第四十二話 四大魔神スカサハ
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街の中はレイシング国と同じくらいじたばたしていた。何故なら、あと一時間もないからである。
デウス達が街に入った途端、全員の動きがピタリと止まった。
「なんだ、お前ら。」
一人の男がデウスを見てそう言った。
「救世主だ。」
デウスはそう言って笑みを浮かべた。
「救世主?お前らがか?」
男がそう言うと、剣や槍を手に携えた仲間が全員笑った。
「笑いたきゃ笑ってな。もうすぐで知るさ。」
「偉そうにしやがって。よそもんの分際で!」
男達はデウスに襲いかかった。
デウスは龍鱗を振り、男達の武器を弾き飛ばした。
「何をしやがった。」
「お前ら見てぇな奴らが戦士だとは思わねぇ。だが、この国を救いたきゃ今すぐに作戦を立てるべきだ。」
デウスはそう言って龍鱗を逆手に持ち替えた。
「餓鬼、少し付き合え。」
スペルビアがそう言った。
「いいぜ。」
突如壁の奥から姿を表した龍に街の一同は驚いた。
「少しだけだぞ。」
デウスはジャンプした。すると、一回のジャンプで壁を乗り越えた。
街は救世主が本当に来たと思い始めた。
「さ、敵の情報を教えるわ。」
デアがそう言って街の皆をまとめ始めた。
一方デウスとスペルビアは一同契約を結んだ。
そして、スペルビアは人間の姿に変わった。
「準備運動か?」
「そんなところだ。」
スペルビアは懐に黒き風穴を作り、そこから二つの槍を取り出した。
「スカサハみたいだな。」
「魔神族の基地に侵入した時にたまたま見つけたから持って帰ってきたのさ。」
一つは赤い色がマッシュのようになっており、徐々に色が薄められてある。
もう一つは黒く、白いメッシュが入っている。
「ゲイ=ボルグとアスカロンだ。」
赤い槍がゲイ=ボルグ。黒い槍がアスカロン。
ゲイ=ボルグは危険殺戮兵器の一つ。
アスカロンはあまり知れ渡っていない槍。その刃は一突きで龍を穿つとされている。
対龍用に作られた槍。嘗ては神々が所持していたと思われる。
「二刀流対三刀流か。面白いことにはなりそうだな。」
デウスは右手に持っていた龍鱗を口に銜える。
デウスはそう言って右手にエクスカリバー、左手にカラドボルグを持った。
鞘から音を立てて引き抜かれた。
「行くぜ。」
「来い。」
デウスが先手を取った。
手始めにエクスカリバーで攻撃した。
スペルビアは右手に持つゲイ=ボルグで防いだ。
危険殺戮兵器同士がぶつかり合う。
「流石と言ったところだな。」
スペルビアが受けながらそう言う。
「まだまだ!」
デウスは三刀を駆使して攻撃する。スペルビアは二刀の槍で受ける。
金属音が何度も鳴り響く。
「三刀流、哭鎖鎌!」
大きな音とともにスペルビアが後ろに吹き飛ばされる。
何とか体勢を整え、足を地面に着きながら後ろに突き飛ばされる。
「強いな。昔とは比べ物にならないくらい。」
「やっぱり人間の姿の方が戦いやすいんじゃないのか?」
スペルビアは右足を後ろに大きく引き、股を大きく開く。
そして、体を前方姿勢にし、獲物を狩る虎のような体勢を取る。
デウスはエクスカリバーとカラドボルグを逆手で持ち、鞘に収め、カラドボルグだけ少し出した。
「神槍、波紋、柔剱!」
スペルビアは左足で地面を蹴った。
物凄い勢いでデウスに突撃する。
「二刀流居合っ!」
スペルビアとデウスがすれ違い、両者ともその場で足を止めた。
少し刃の出たエクスカリバーとカラドボルグを鞘に完全に閉じた。
「緋岸。」
スペルビアの体に二重の切り傷が出来た。
「ぶはっ。」
スペルビアは口から血を吐き出した。
そして、懐に黒き風穴を作り、ゲイ=ボルグとアスカロンを収めた。
「俺の負けだ。」
スペルビアは膝をついた。
口に銜えた龍鱗を右手に取る。
「ほれ。」
デウスはスペルビアに何かを放り投げた。
スペルビアはそれを受け取る。
赤い瓶に入った飲み物だ。
スペルビアは蓋を外し、全てを飲み干した。すると、傷が癒えた。
そして地面に落とし、瓶を踏みつけ、粉砕した。
「お前にはどうやら人を惹きつける力があるようだ。」
そう言ってスペルビアは立ち上がった。
「知るか。」
デウスがそう言って左手をポケットに入れた。
「あと二十分ぐらいか。」
そう言って空を見た。
「まぁ、負けることはねぇよ。俺が居るんだからな。」
なんともまぁ傲慢な発言だろうか。
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あれから十七分ほど経った。
街中は団結し、敵を討ち取ると言う決意に溢れていた。
デウス達も決意を固めていた。
「あらあら。雑魚が勢揃いね。」
そう言って空から二つの槍を持った女性が降りてきた。
「予定より二分早いご登場だ。」
一人の男が気合を入れるためにそう言った。
「俺らはこの街を守る!」
数名の男子がそう言い放ち、スカサハを威嚇する。
「雑魚は雑魚なりに処分されるだけだと思ったけど、どうやらやる気のようね。」
微笑んだ顔はどこかおぞましいものを感じる。
「やるぞ!」
先頭を引っ張る男がそう言って、全員を引き連れてスカサハに突撃した。
デウス達は動かずに待っていた。
街とデウス達が立てた作戦はこうだ。
先ず半数がスカサハに突撃する。破られたら次の半数で迎え撃つ。
もし、それさえも突破された場合デウス達が出る手筈だ。
前衛が突撃した。
「死ぬ気満々じゃない。」
スカサハがそう言って右手に持つ青いメッシュの入った槍を振った。
その一振で前衛がやられてしまった。
「「ぐわあああ!」」
次は後衛が突撃する。
「ここで多く時間を稼ぐぞ!」
先程よりも強い者達が集まった後衛がスカサハに突撃した。
「何度やっても同じことよ。」
スカサハは左の緑のメッシュが入った槍を振った。
「「ぐわあああ!」」
数名が吹き飛ばされた。
だが、大半が残った。
「へぇ。それは覊凝で作った武器ね。」
「救世主の作ってくれた武器だ。」
スカサハはため息をついた。
「何度言ったら分かるのかしら。どれだけやっても同じよ。」
スカサハは二つの槍を同時に振った。
「「どわああああ!」」
後衛軍が全滅した。
「救世主さん。後は任せましたよ。」
一人の男がそう言って倒れ込んだ。
「お前がスカサハか。」
「えぇ。そうよ。そう言う貴方は?」
「俺か?俺はデウスだ。名前だけでも覚えて逝け。」
デウスはそう言って立ち尽くす。
「そう。デウスと言うのね。あと、死ぬのは貴方よ。」
スカサハは二つの槍を同時に振り、斬撃を出す。
斬撃はデウスへと一直線に飛んでいく。
ビングルがアサルトライフルを一つ取り出し、斬撃を撃ち抜いた。
斬撃は打ち消された。
「まぁ。凄いわ。」
「ここは俺の出る幕じゃねぇな。」
そう言ってスペルビアは座り込んだ。
「さ、誰から相手なのかしら。」
「織が行こう。」
鎌を肩にかけたヘルトが名乗りを上げた。
「最初から頭が相手じゃないのね。面白いわ。」
ヘルトはスカサハの前に立った。
「女を切る趣味は無いが、今回は致し方がない。」
「まるでもう勝ったつもりね。」
ヘルトは笑みを浮かべる。
「ダメージを与えることぐらいは出来る。」
そう言ってヘルトは鎌をスカサハに向けた。
「怖い怖い。怖いから、さっさと、殺すわ。」
スカサハが槍をヘルトの腹に突き立てる。
しかし、それは鎌の柄によってた受けられる。
「まぁ、変則ガード。凄いわ。」
「舐められたもんだな。」
ヘルトは呆れ混じりに呟く。
スカサハは連続で攻撃を続ける。
ヘルトは全て柄と刃で受ける。
「ふっ!」
ヘルトがスカサハの隙をつき、鎌を振りかざした。
スカサハは槍で防いだが、ヘルトの力に負け、後方に飛ばされた。
「あーあ。でかい口叩いといて吹っ飛ばされるとは情けないなぁ。」
ヘルトは鎌を肩にかけた。
「舐めないで。」
スカサハは青いメッシュの入った槍をヘルトに付けた。
その槍先から光線が出た。
ヘルトは右に躱す。
「まだよ。」
スカサハはヘルトを追うように槍先を向ける。
ヘルトは後ろに下がり、右にバク転をして躱す。
三回ほどバク転をして回避した後、前宙で左に動き、光線を躱す。
そして、次の光線を打たれた時、躱して、物凄い速さでスカサハに近づいた。
ヘルトはスカサハを蹴り、体制を崩したところに鎌で心を貫いた。
即座に鎌を抜き、後退した。
スカサハの傷は癒え、槍を強く握った。
「少し怒ったわ。」
そう言ってスカサハは一度跳び、地面につま先をつけた時、姿を消した。
ヘルトは目を瞑る。
スカサハはヘルトの上から槍を突き落とした。
ヘルトは鎌で受け流し、左肩を峰で打った。
「いっ!」
その打撃に怯んだスカサハに追い打ちをかけるように鎌を前に動かし、そのまま落ちてくるスカサハの心臓を一突きし、地面に叩き落とした。
また追い打ちをかけるようにスカサハを蹴飛ばし、強制的に距離を取った。
スカサハは立ち上がった。
口から垂れる血を手で拭った。
「凄いわね。あれを受けるなんて。」
「お前弱いな。四大魔神にしては弱すぎるぞ。」
「四大魔神の中では最弱だからね。」
そう言ってスカサハはヘルトに急接近した。
スカサハは槍を速突し、ヘルトに小さく浅い切り傷を付ける。
ヘルトは鎌を振り下ろした。
それを躱し、スカサハはヘルトの腹を突き、後方に投げ飛ばした。
「ごはっ!」
ヘルトは口から血を吐き出し、後方へ飛ばされた。
ヘルトはビングルの足の前で止まった。
「交代だ。」
ビングルはヘルトに回復薬を渡し、前に出た。
「次は貴方かしら。」
「あぁ。」
スカサハは近距離で戦えば勝てると考え、急接近した。
目と鼻の先になった時、スカサハの右胸から肩にかけて上に切り上げられた。
スカサハは勢いで後方に吹き飛び、背中から地面に叩きつけられた。
「大抵の奴は銃を見たら近距離で戦おうとする。それは間違いだ。」
そう言ってビングルはスカサハの頭を踏みつけ、アサルトライフルを向けた。




