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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
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第三十八話 前夜

✣ ✣ ✣


アロンダイトと龍鱗ジグラギがぶつかる。

火花を散らし、音を立て、暴風を引き起こす。

「なかなかやるじゃないか。」

「舐められたもんだな!」

デウスはランスロットを弾き返し、反撃する。それを難無く止められる。

「なるほど。魔力を微量ながらに感じる。」

通常、剣士には魔力を感じられない。魔導剣士は魔力を持っているが、ただの剣士は魔力を持っているとしても感じることが出来ない。

それなのにデウスから微量の魔力を感じることが出来る。これはデウスに魔力が間接的に宿っているからだ。

魔法を使うことは出来ないが、空気のように漂うあらゆるものから発せられる魔力がデウスに間接的に接触している。

「面白い男だ。世界がお前を認めているようだ。」

「よく分かんねぇが、戦闘中に発言とは随分余裕だな。」

デウスはランスロットから距離を取った。

「では、少し本気を出すとしよう。翌日のこともある事だしな。」

ランスロットはまた構えを変えた。陽の構えだ。

デウスはまた虎ノ威をする。

「珍しい流派の奴に出会えたもんだ。」

ランスロットは口角を上げた。

そして、重心を下に落とし、腰を下ろして体勢を低く取る。

すると、アロンダイトが光り始めた。

神々しくもあるアロンダイトはデウスを睨みつけるように突き立てられた。

デウスはカラドボルグを鞘に閉まった。

龍彪かみとら流派。一刀流、一激ばき。」

デウスの流派は主に″臥龍冴彪構がりごとらがまえ″だが、これはあくまで構えとそれに続く派生攻撃の流派。技は存在しない。となれば、技はペンドラゴン流派だと考えられる。

「参る!」

ランスロットが走り込み、デウスに突撃した。

デウスはじっと動かない。

「はああああ!」

斜め下から振り上げられたアロンダイト。デウスはそれを受け流し、瞬時に切りつけた。

その姿はまるで剣術芸を魅せられているかのように美しく、残虐だ。

ランスロットの腹部から胸元に掛けて多少深い傷が切り込まれた。

「くっ!」

ランスロットは傷を抑え、膝をついた。

「総騎士長の割に弱いな。」

デウスは蔑むようにランスロットを睨んだ。

「あれを受けたのはお前が初めてだ。」

ランスロットは傷を抑えながら立ち上がり、デウスにそう言う。

「そうか。それは光栄だな。」

デウスは大剣を鞘に収めた。

「だが、まだ終わりではない!このまま負けて終われるか!」

プライドと根性でランスロットはアロンダイトを構えた。

「奥義!亡骸凶骨吧ルーマニエルエレクト!」

振り下ろされたアロンダイトはデウスに避けられ、大剣を鞘から少し抜き出し、即座に閉まった。

「一刀流、瞬獄ひととき。」

直後、ランスロットの傷跡と重なるように切り傷がついた。

ランスロットはそのまま倒れ込んだ。

「俺の勝ちだ。総騎士長。」

デウスは大剣から手を離した。

ランスロットを起こし、回復薬を飲ませる。傷は癒え、ランスロットは目を覚ます。

そしてランスロットは笑った。

「俺の負けだ。完敗だよ。」

ランスロットは立ち上がる。

「これで認めてくれたか?」

「あぁ。そりゃもううんざりするぐらいな。」

デウスとランスロットは腕を組んだ。

「助力を感謝する。強き者よ。」

「任せろ。弱くも強き者よ。」

組んだ腕は離され、コロシアムを出た。

「結構すぐに終わったね。」

デアがイリビードにそう言う。

「そうね。明日のこともあるからでしょ。」

デア達もコロシアムを出た。


✣ ✣ ✣


デウスの強さを認めたランスロットは災禍対策作戦に参加することになった。

デウス達は特別団として参加することに。

「新たに我々に加勢してくれるデウス・ペンドラゴン殿と御一行だ!」

ランスロットが騎士を集め、デウス達の紹介をした。

しかし、中には疑問に思うことがあった。

まだ二十もいっていないような容姿でこれ程までに危ない計画に加算させるということに。

それともう一つの問いがランスロットに飛んできた。

「そいつら強いんですかい?」

ランスロットの二番目に強い弟子であるニョルド・ベルクトロニックがランスロットに問いをかける。

「そうだ。そいつらは強いのか?」

ニョルドの疑問に気づいた者達が次々と発言をする。

「静まれ!」

ランスロットの威勢に沈められた騎士達。

「この者は俺を倒した。」

その言葉に唖然とする騎士一同。

「それは、本当ですかい?」

「俺は嘘はつかない。無論、事実そのものだ。」

ニョルドは微笑んだ。

「それは済まないことを言った。それと、宜しく頼んます。デウス殿。」

握手を求めてきた。デウスはそれに対応して手を出した。

「宜しく頼む。」

強く繋ぎ絞めた手には強ばった筋肉を感じた。この状況に力が入っているのだろう。

「力は入れ過ぎない方が良いぞ。」

その言葉にニョルドは笑みを失った。

「…あんた、何もんだい?力を入れ過ぎない方が良いということはそういう経験があるってことだ。そうだろ?デウス殿。」

「凄いな。俺の一言でそこまで分かるとは。」

デウスは握手していた手を離し、災禍と戦ったことや、そこで失った仲間の話をした。

ニョルドやその他の騎士はその話を真剣な眼差しで聞いていた。

話が終わると、ニョルドはデウスの肩を叩いた。

「いてっ。」

「辛かっただろう。だから災禍への討伐、撃退に自ら参戦したのか。」

その他の騎士には涙を流す者も居た。

騎士は男だけではない。女性もいる。涙を流している騎士は大抵女性だった。

「白っぽくなるだろ。泣くんじゃねぇよ。」

デウスの平気な顔を見てさらに涙を流す一同。

「とりあえず、この者達が我々に加勢してくれることになった!」

ランスロットの命令に、騎士達が次々に敬礼する。

涙を流しながら敬礼する者、涙を堪え、下を向きながら敬礼する者、ただただ普通に敬礼する者もいる。

デウスは手をポケットに突っ込み、笑いかけるように言った。

「宜しく頼む!」と。


✣ ✣ ✣


そして時が流れ、夜になった。

翌朝に向けての最終チェックが始まった。

「皆の者良いか!敵は災禍の皇だ!手加減は勿論、なめてかかるな!分かったな!」

ランスロットのその言葉に一同全員が返事を返した。

「それからデウス殿が敵の弱点を持っている!確り聞いておくことだ!」

ランスロットはそう言って解散させた。

次々とデウスに群がり、弱点を聞き出した。

「とりあえず、魔神族ディアヴォルは一度じゃ死なない。何度も殺す必要がある。ただ、一撃で倒せるとしたら傷口から燃やす。これが一番効果的だろう。」

他諸々全て弱点を話した。

騎士達の中にメモを取る者もいる。

一通り聞き終わり、全員がバラバラと持ち場について行く。

空が暗い。夜だから暗いのは当たり前だが、寒気のするような夜空だった。

「デウス殿達は前衛に出てもらう。」

「了解だ。お前はどうするんだ?」

「俺は指揮を執らなければならない。後ろで見守っておくよ。」

「高みの見物ってやつか。」

デウスは少し笑って前衛へと歩き出した。

前衛には上位騎士が構えていた。

何故前衛に上位騎士を置くのかデウスには疑問だったが、何となく考えは分かる。

「宜しくな。ジャンヌの弟。」

どうやらデウスがジャンヌの弟ということは知れ渡っているようだ。

当たり前だろう。あの時にあれほど大きな声でジャンヌのことを言えば流石に弟か彼氏と思われる。

「あぁ。宜しく。」

全員朝に備えて武器を研いだりしている。

「お前も朝に備えて武器ぐらいは研いでおいた方がいいぞ?」

「大丈夫だ。」

そう言ってデウスは大剣を取り出した。

少し熱を帯びている大剣は前衛を照らす。

「光る剣?初めて見るな。」

前衛の一人が興味を示した。

「これは光じゃなくて火だ。」

その言葉に驚く前衛の一人。火を帯びた剣など聞いたことがないため、希少な武器だという考えが生まれる。

デウスは大剣を鞘に収めた。

「あんたの剣、完全に心を開き切っている。信頼されている証だ。いい使い方をしているんだろ。」

男のような格好をした女がそう告げる。

デウスは大剣を収め切って手をポケットに入れた。

「別にいい使い方はしてないさ。こいつが俺を選んだだけだ。」

デウスはそう言って空を見る。

不気味な夜空は星を煌びやかに輝かせ、大地を照らす。

「この武器は意識を持ってる。主人を選ぶのも全て剣が決める。それに俺が選ばれたってだけだ。」

デウスは黄昏ながら呟くように言った。

「きっとあんたはいい剣士になる。」

そう言うと女は所持物の手入れを始めだした。

デウスは軽くため息をついた。

『相棒。闇を展開する準備をしておけよ。今回は流石に闇無しじゃ無理だ。』

(相棒)がデウスにそう告げる。

デウスは笑みを浮かべた。

『今回は闇無しでいく。』

その言葉に(相棒)が激昴する。

『何馬鹿なこと抜かしてんだ相棒!闇が無かったら『不制御狂乱暴君者バーサーカー』を使うことだって出来ねぇんだぞ!勝てるとでも思ってんのか!』

『あぁ。思ってる。』

真っ直ぐ自分の意見を突き通すような眼をしている。

『…死ぬかも知んねぇんだぞ!』

少し怯んだが、まだ言い張る(相棒)

『分かってる。』

全く動じないデウス。

『また彼女さんに怒られるぞ!』

『俺を信じろ。』

デウスの言葉に(相棒)は口篭った。

これ以上言ったって説得は無意味だと気づいた。

『分かったよ。相棒を信じるよ。絶対勝つぞ。』

『おう!』

デウスと(相棒)の絆はまた深まった。

そして、朝が訪れた。

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