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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
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第七話 本来の戦闘

✣ ✣ ✣


デアは武器に手を置く。

「怖いねぇ。」

男は斧を肩に持っていく。

「先に宣戦布告してきたのはあんたでしょ?」

「ま、そうだがな。」

男には角がない。旅人だろうか。

「お前。角がないようだな。へし折られでもしたか?」

はここの住民じゃない。旅人だけどもう数十年住み続けてる。」

「へぇ。ならお前に勝つのは難しそうだ。」

デウスはこの時、男の正体を決定づける証拠を見つけた。

「お前、人じゃねぇだろ。」

「何故そう思う?」

「もう数十年はここに住んでいると言った。しかし、旅人ではない。何故なら警備班に滞在日を聞かれるからだ。」

「それが一つ目の証拠か?」

「あぁ。それとあともう一つある。」

「なんだ?言ってみろ。」

デウスはいつでも反撃できるように大剣の柄を握り締める。

「自分のことを″俺″や″僕″、あるいは″名前″で呼んでいないからだ。」

「それの何処が証拠だ?」

「普通の男性は俺や僕と一人称を使う。でも七つの罪龍は一人称が人間に対して個性が出る。イリビードの一人称はほとんどの女性の一人称と同じだが、フローレとインビディアは一人称に個性が出ている。フローレは″我″。インビディアは″妾″。そしてお前が今自分に対して使った一人称は″織″だ。」

男は大声で笑いだした。

「いい推理だが、残念ながらハズレだ。」

男は首元を指した。

デウスはそこで目を疑いそうになった。

クロスに爪で裂かれたような紋章。

「まさか。」

「そうさ。織は強欲の契約者だ。」

そして、男は斧を床に落とした。

鉄と木の音を同時に鳴らし、落下した斧は光り、形を変えた。

「もう少し優しく落として欲しかったよ。ぬし。」

「強欲の罪。アブァリティア。」

デウスは武器を取った。

「敵対心凄いね。フローレに言っておくよ。デウスという男は死んだってね。」

アブァリティアが微笑んだ。

「死ぬかよ。」

「織が殺す。」

男がデウスに武器を向けた。

先程とは違う武器を手に持っていた。

大鎌だ。本来は黒かったのだろうか。血がついたように紅く光沢を放つ。

大鎌は剣士の持てる最高級クラスの武器だ。

「ここでやろう。迷惑かもしれないが、構ってる暇はない!」

デウスは速攻しかけた。

上部の薙ぎ払いを速さ重視に打ち込んだ。

しかし、デウスの攻撃は止められた。

「何!?」

「驚いたか?」

デウスは距離を取る。

「切れなかっただろ。」

デウスの攻撃は大鎌の柄で止められた。

「なんて硬さだよ。」

デウスは構え直す。

「ひとつ言っておこう。君に勝ち目はない。」

瞬間、男の姿が消えた。デウスは周囲を見渡す。

『上か!』

デウスは上を見上げた。

男が大鎌を振り下ろした。

デウスはギリギリのところを躱した。いや、髪の毛を数ミリ持っていかれた。

「今のよけんのかよ。」

男は大鎌を地面に突き刺し、バランスを取って降り、大鎌を抜き出した。

「生憎こちとら傲慢と絶望と戦ってんだ。簡単に負ける気は無い。」

デウスは畳み掛ける。

「そんな遅い攻撃当たるとでも、」

男の腕に切り傷が生じた。

「な、」

「見えなかったろ。」

デウスは続けて畳み掛ける。

「どうしてだ。」

「それは俺の姿を見たら分かることだ。」

デウスは男を大鎌ごと蹴飛ばした。

男はデウスの姿を見た。

「なんだその姿。」

「へぇ。」

男は驚き、アブァリティアは関心の笑みを浮かべる。

「龍化を習得しているのか。厄介だぞ主。」

「龍化?なんだそれ。」

「契約者がなれる限られた者の限界の姿だ。あれを習得しているってことは何か奴の心を動かしたものがある。」

デウスは大剣の剣先を男に向ける。

「お前はなれないのか。」

「そうだな。でもならなくても勝てる。」

男は大鎌を両手で持った。

「ふっ!」

デウスは急速に接近し、大剣を振った。

『速い!』

男は柄で防ぐ。

「得意なようだな。変則ガード。」

「剣士の最高級クラスの武器を操るんだ。当然だろ。」

男はデウスの大剣を弾いた。

デウスは地面に足をついたと直後、突き刺すように大剣を振った。

男は大鎌で防ぎ、流した。

デウスの大剣は地面を抉る。

男はすきを見逃さず、大鎌を振り下ろした。

デウスは躱しきれず、左肩を切られる。

「お?当たった。」

デウスは距離をもう一度取る。

「距離を取ったって同じことだ。」

男は大鎌を片手に持ち直し、地面とスレスレになるくらいまで下げる。

「独特な構え方だな。」

「馬鹿にしてると足元救うぞ。」

男の気力が増していく。

デウスと男は同時に地面を蹴飛ばし、衝突しあった。

ギリギリと軋む音が耳にダメージを与える。

「金晶月欠!」

男はデウスの大剣を弾き、円を描くように鎌を振り、デウスの腹部に突き立てた。

デウスは刃のついてない場所を掴み、ギリギリ直撃を免れた。

デウスは手を離し、大鎌を利用して大鎌の上に乗る。

「オラ!」

デウスは大鎌を地面に蹴り、男に大剣を振り下ろす。

しかし、攻撃は男には当たらず、大鎌に直撃した。

「どうやってあの体勢から武器で防げんだよ。」

「ぺちゃくちゃ喋ってないで、対策考えたらどうだ?」

男はデウスを弾き飛ばす。

デウスは足を引きずりながら後方に軽く吹き飛ばされた。


✣ ✣ ✣


『なんて反射速度だ。』

デウスは武器を構え直す。

対策する余地もない。そんな余裕を与えてくれるほど相手は甘くない。それはデウスも承知だった。

「そろそろ終わらせよう。」

男は大鎌を両手で持ち、腰に構えた。

デウスは大剣を相手に向ける形で構えた。

デウスと男は睨み合い、同時に足に力を入れた。

地面は抉れ、石の欠片を弾けさせる。

デウスは大剣を振り下ろし、男は斜め下から大鎌を振る。

大剣と大鎌は同時に弾き会い、跳ね返る。

それを無理やり動かすように力を入れる両者。デウスは突き刺すように大剣を突き立てる。男は心臓を突き刺すように大鎌を突き立てる。

両者の剣先が当たり、弾かれる。

「はああああ!」

デウスは下から上に切り上げるように大剣を振る。

「!」

男は上から下に切り下げるように大鎌を振る。

大剣と大鎌は又もやぶつかる。

「粘り強いな。」

「そんな簡単に負けるのはもってのほかだからな。どうせなら粘って負けるさ。」

「粘って負けるか。いい心がけだな!」

男は大剣ごとデウスを鎌で押す。

デウスは耐えるが、男の力が強い。

「ぐっ!」

デウスは尻尾を地面に叩きつけ、地面を抉る。尻尾も使って耐える。

「一気に重くなったな。」

男はデウスを推し進めることが出来なくなった。

このまま耐えて欲しいと願うデア。

デウスは口から少量の炎を出す。

「龍化ってのは、火も、吐けるんだな。」

力を入れているため、言葉が詰まり詰まりになる男。

デウスは汗をかいている顔で笑みを作った。

「このままお前を焼き尽くしてもいいが、そんな卑怯な真似はしたくねぇからな。」

「口はまだ達者じゃないか。」

男はさらに足に力を入れた。

「まだこんな力、」

デウスは少しずつ後ろに押される。

「このまま壁にぶつけてやるぜ。」

男の力は増すばかり。

デウスはどんどん後方に動かされる。

「うぉりゃぁぁぁぁ!」

男の足元の地面が抉り散り、穴を開ける。

先程よりも速度が上がり、デウスは耐えるのが無理なほどまでの力だ。

「くっ、ぐうぅぅぅぅ。」

どれだけデウスが耐えようが、止まる気配は一向に見せない。

一方で男はどんどん歩く速度が速まっていく。

今にも走り出しそうだ。

「はあぁぁぁぁ!」

『クソ!耐えきれない!』

等々男の足は走りへと移転した。

かなりのスピードが出る。

その勢いで壁にぶつかった。

「がっ!」

デウスは背中から激突し、言葉が重くなった。

デウスは膝をついた。

「終わりだな。強かったよ。お前は。」

男は大鎌を上に高々と上げ、振り下ろした。

しかし、その刃はデウスを貫くことは無かった。

「まだ、負けちゃいねぇ。」

「どうして動けるんだ。あの速度で背中から石壁に激突した。普通なら息さえ出来ないはずだ。なのに何故、」

「お前には分かるまい。」

デウスは大剣で大鎌を防いでいた。そのままゆっくりと立ち上がり、大鎌を弾いた。

「は!」

デウスは男の腹部を蹴飛ばした。

男は後方に吹き飛び、地面をなぞるように転がる。

「がはっ、がはっ、」

男はお腹を抑えて咳き込む。

「確かにあれは痛かった。でもあれだけでやられるほど落ちぶれちゃいねぇんだよ。」

デウスは少しよろけながらもしっかりと男に歩み寄って行った。

「まだ負けない。織は、まだ、」

辿々しい言葉で足掻き続ける男。

「そこで寝てろ。」

デウスは拳を振ろうとした。その時だった。

「動くな!」

デウスはその言葉に手を止めた。

デウスは声の方向を見た。

「この女が死ぬぞ。」

デアがアブァリティアに捕まっていた。

「デ、デア。」

デウスは捕まったデアを見た。

怯えているような表情をしている。

「ごめん。デウス。捕まっちゃった。」

「不注意が過ぎる女だから簡単に捕まえられた。」

そう言ってアブァリティアは爪をデアの首元に突き立てた。

「やめろ!」

「動くなと言っただろ!自の言葉が分からないのか!」

デウスは全くとして動けない。

「ちっ。」

「卑怯だとは思うなよ。これは″戦闘″だ。遊びとは違う。」

デウスは歯を食いしばる。

「デア、待ってろ。すぐ助ける。」

「うん。」

「いや、それは叶わない。」

直後男の声がしてデウスは前を向いた。

鈍い音が体から聞こえた。

「終わりだ。」

男の大鎌はデウスの心臓を突き刺していた。

「ぐはっ!」

デウスは口から血を吐き出す。

男はデウスの心臓から大鎌を抜き出す。

デウスの心臓部からは大量の血が爛れ、溢れ出し、地面に広がる。

デウスは倒れ込んだ。

「デ、デウス……デウスーーー!」

デウスは力尽きた。

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