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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
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第三十二話 撒かれた地獄の炎

✣ ✣ ✣


一晟について行くデウス達。

稽古場所はどうやら剣士道場のようだ。

「久しぶりだなぁ。剣士道場。」

デウスは建物を見てそう言った。

昔より少し木が新しくなっている。それ以外は丸っきり一緒だ。

「帰ってきたぞぅ。」

一晟が道場へ入って告げる。

道場の中には数名の子供がいた。いや、十数名の方が分かりやすい。

「「お帰りなさい。」」

生徒と思わしき子供達は一斉に言い放つ。

「うむ。昔伝えたと思うが、今日は来客が来とる。ちゃんと、挨拶せぇよ。」

「「はい。」」

熱の篭った声だ。道場を揺らし、響かせる。

「お主ら、一人ずつ自己紹介するといい。」

一晟はそう言って王座のような所に腰を下ろした。

「俺の名前はデウスだ。よろしく頼む。」

「私の名前はデアよ。よろしく。」

「我の名前はフローレだ。よろしく頼む。」

「私の名前はイリビードよ。よろしくね。」

「織の名前はヘルトだ。よろしく。」

「自はアブァリティアだ。まぁ、よろしく。」

「私の名前はインビディアよ。で、この子がシャティス。」

「……」

「俺の名前はビングルだ。よろしく頼むよ。」

「私の名、前は、イラドゥエトスです。気軽に、イラと、お呼びくだ、さい。」

「私はバグラと申します。以後お見知り置きを。」

「刳はゾルディブ。よろしく。」

全員自己紹介を済ませると、一晟が立ち上がった。

「それじゃあ、一人ずつ相手をしてやろう。誰からでも良いぞ。」

「織が行く。」

ヘルトが鎌を肩にかけ、その場に立った。

「良い気力じゃな。デウス。コールをしてくれんかの。」

「了解。」

一晟は生徒達を見た。

「この者達はかなりの手練じゃ。しっかり見て、学ぶといい。」

「「はい。」」

デウスは生徒達の座っている場所とは逆側に立った。

「両者、準備は良いな?」

「あぁ。」

「良いぞ。」

デウスは頷き、手を挙げた。

「それでは、初め!」

デウスが勢いよく手を下に振り下ろした。

戦いの合図が下された。

ヘルトは速攻をかけ、地面を蹴った。

まだ刀さえ抜いていない一晟に対し、ヘルトは容赦なく向かった。

「やあああ!」

鎌を振り下ろしたヘルト。

しかし、鎌は一晟には当たらなかった。

金属が弾ける音が鳴り響いた。

「!!」

驚きを隠せず、ヘルトは攻撃した時にピタリと止まってしまった。

一晟の右手には一つの太刀があった。

剣先で止められている。

「もっと来やんか。」

一晟はそう言って鎌を弾いた。

「おわっ!」

ヘルトは体勢を崩し、後ろに体重が乗っかる。

そのまま後ろに倒れていくヘルトに向かって一晟は刀を突き刺すように押し出した。

「っ!」

ヘルトは体を捻り、何とか回避した。

ヘルトは片手で地面を掴み、足を上げ、一晟に蹴りを喰らわした。

一晟は刀で防いだものの、体が追いつかず、後方に少し飛ばされた。

「これ程までの手練は久しぶりじゃ。」

一晟はヘルトに流派を見せた。

構えはデウスと一緒だが、気迫が違った。

まるでSランクのベンガルタイガーを相手にしているみたいだ。

「そう言われて嬉しいぜ。」

ヘルトは冷や汗をかきながら苦笑いする。

「じゃが、まだまだじゃのう。」

そう言って一晟は腰をさらに落とした。

その途端、ヘルトの肩に切り傷が出来た。

「ぐっ!」

ヘルトは思わず膝を着いた。

「これが五の方じゃ。どうじゃ?参ったかのう。」

ヘルトは立ち上がり、悔しそうな顔をして言った。

「参った。」

「そこまで!」

デウスはヘルトの降参と共に声を挙げた。

「さて、次は誰じゃ?」

誰一人として出る気配がない。

デウスがため息をついた瞬間、デアが前に出た。

「私が相手になるわ。」

「うむ。女性を相手にするのは気が引けるが、そんなことも言ってはおれんな。」

デアは右手に太刀を持った。

その太刀を見て一晟は関心を持った。

「ほぅ。お主のその武器、妖刀の一種じゃな?」

妖刀。主人の意志を無視し、あらゆるものを簡単に切り裂くと言われる刀。その凶暴さ故に使用はあまり進められない。

「よく分からないけど、多分そうだと思うわ。」

「ふむ。まぁ良い。じゃ、始めるかの。」

デウスは確認せず、手を下げた。

「初め!」

一晟が構え、デアが構えながら目を瞑った。


✣ ✣ ✣


一晟は好機と踏み、飛び出した。

斜めから振り下ろされた刀はデアに触れず、妖刀に激突した。

「重いのう。気持ちが篭っておる。」

一晟は老人とは思えないほどの瞬発力を見せ、デアを攻撃する。

しかし、全て止められてしまう。

「やあ!」

デアが目を開き、一晟を攻撃した。

一晟は攻撃した後の状態。防ぐことが出来ず、頬に浅い切り傷が出来た。

「女性でわしを傷つけたのはジャンヌ以来じゃのう。」

一晟は構えを辞め、普通に立った。

「それは嬉しいわ。」

デアはそう言って刀を振るった。

一晟は全て防ぐ。金属同士が鳴り合う。

「お主の攻撃には高揚感が篭っておる。それと、ある者を守りたいという気持ちも篭っとるのう。」

強い攻撃で連撃が終わる。

「どうして分かるの。」

「長年手練と手合わせしていると分かるようになるんじゃよ。お主も分かるようになっといて損は無いぞ。」

一晟はデアを刀ごと弾く。

「はっ!」

一晟が刀を振った。

デアは刀で防いだ、はずだった。

右から飛んできた攻撃は何故か姿を消し、左から頬に傷をつける。

「いっ!」

デアは左頬を抑えて後退した。

『今のは一体なんなの。』

デアが混乱していると一晟は笑って言った。

「焦っているようじゃのう。」

デアは左頬から手を離した。

「次は避けるわ。」

「それが出来るといいのう。」

そう言って一晟は走り出した。

真上から振り下ろされる一晟の太刀筋を見て、何となくわかってきた。

デアはそれを防ごうとした。

刀の姿はやはり消えた。

デアは太刀を右側に動かした。

金属の衝突し合う音が鳴り響いた。

「あの一瞬でわしの太刀筋を見破るとは。面白いやつよのう。」

デアは分かったことを言った。

「あなたは運動神経が人以上に発達しているから刀と刀がぶつかる前に太刀の軌道を変えれる。そうでしょ。」

「うむ。確かにそうじゃ。なら、これはどうじゃ?」

一晟は後ろに下がり、両手で太刀を掴んだ。

そのとき、デアの体に少し異変が起きた。

立っているのが辛くなってきた。

そして、その直後、デアの体には五つの切り傷が出来た。

「!!!」

かなりのスピードで傷つけられた傷からは血が流れ出た。

「これがわしの最高速度じゃ。昔はもうちと多く出せたがの。」

笑いながらそう言った一晟。

デアは唖然としていた。

「そろそろ終わりにするかのう。」

一晟は地面を力いっぱいに蹴飛ばし、高々と飛び上がった。

デアは地面に崩れ落ち、上部を見た。

防がなければ切られてしまうが、体が言うことをきかない。

デアは目を瞑った。

殺されはしないと確信はしていたが、殺される覚悟はあった。

しかし、一晟の太刀はデアに届かず、金属音を鳴らして止まった。

デアは目を開いた。

「デウス!」

目の前には一晟の太刀を大剣で防いでいるデウスの姿があった。

「次の相手は俺だ。くそジジィ。」

「相変わらず口が悪いのう!」

一晟は力を込めたが、デウスに弾き飛ばされた。

「そのもう一本の剣は抜かないのか?」

「こいつは簡単に抜ける代物じゃねぇよ。」

「わしがそんなもので死ぬ訳ないじゃろ。それをお主が一番分かっておるじゃろ。」

デウスは笑みを浮かべた。

「なら見せてやるよ。」

デウスは腰に掛けている横向きの片手剣を鞘から抜き出した。

それを見て一晟は唖然とした。

「お主、それをどこで見つけた。」

「どうした?こんなものじゃ死なないんだろ?」

「その武器は準危険殺戮武器に指定されている武器じゃぞ。」

「いいかジジイ。俺は仲間を傷つけるやつは誰であろうと許さねぇ。例え相手が師匠出会ってもな。」

「わ、分かった。分かったから、それを奮うんじゃない。」

「奮うかよ。」

デウスはカラドボルグを鞘に収めた。

一晟のお遊び稽古は終わった。

「大丈夫か?」

デウスがデアの方を見て訪ねた。

デアは座り込んでいた。

「体が、重い。」

そう言ってデアは倒れ込んだ。

「お、おい!」

デウスはデアのことを抱き抱えた。

「とりあえず病院行くぞ。」

デウスはデアを抱き抱えて病院へ向かった。

病院につき、病室でデアを寝かせてひとまず落ち着くデウス。

「デア。お前レーヴァテインの炎に触れただろ。」

「え、えぇ。当たったの方が正しいけど。」

「レーヴァテインの炎は別名で食炎しょくえんとも呼ぶ。その者の細胞を蝕み、場合によっては心臓まで蝕んで死に至らしめる。このことからレーヴァテインは準危険殺戮武器に指定されてる。」

デアは寝たまま上を見上げた。

「私は死ぬの?」

悲しい顔でそう言うデア。

デウスはデアの頭に手を置いた。

「死なないさ。」

「そう。」

デアは目を瞑った。

デウスは下唇を噛み締めた。

デアの体は深刻な状態だった。もしかすると心臓を蝕まれているかもしれない。

デウスは必死に溢れそうな涙を堪えながら下を向いた。

自分が死ぬのはいい。しかし、仲間が死ぬのはゴメンだ。

そして、デウスは思い出した。

レーヴァテインの炎を抑えるものを。

デウスはすぐにその物を取りに行った。

「待ってろよデア。俺がお前を死なせやしない。」

部屋を出たデウス。

ベッドの上で涙を流すデア。

「やっぱり、嘘だったのね。」

デアは自分の置かれている状況が分かっている。

分からないはずがない。

自分でも体の深刻さには気づける。

多少心臓が痛むほどだ。かなり深刻なのだろうと、デアは悟っていた。

デアはデウスの帰りを待った。たった一分一秒でも生きようと思ったデアだった。

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