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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
33/91

二十三話 デウスに眠る闇

✣ ✣ ✣


「暴走状態ねぇ。」

ジャンヌは双大剣を構えながら考える。

どうして暴走したのか。

有力な情報は一つ。自らの能力に飲み込まれてしまった。

デウスは笑顔ひとつ浮かべない。失われた目の光と体を蝕む黒き闇の棘。

ジャンヌは警戒して一歩も進めない。いつまた攻撃されるか分からない。

ジャンヌが一瞬体の力を抜いた瞬間だった。ジャンヌの目の前にデウスが歩いてきていた。

先程まで距離があったはずだった。しかし、今デウスのいる距離はたった数メートル。

ジャンヌはその一瞬が目で捉えることが出来ず、焦る。

その焦りが隙となり、デウスの蹴りが入った。

先程の力ではない。

ジャンヌの腹に入った蹴りはかなりの威力を誇った。体が海老反りになるジャンヌ。背中からは三段階の波動が爆風を引き起こした。

ジャンヌは口から血を出した。

「!!!」

声にならない声が痛みを表していた。

ジャンヌはそのまま崩れ落ちるように膝を着いた。

デウスは容赦なくジャンヌを上部に蹴った。ジャンヌは上部に物凄い勢いで吹き飛び、双大剣を落とした。

双大剣はデウスの右と左に真っ直ぐ落下し、地面に突き刺さった。

デウスは大剣を地面に突き立てた。

ジャンヌは少しだけ残った意識でデウスを見た。

『首を、絞められる、わね。』

空中にいる状態で笑みを浮かべた。薄く、とても薄く。

デウスは右手を開いた状態で上に掲げた。

観客者達は黙り込み、唖然とした顔をしていた。

観客者は選手に一切干渉しては行けない。

フローレとデアは止めようと考えた。しかし、止めてしまった場合、それは違反に入り、会場を出されてしまう。

だから、噛み締めるしか無かった。喉から吐き出しそうな言葉を必死に噛み砕き、飲み込むしかできなかった。

あと数メートルでデウスの手がジャンヌの首を絞めれる距離だった。

その瞬間、デウスが手を握り締め、ジャンヌを殴った。

ジャンヌは腹部を殴られ、地面を滑った。

ジャンヌは衝撃で意識が少し回復した。そのままデウスを見た。

左手で左顔を抑え、汗だくになりながら息を切らしているデウスが目に映った。

「はぁ、はぁ、っっ、はぁ、はぁ。」

闇が蠢き始めた。

棘のような形状はたまに先が丸くなったりして体をギリギリで呑み込められない状態だ。

「デウ、ス。」

弱々しい声でデウスを呼ぶジャンヌ。

審判は止めに入らない。審判さえも唖然としている。

「に、げろ、姉、さん。」

声が震えている。気を声に回すのもキツイ状態でもデウスはジャンヌに避難を促す。しかし、ジャンヌの体は言うことを聞かない。

立ち上がろうと力を振り絞り右手を地面に付けるが、起き上がることが出来ない。

闇は次第に力を失い、収縮していった。

闇が見る見るうちに弱まっていった。

「こんなもの、」

デウスは耐えに耐え抜き、闇を完全に抹消することが出来た。

デウスも力が抜け、崩れ倒れた。

審判が小走りにその場に入ってきた。

「りょ、両者ともダウン。よって、この試合は引き分けとする。」

審判としての仕事よりも驚きの方が強かったようだ。

試合が終わった途端、フローレとデアが会場に入り込んだ。

「主。大丈夫か?」

フローレは大声を出さずに小さな声で聞く。

デウスはゆっくりと目を開く。

「フローレ、か。大丈夫だ。体が少し重いけど。」

「お姉さん。大丈夫ですか?」

小さく息をしているジャンヌ。目を開かない。かなりの痛みだったのだろう。

「お姉さんを病院に運ぶわ。」

「我も主を病院に運ぶ。」

フローレとデアはデウスとジャンヌを背負い、病院へ急いだ。


✣ ✣ ✣


病院のベッドに運ばれたデウスとジャンヌ。一時面会が禁止になった。

と言ってもたった一時間だけだ。

ベッドの上でジャンヌは息が安定してきていた。だいぶ痛みも引いてくることだろう。

デウスは唸されていた。

汗をかき、体を動かしたりして小さく唸っていた。

一方でデア達は心配が募っていた。

あの闇のこと。どうしてデウスは暴走したのか。一つ一つの疑問が大きな問題になっていた。

「あの闇って、一体。」

「我も初めて見た。長いこと生きてきてはいるが、今まで見たことがない。」

九つの罪龍もあの闇のことは全く知らないらしい。

考えても考えても全くわからない。

「もしかしたら覊鏖はおうの力じゃないの?」

インビディアの答えを出すきっかけは偶然なる必然。

その答えは外れたことがない。

「覊鏖?」

デアには全くわからない。覊鏖の力。

「覊鏖の力。不滅の秘密とも言われる力だ。覊禍きがの力の六つ目に当たる。」

「覊禍?どんな力?」

「簡単に説明すると人間の極限状態のことだ。」

自らを磨き上げることにより使えることが出来る。その鍛錬は耐えきれぬものも少なくない。

「覊鏖の力は人間では未だ習得した者はいない。」

覊鏖の力を解放するには過酷すぎる過去や鍛錬が必要となる。

人間には先ず耐えきれない過酷さだろう。

魔神族ディアヴォリさえも耐えきれないと言うものも現れる。

過酷な鍛錬の内容はまさに邪道と言っても過言ではない。

先ずは武器で自分の体を切る。銃の場合は撃ち抜く。その状態でモンスターを五十体休みなく狩り続ける。勿論回復をしてはいけない。五十体はモブモンスターではない。ゴブリンやコモドドラゴンではなく、リーフレンドやガレオジニオンなどのAランク級の怪物を倒さなければならない。

モンスターにはランクが設定されている。最低ランクがDランクモンスター。最高ランクがSランク。

D、C、B、A、Sのランク付けがされている。

モンスターを五十体倒した後は食事をせず、一日に五体ずつSランク級モンスターを満身創痍の状態で狩り続ける。食事を取って良いのは七日に一日のみ。食べて良いものは魚のみ。

それを五年から六年続ける。

そして覊禍を全て習得する。これが条件だ。

この条件を達成したものは魔神族ディアヴォル天神族ディーイルンガチェレスタだ。

過酷な過去は話さなくても分かるはずだ。

「取り敢えず、面会ができるようになったら会いに行こう。」

デアの提案に全員賛成した。


✣ ✣ ✣


デウスは目を覚ました。しかし、そこはどこか全くわからない。

暗闇の中で終わりの見えない水平線が続いていた。

「ここは、何処だ?」

周りを見渡しても何も見えない。

ただただ暗い中で一人ぽつんと立っていた。

「剣がない。」

背にたずさえている大剣がない。

「一体どうなってんだよ。」

頭を掻きながら混乱する脳内を整理する。

今自分のいる場所。消えたジャンヌの姿。観客もいなくなっている。大剣が消失。

「よう。」

デウスの耳に入り込んだ凶々しい声。

デウスは驚き、後退して大剣を取ろうとした。しかし、今デウスは大剣を持っていない。

「誰だ。」

デウスは質問を投げかけた。

「誰だとは失礼だな。ずっと一緒にいたじゃないか。さっき拒絶されたがな。」

どこからともなく聞こえる声は笑いだした。

『ずっと一緒?拒絶?さっき?』

デウスは過去を遡る。さっきから考えて決勝戦。ずっと一緒からは遡れない。拒絶というワードでデウスは確信できた。

「分かった?」

「俺が暴走した時に出てきたあの闇か?」

「あぁ。そうだ。お前はこの力を使いこなさなきゃならねぇ。」

「急になんだ。」

「お前の力に気づいて魔神族ディアヴォルの一人がここに向かってる。」

「どうしてお前がそんなこと分かる。」

「うーん。そうだな。」

闇は悩んだ挙句、出した答えは

「お前の相棒だから。」

巫山戯ふざけた回答をした。

「本当のことを言え!」

脅迫するように言った。闇は大きな声で笑った。

「当たりが強いな。話したところで分かりゃしねぇよ。」

「いいから話せ!」

「わかったよ。」

呆れたように闇はため息ついた。

「神を殺す者。鏖殺の悪魔。これが今出せる答えだ。」

「神を、殺す者?」

「そろそろお前は現実に帰れ。またな相棒。」

「待て!」

『まだ聞きたいことが…!』

光が闇を呑み込み、デウスを包み込んだ。

デウスは目を手で隠し、光を遮った。

次に目を覚ました場所は病院だった。

「病院?」

デウスが混乱していると、

「目が覚めたのね。」

ジャンヌの声が聞こえた。

デウスはゆっくりと体を起こした。

「姉さん。怪我はもう大丈夫なのか?」

「やられた本人に心配されるとは思わなかったわ。大丈夫よ。」

ジャンヌは微笑みかけた。

「そうか。」

デウスは少しだけ安心した。

そこでドアをノックされた。中へ入ってきたのはデア達だった。

「あぁ。皆。よかった。みんなにまで手を出してたらと思ってた…」

言葉の途中でデアが飛び込んできた。

「心配したんだよ。」

デウスは最初驚いたが、すぐに微笑んだ。

「悪かった。」

デアの頭を撫でる。

「そう言えばどうしてみんなここに?」

「てめぇのお陰だろうが。」

ビングルがボケたデウスにツッコんだ。

「取り敢えずこれ返すぞ。」

ビングルが何かを投げ、デウスはデアに当たらないように受け取った。

「これは、」

「てめぇの大剣重すぎなんだよ。」

龍鱗ジグラギだった。

「ありがとよ。」

感謝を述べた。

「一つみんなに言わなきゃ行けないことがある。」

「なんだ。急に改まって。」

ヘルトがそう言った。

少し笑っていたヘルトにデウスは少し強めに言った。

「今から話すことは笑い事じゃない。」

その言葉を聞いて空気が凍りついた。

「俺を蝕んだ闇の力が原因で魔神族ディアヴォルがここに来る。」

「どうしてそんなこと分かるんだ?」

「その事はまた話す。」

デウスはデアを立たせた後、立ち上がった。

「もしかしたら殺されるかもしれない状況だ。逃げるを選択するか、戦うを選択するか。どっちを選ぶ?」

その意見にインビディアはため息ついた。

「あんたがそんなこと言うなんて、見損なったわ。」

「え?」

「そうだな。主として失格だ。」

「え!?」

「デウスらしくないな。」

デウスは大剣を背に収めた。

フローレはデウスに笑いかけた。

「戦う一択だろ。」

全員やる気だ。

「殺されるかもしれねぇんだぞ。」

「んなもん知ったことか。織は一度あんたに殺されかけてんだ。怖くねぇよ。」

ジャンヌはベッドから離れ、立ち上がった。

「私も戦うわ。」

「姉さん!?」

「弟が殺されてしまうっていう状況だもん。お姉ちゃんが動かないで誰が動くのよ。」

「戦うでいいんだな?」

デウスは全員に問いた。

全員頷いたり、笑ったりて意志を見せた。

「わかった。戦おう。」

『いい仲間を持ったわね。』

ジャンヌはそう感じた。

「絶対勝つぞ!」

「「「オォォォォ!」」」

大きく声を上げ、気合を入れた。

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