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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
28/91

第十八話 戦場

✣ ✣ ✣


先に武器を抜き出したのはギクスだった。

腰にかけた銀色に輝く細い剣。

赤い鱗が携わっている細剣。龍の素材を使っているようだ。

「この大会は殺しもありだ。」

親切に教えてくるギクス。

その事を聞いた途端、デウスの緊張はほぐれた。

「そうか。」

大剣を抜き取り、燃えたぎらせる。

「なら楽だ。」

顔を斜めにし、ギクスを見てニヤリと笑った。

不気味な笑みを浮かべるデウスを見てギクスも笑う。

「手加減はしない。」

ギクスの構えに微塵も余裕を感じられない。

デウスは腰を落とし、左掌に柄頭を当て、ギクスに大剣を向ける。

左向きの体を張り、戦う意志を示す。

ギクスが何も言わず、飛び出す。

突き刺すように細剣を振るう。

デウスは予想通りだった。細剣は突きに特化した武器だ。

切り刻む武器ではない。

デウスは細剣の一撃目を躱す。

二発目が来る前に、細剣を大剣で弾いた。

腹を切り裂くように大剣を振る。

ギクスは仰け反る体勢からブリッジを披露し、大剣を回避した。

そのままバク転から突きに派生するギクス。

実力はある。軟体さも武器扱いも。でも、一つだけ欠けている部分があった。

それは距離だった。

ギクスは自分の攻撃が当たる範囲で戦おうと接近するが、引きが感じられない。

敵に攻撃をしてと言っているようなものだ。

デウスはギクスを蹴飛ばした。

もろに喰らうギクスは吹き飛ぶ。

「接近しすぎだ。距離を取れ。」

そうアドバイスをするデウス。しかし、その言葉も無意味にするように距離を詰める。

デウスは大剣を打ち落とす。

ギクスは顔の上に大剣があることに気づき、右側に転がって躱した。

デウスの大剣は地面を抉り彫る。

ギクスは体勢を整え、細剣をデウスに突き立てた。

デウスは左脇腹に流し、躱す。

ギクスは細剣を横に振った。軌道上にデウスの横腹があった。

デウスは大剣を地面から抜き出し、ギリギリ細剣を防ぐ。

ジリジリと軋み合う大剣と細剣。

「中々やるな。」

ギクスの言葉にデウスは笑みを浮かべる。

「こちとら主なんだ。これぐらい出来ないと龍なんて怪物相手にできるか。」

ギクスは力を強めた。

デウスも地面を強く踏み締め、耐える。

「はあああああ!」

デウスの大剣は細剣を打ち返し、斜め下に振り下ろされた。

ギクスは後退したが、肩に少し亀裂が入った。

深くはないが、出血は免れない。

「重い。」

一撃の重さを見で実感し、少し圧倒される。

「まだやれるよな?」

デウスの問いにギクスは笑う。

「当たり前だろ。こんなことで押されてちゃ冒険者じゃない。」

やる気を出すように見せかけているが、実際は痛みで倒れそうなギクス。

熱を持つ大剣に切りつけられて肉を焼かれる。痛くないわけがない。

それでも戦う精神を持つギクス。

デウスは熱を放つ大剣を肩に置く。

肩からは煙が立つが、焼けてはいない。

シューという音が鳴り響いた。

「俺から行くぞ!」

デウスは地面を蹴り飛ばした。


✣ ✣ ✣


デウスの大剣はギクスの脳天を狙う。

ギクスは細剣で流す。頭すれすれを大剣が通る。

デウスは下に力を押した。耐えるギクスの地面は抉れる。

「なんて馬鹿力だっ。」

耐えるギクスが力を前にして圧倒されている。

「これを耐えるのもどうかと思うがな!」

言葉の語尾を強くし、力を上げた。

地面には穴が生じ、ブロック型に地面が壊れ始める。

「くっ!」

押されてきたギクス。デウスはさらに力を上げる。

ギクスは等々力を使い果たし、地面に叩きつけられた。

細剣はバラバラに砕けた。

「そこまで!」

審判が場に入り込み、試合の決着を伝えた。

「勝者!デウス・ペンドラゴン!」

デウスは大剣を背に収めた。

そのまま場に背を向け、開いた門に足を向けた。

デウスは暗闇に消えた。

ギクスは立ち上がった。

バラバラに粉砕された細剣を見てギクスは笑う。

「デウス・ペンドラゴンか。化け物じみてるな。」

砕けた細剣を鞘に収め、その場を抜けた。

デウスは控え室に戻った。

「どうだった?」

そう聞いてくるジャンヌ。

「ここに帰ってきてんだから分かるだろ。」

「そういう事じゃなくて。」

ジャンヌが聞きたいことは別の事。

「ギクスっていう人強かった?」

ギクスについて聞きたかったジャンヌ。

「強かったよ。」

そう一言で済ませるデウス。ジャンヌはもう少しコメントが欲しいと言って頬を膨らませる。

「良いだろ別に。」

そう言ってポケットに手を入れた。

またまたドアが開き、ジョンが入ってきた。

「おつぎはジャンヌ・ペンドラゴン選手対バルバト・デクノロズ選手。」

二回戦目はジャンヌが出場。

「それじゃ、ちゃちゃっと終わらせてきますか。」

「姉さん。程々にな。」

そう声を掛けたデウスに手を振り、部屋を出た。

ジャンヌはジョンについて行く。

バルバトもその後ろから着いてきていた。

ジャンヌはあるくらい場所に立たされる。

門の所だろう。

バルバトとジョンはまた移動を始めた。

それから数分間自分の大剣の調子を見たりして時間を潰していた。

突如、門が開き、光が差し込む。

ジャンヌは大剣を背に収め、歩き出した。

定位置のことについてはデウスの戦闘中に教えられていたため、すぐに定位置に着く。

奥からバルバトが歩いてくる。

今にも鎧を壊しそうな筋肉が光によってさらに大きく見える。

バルバトも大剣を装備している。

「互いに準備はよろしいか?」

デウスの時とは違う者が審判に上がっていた。

ジャンヌは頷き、バルバトは大剣を抜いた。

「それでは、開始!」

審判はその場を離れた。

その途端、バルバトが体の力を抜いた。

「一つ頼みがある。」

「なに?」

「降参して欲しい。」

何故そんなことを聞くのか物凄く疑問に思ったジャンヌだった。

「・・・・・どうして?」

「女を傷つける趣味はない。」

ジャンヌはため息をついた。

「あんたなんかに傷つけられるほど私甘くないわ。それに、ここはコロシアムよ。殺し合いの場。降参しろなんて言うのはもとより皆無なのよ。」

バルバトは笑みを浮かべる。

「それもそうだな。なら、本気で行く。」

「はいはい。来なさい。」

そう言うジャンヌは全くとして大剣を取ろうとしない。

バルバトはすきととり、突撃した。

大剣を横に振った瞬間だった。目の前にいたジャンヌが消えていた。

「遅いわね。デウスより遅い。」

バルバトを後ろから見るジャンヌ。距離はほぼない。

「馬鹿に、するな!」

バルバトは後ろに振り向くと同時に大剣を振る。

それを難なく黒い大剣が止めた。

「な!」

「力は申し分ないけど、テクニックとスピードがないわね。」

ギリギリと軋む大剣。

バルバトはさらに力を込める。

ジャンヌは全く動じず受け止めている。

バルバトは両手で押しているのに対し、ジャンヌは片手で耐えている。

ジャンヌは大剣を地面に勢いよく叩きつけた。

大剣同士が削れ合い、バルバトの体が浮く。

「とりあえずは右肩ね。」

ジャンヌの大剣がバルバトの右肩を切り裂く。

血を吹き出し、大きな亀裂を肩につけられたバルバト。

屈辱的だ。女性に傷をつけられたことなど今までなかった。

「舐めやがって。」

「別に殺してもいいけど。本気を出す程でもないね。」

ジャンヌはバルバトの腹元に柄頭を近づけた。

「さよなら。」

そう言って、柄頭を当てた。

バルバトは後方に吹き飛び、壁に激突した。

バルバトは立つことはなかった。

「勝負あり!」

審判が止めた。

「勝者!ジャンヌ・ペンドラゴン!」

圧倒的な強さ。圧倒的余裕さ。

契約者程だ。

ジャンヌは黒い大剣を背に収め、その場を去った。

控え室に向かい、ドアを開いた。

「早かったな。」

「弱かったのよ。」

そう言ってデウスの隣に立つジャンヌ。

それから別の人が試合を始めた。

ほかの試合も早く済んでいた。

やがて、人数が少なくなってきた。

長い間デウスとジャンヌは試合をせずに話し合っていた。

今までの旅のことや九つの罪龍のこと。

またまたドアが開き、ジョンが入ってきた。

「人数が少なくなってきましたね。お次の対戦の選手を発表させていただきます。」

人数が減る事に言葉遣いが変わっていくジョン。なぜだかよく分からない。

「デウス・ペンドラゴン選手対ルギナ・ベル・ヘルン選手。」

『長い名前の敵と当たったな。』

自分もそうなのに何故か長い名前と解釈する。

敵は女性。武器は槍。中距離主体だ。

デウスはジョンの前に立つ。

その隣に歩み寄るルギナ。

「宜しく御願いします。」

そう言って握手を求めてくるルギナにデウスは握手に応じる。

「こちらこそよろしく。若き戦士さん。」

「お互い様です。」

言葉を交わし合う。

「挨拶は済みましたね。それでは行きましょう。」

デウスとルギナはジョンについて行く。

その際、デウスはあることに気がついていた。

握手をした時に感じた信じられないほどの圧力。一歩でも油断すれば押し潰されそうな力。

人間とは思えないほど全てが飛び抜けている。

今まで出会ってきた強者の中でも上位に食い込む程の強者。

『こいつに手加減は無意味。かと言って本気を出す程でもない。中くらいか。』

決して手加減はできない相手だが、ジャンヌよりは弱いと確信があった。

なぜならジャンヌは、全国共通除籍五位なのだから。

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