第四十四話 四大魔神アストルフォ
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デウス達はスラビア国に辿り着いた。
その門の前には戦う準備を整えた戦士達がわんさか居た。
「来たな!アストルフォ・グロリアル!その首打ち取ってくれる!」
一人の戦士が剣を向けてそう言い告げた。
「は?アストルフォ・グロリアル?」
デウスは疑問に思い、声に出した。
「全員!戦闘態勢!」
戦士がそう言うと、人々は武器を構えた。
「おい待て!俺はアストルフォ・グロリアルって言う奴じゃねぇぞ!」
デウスはそう言って戦士達を説得しようとしたが、全く聞く様子はない。
「行くぞー!」
一人の言葉が全員の戦士達に行き渡った。
戦士達はこちらへ一直線に走ってくる。
デウスは背から龍鱗を抜き出した。
「違うっつってんだろうが!」
デウスはそう言って龍鱗を地面に勢い良く差し込んだ。
その力は膨大で、戦士達を揺らし、地面を抉った。
戦士達はめげずに向かってくる。
デウスは大きくため息をついた。
「めんどくさい事になったな。」
ビングルは人事のように笑ってデウスに言う。
「巫山戯んじゃねぇよ。」
デウスは地面から龍鱗を抜き出し、鞘に収めた。
そのままデウスは腰を落とした。
向かってくる戦士の大群を迎え撃つ。
「一度叩かねぇと聞かねぇ見てぇだな。」
スペルビアが人間の姿に変わり、懐から小さい鉱石を出した。
「なんだそりゃ?」
「まぁ見てな。」
そう言ってスペルビアは鉱石を握り潰した。
あまり固くないデイライト鉱石を握り潰したスペルビアは少し手に空白を作った。すると、その鉱石が光り、武器の形に変わっていった。
鉱石は槍に変わった。
「お前槍使いだったのか。」
「餓鬼と戦った時にあそこまで槍を使いこなしていたんだ。槍使いじゃねぇと有り得ねぇだろ。」
その槍は輝き、真紅の色を帯びている。
血管のように浮き出ている細い管の中央には青い線入っている。
「俺の神器だ。扱いやすさで言えばゲイ=ボルグぐらいだ。」
「よく分からん。」
デウスはそう言って龍鱗を抜き出そうとした。
しかし、その時だった。
デウス達は大きな気配に気づき、その場を即座に離れた。
その場は大きな一撃を受けたように音を立て、地面が抉れた。
「僕の気配に気づくとは、意外とやるんだね。」
戦士達は足を止め、上を見た。
デウス達も声のする方向を見た。
「初めまして。僕の名前はアストルフォ・グロリアル。あなたがた達を殺しに参りました。」
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デウスは驚いていた。アストルフォの背中から出ている翼は闇の翼。見た目がとても綺麗だ。
「闇を完全に支配してるのか。」
デウスは息を飲み込んだ。
アストルフォは地面に降り立ち、翼を消し去った。
「君達がデスペランドーマとスカサハを倒した人達でいいのかい?」
スペルビアは槍の柄を地面に付けた。
「そうだ。」
アストルフォは背中から何かを取り出した。
鎚だ。
「それは、聖鎚シャルル。」
武器種は鎚だが、見た目からは鎚とはかけ離れている。
斧のように刃がついており、とても物を叩くという見た目ではない。
「これを知っているんだね。」
「あぁ。知ってるとも。聖鎚シャルル、その力は空を断ち、大地を砕くとされる聖なる鉄槌。本当に実在するとは思わなかった。」
デウスは冷や汗を掻きながらそう言う。
「そう言う君の腰にかけている武器。それはエクスカリバーとカラドボルグだね。」
デウスは苦笑いを顔に滲ませた。
エクスカリバーが分かるのはともかくとして、カラドボルグを見破られるとはデウスも思わなかった。
有名ではあるカラドボルグだが、その見た目は古文とは相反した容姿をしている。
「それに、君からは邪気を感じる。魔神族と同じ邪気だ。」
デウスは一歩足を引いた。
スカサハとは違う緊張感と圧迫感を感じる。
恐怖とは違う。これはもっと恐ろしいものだ。
「君の感情は甘いね。決意の味だ。」
アストルフォは舌を出し、唇に滑らせた。
デウスは武器を取り出した。
「でも、少し苦い。緊張した感情と焦った感情が入り交じってる証拠だよ?」
スカサハよりも強いという確信がデウスの胸を揺らす。
「他のみんなからも同じ味を感じる。それに、酸っぱい味もするね。かなりの疲労を抱えているよ。」
全て当てはまる。
「お前、一体何者だ。」
「僕かい?僕は四大魔神三番目のアストルフォ・グロリアルだよ。」
デウスはその時、知ることになった。
四大魔神はスカサハの話によると下の方の立ち位置だ。
それなのにこれ程までの圧迫感。
『相棒。これは勝てるか分からねぇぞ。』
『あぁ。分かってる。』
すると、アストルフォの後ろから何体かのモンスターが現れた。
「全員を僕一人で倒すのは時間がかかるから僕のおもちゃ達にも手伝ってもらうよ。」
そのモンスター達は何体かのモンスターが入り交じってるような不格好な形になっている。
「合成獣だ。」
戦士の絶望に満ちた声がアストルフォに届いた。
「そう。その感情だよ。とてもジューシーで美味しいよ。僕はその絶望の感情が大好物なんだ。もっともっと頂戴。」
デウスは後ろを見てみんなに告げる。
「皆は合成獣を頼む。アストルフォは俺が相手をする。」
デウスはそう言って龍鱗を鞘から取り出し、口に銜えた。
デアは頷き、干将・莫耶を鞘から取り出す。
「皆。デウスを信じよう。」
デアのその言葉に全員頷き、戦士達に折り合いをつけ、共闘を結んだ。
「なんだ。君が僕の相手か。あまり美味しい感情がないから嫌なんだよね。」
「うるせぇ。俺を殺しに来たんだろ。なら好都合じゃねぇか。」
「ま、それもそうだね。殺ろうか。」
アストルフォはシャルルを振りかざした。
振り下ろされたシャルルからは風圧が出、デウスの感情を唆る。
「行くぞ。四大魔神、アストルフォ!」
デウスはエクスカリバーとカラドボルグを抜き出し、アストルフォに急接近した。
「ボロボロに叩き潰してあげるよ。デウスくん。」
アストルフォの微笑みは悪魔の笑顔と変わり、シャルルを振った。
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エクスカリバーとシャルルは激突した。暴風が吹き荒れ、黒い稲妻がバチバチ音を立てていた。
「君、なかなか見込みがあるね。僕のおもちゃにならない?」
「おもちゃになる気はねぇよ!」
デウスはカラドボルグを振りかざした。
「おもちゃにならないならいいよ。」
アストルフォはエクスカリバーを弾き、シャルルでデウスの腹を打った。
「ごあ!」
デウスはそのまま地面に強く叩きつけられた。
「だああ!」
デウスの腹には大きな裂き傷があった。
デウスの体は身動きを取れずに、横になっている。
「おやすみ。」
アストルフォはシャルルを振りかざした。
『死ぬ!』
その途端、デウスの体が動き、避けることが出来た。
「なんだ、今の。」
デウスにも何が起こったのか理解が追いつかない。腹の裂け目は塞がっていた。
「凄い力を秘めてるんだね。益々《ますます》おもちゃにしたくなっちゃうよ。」
そう言ってアストルフォはシャルルを大きく振りかぶった。
デウスはカラドボルグで受け止めようとする。
「おりゃ。」
アストルフォは小さな声で強く振った。
カラドボルグとシャルルが激突したが、デウスは吹き飛ばされず、耐えることが出来た。
「重いっ!」
アストルフォの筋力は化物級だ。それを耐えるものは少ない。
「耐えるんだね。」
アストルフォはもう一度、カラドボルグを弾いた。
しかし、デウスは体勢を崩さず、耐えきる。
『相棒、これは特殊スキルの解放が原因だ。』
『解放?』
『四十九個のうち一つの門が開いた。効果名は″剛耐″。』
『剛耐?』
『通常では防ぐことの出来ない攻撃を防いだり躱したりすることが出来るという効果だ。』
デウスは虎のように構える。
「いい効果だ。」
アストルフォはシャルルを肩にかけ、左足を前に出し、腰を落とした。
「ならこれはどうかな。」
アストルフォは一歩大きく前に進み、デウスにシャルルを強く振った。
「三刀流、轟!」
アストルフォの攻撃を防いだ。
「ぐっ、」
重い一撃に体が痛みを訴える。
アストルフォはもう一歩足を出した。
「さぁ、吹き飛んで!」
デウスは後ろに押される。負けずと、力を強め、足を地面にベッタリつけた。
「はあああああ!」
デウスはシャルルを弾き、アストルフォを後方に飛ばした。
「君凄いね。」
アストルフォは体勢を戻し、デウスに言い放った。
「その褒め言葉は真面目に受け取っていいんだよな?」
「そう受け取ってくれて構わないよ。でも、君は僕に殺される運命にあるけどね。」
アストルフォはシャルルを両手に持ち替えた。
腰に構え、腰を落とした。
「やぁ!」
アストルフォはシャルルを斜め上から大きく振りかぶり、デウス目掛けて攻撃した。
デウスはカラドボルグで受け流し、エクスカリバーを振りかぶった。
「はあああ!」
振り下ろされたエクスカリバーはアストルフォの肩を掠った。
アストルフォは後方へ跳び、距離を取った。
「痛いよ。」
アストルフォは少し悲しい顔をしてそう言った。
「直ぐに再生するだろ。」
デウスはアストルフォにキツく言う。
「心配ぐらいしてくれたっていいじゃないか。」
「敵に優しくするほど俺は甘くない。」
そう言ってデウスはエクスカリバーを逆手に持ち替えた。
「そう。なら僕も君に優しい言葉をかけることはないよ。」
「敵に褒められてもあんまし嬉しくねぇよ!」
デウスは地面を蹴った。
「二刀流!」
デウスは真っ直ぐアストルフォに近づく。
「そろそろ終わらせようか。」
アストルフォはシャルルを両手で持った。
そして、斜め上から大きく振りかぶった。
「螺旋!」
アストルフォとデウスは武器と武器をぶつけ合い、爆風と轟音を鳴らした。




