を多く使う。
流石祖龍と言ったところ。覊鏖の個性は多くて二つのところをアルカナムは三つ。
素晴らしいという言葉が一番手っ取り早い。
「相手になるよマスター。」
そう言ってアルカナムは掌を地面に勢いよく叩きつけた。
アルカナムの掌と接触している地面が光だし、蒼く呑み込む。
アルカナムが手を離していくと、電が生じ、何かを形成していく。
何かを形成し終わり、アルカナムはそれを握りしめた。
金属と金属の接触音が鳴り響いた。
アルカナムの手にあったものは一つの大剣だった。
「初めて見る形だ。」
刃は片刃、太刀のように反っており、鍔は存在していない。柄が龍の如し形容をしている。
「これはライレイカンが作ってくれた大剣だ。属する武器種は霊裓。」
「霊裓ってなんですか?」
世界に一本しか存在しない大剣。所持する者にはかなりの負担がかかり、神気霊魂剣を使用しているものでさえも扱うことが極困難な武器種である。
それをアルカナムが使用しているとなると、ただものでは無いということが伺える。
「霊裓クレスケンス・ルーナ。使いこなすのに二百年かかったからな。」
「「二百年!?」」
桁外れな時間を使用したということは分かるが、二百年はかなりだ。
「流石霊裓だな。」
デウスがそう言うと、アルカナムは少しため息をついた。
「ライレイカンも良くこんなもの作れたよ。」
アルカナムは霊裓クレスケンス・ルーナを一振した。
空気が切れたような音がなり、風圧がデウスとサクラの髪を揺らす。
「たった一振でここまで。」
サクラが驚いていると、アルカナムがクレスケンス・ルーナを地面に突き立てた。
「さ、マスター。どこからでも来てくれても良いぞ。」
アルカナムの言葉にサクラはエクスカリバーを構えた。
「では、行きます!」
サクラは正面からエクスカリバーを振りかざした。
アルカナムはクレスケンス・ルーナを抜き、即座に受け返した。
サクラは後方に飛ばされ、地面に足をする。
「凄い力ですね。ではこれでどうですか。」
サクラはエクスカリバーを両手で持った。
そしてサクラは大きく叫び、アルカナムにエクスカリバーを振り下ろした。
「『絶対的勝利』!」
振り下ろされたエクスカリバーはクレスケンス・ルーナに衝突し、呆気なく止められた。
「嘘…」
驚きを隠せず、サクラは目を点にする。
「もう少し力を抜いて振り下ろすんだマスター。」
アルカナムはエクスカリバーごとサクラを弾き返した。
「はあああ!」
サクラはエクスカリバーを連続で振る。
アルカナムはそれを意図も容易く防ぎ切る。
「遅いぞマスター。もっと脇を閉めて切り込むんだ。」
「っ、はい!」
サクラは言われた通り脇を閉め、攻撃を打ち込む。
速度が上がり、アルカナムのスピードに少し追いついた。
「次は自分に合った立ち方だマスター。」
サクラは一度アルカナムから距離を取る。
構えを変え、アルカナムに攻撃した。
先程よりも速度が格段に上がり、アルカナムの速度に追いついた。
「はああああ!」
「いい調子だマスター。次は神経を研ぎ澄ませて敵の攻撃を読むんだ。」
アルカナムはサクラをはじき飛ばし、クレスケンス・ルーナを振り下ろした。
サクラは目を瞑り、神経を研ぎ澄ました。
エクスカリバーでクレスケンス・ルーナを受け流し、そのままアルカナムに攻撃した。
アルカナムの左頬に小さな切り傷が出来た。
「よし。次は体全体に集中するんだ。自分を一つの物質と考える。そしてその物質に鋼鉄や鋼を被せたイメージを浮かべて剣を打ち込めマスター。」
サクラは構えを解除し、深呼吸する。
そして目を瞑り、また神経を集中させる。
体全体を一個の物質と考える。それに鋼を被せるイメージ。
サクラは目を開き、エクスカリバーを振り下ろした。
「やああ!」
大きな金属の音がなり、アルカナムの防ぐ腕が震える。
「おおっ。強くなった。このまま連続で攻撃だ。」
「はああ!」
サクラはエクスカリバーを連続で振る。
かなりの速度で振られる攻撃は重い大剣では防ぎにくい。
アルカナムの足が地面を削り、後ろに少し下がった。
サクラの速度はさらに上がる。
「はあああああ!」
サクラは等々アルカナムの耐久性に勝ち、アルカナムをはじき飛ばした。
地面に足を擦るアルカナム。
「あれだけでここまで。」
アルカナムはクレスケンス・ルーナを肩にのせた。
「じゃあ次だマスター。これを防げ。」
アルカナムの構えがとても特殊だった。
右手にクレスケンス・ルーナを持ち、それを肩に乗せる。左手を前に出し、腰を落とし、足幅を開く。
だが、何処か様になっているような感じだった。
「追記の閃撃が独爆と蓮爆を呼び起こし、霊魏が禄王特技の旋律を並べる。破壊の守護となり、再生の神となれ!『菐漠せし神機』!」
地面を蹴り、急接近するアルカナムは勢いよくクレスケンス・ルーナを振り下ろした。
サクラは受け流すことに決め、エクスカリバーで受け流した。
「懸命な判断だマスター。」
クレスケンス・ルーナが地面に着いた途端、地面が割れ、数岩切り割った。
真面に喰らっていたら死んでいたかもしれない。
「ボーッとしてる暇はないぞマスター。」
アルカナムの声に反応し、サクラはエクスカリバーを振った。
エクスカリバーがクレスケンス・ルーナと激突する。
アルカナムはすぐ様距離を取る。
「あの状態から防ぐとは。」
アルカナムは柔軟にクレスケンス・ルーナを振り回した。
爆風がサクラを襲う。
サクラはエクスカリバーで振り払い、道を切り開いた。
「はあああ!」
サクラはその小さな切り目から走り込み、アルカナムにエクスカリバーを振りかざした。
「単純すぎるぞマスター。」
アルカナムはそう言ってクレスケンス・ルーナを振り下ろした。
エクスカリバーに触れず、地面に激突したクレスケンス・ルーナ。
激突した部分から轟々《ごうこう》が鳴り響き、残爆が弾け、サクラを吹き飛ばす。
「きゃああ!」
サクラは後方に大きく吹き飛ばされ、地面を滑る。
「では、気絶させて終わりとさせてもらう。」
アルカナムは先程とは違う構えを取る。
右足を引き、クレスケンス・ルーナを逆手で持つ。そして爆速スピードでサクラに近づいて行った。
サクラは立ち上がり、エクスカリバーを両手で持ち、腕を落とした。
突如サクラの周囲から光が抜け、闇が包んだ。
すると、エクスカリバーの色が変色して行った。
黒い全体と紅い模様が際立つ。
「数多の猛気が凍虎し、鉾けりな禄王が戦火の如く繕化する。世界に怠惰無き煉獄と呑み込まん!『地獄的不凶唄』!」
サクラとアルカナムは同時に攻撃し合い、すれ違った。
金属と金属の弾ける音が世界を揺らす。
デウスは笑みを浮かべた。
サクラはエクスカリバーを振り、鞘に収めた。
「私の勝ちです。アルカナム様。」
その言葉と同時にエクスカリバーが鞘に収まった。
エクスカリバーが鞘に収まったと同時にアルカナムの肩から脇にかけて大きな裂き傷が開き、血が吹き出た。
「成長したなマスター。」
アルカナムはその言葉を残し、地面に倒れ込んだ。
覊鏖を使用していないアルカナムにサクラは勝った。
これは誇れる成果である。
「よくやったな。」
デウスがサクラに近づく。
「はい。でも、少し疲れました。」
脱力したサクラをまた抱く。
「お前は強くなった…って、聞いてないか。」
サクラも寝ていた。
アルカナムが音を立てて立ち上がった。
傷口は既に再生していた。
「強ぇだろ。俺の仲間。」
デウスの満面の笑みにアルカナムは薄く笑った。
「そうだな。今回は負けだ。」
アルカナムはクレスケンス・ルーナを背に直し、デウスとサクラに近づいた。
「よいしょっと。」
デウスはサクラを抱き抱える。
「君は戦わなくていいのか?」
「また今度な。」
デウスの返答にアルカナムは笑みを浮かべ、手を頭に置いた。
「油断は出来ないな。」
アルカナムの言葉にデウスが鼻で笑った。
「そう言って、舐めてかかってくんじゃねぇぞ。」
「分かっている。戦闘は全力で、だ。」
デウスとアルカナムはすっかり仲良くなった。
「よし行くか。」
「何処へ?」
「俺の仲間の所へ。」
そう言ってデウスとアルカナムは歩き出した。メルバリング國へ。




