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ライラと友達  作者: 角刈りチーズ
第二章 無尽蔵
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第9話 底が見えない

腕に鈍い痛みがある。

妙な倦怠感を感じながら、頭が起きてきた。

痛みの場所は魔族につかまれたところだ。

そう、魔族。

捕まって連れ去られて、気を失ったことを思い出す。

(リサは大丈夫なのかな。)

心配で飛び起きた気がしたが、体が動かない。

縛り付けられてる?

そう思うとまた倦怠感が襲い掛かてくる。

吐きそうなのにすごく眠い。

奇妙な気持ち悪さの中、意識がもうろうとしていく。

気づいたときにはまた、腕の鈍痛に意識が向いていくのだった。



ーーー縛り付けた人間を見ながら頭を抱えていた。

「おかしい。」

仲間が人間をさらってきた。

一目見て、膨大な魔力量を持ってるとわかった。

ごちそうだ。

椅子に縛り付けて、魔力を吸い始めた。

吸い始めてからずいぶん経つ。

俺たち3人も随分と魔力を蓄えることが出来てる。

素晴らしい人間だ!

だが妙なことに、こんなに吸ってるのに一向に底が見えない。

「あまりにも多すぎる。こんなに吸ったらさすがに少しは減ったように見えないとおかしい。」

奇妙な状態に首をひねる。

「どうでもいいじゃないか。大量に吸えてラッキーだ!」楽観的なやつだ。

「だがこんなに多いと余ってしまう。」

「じゃあヴォルド様に相談してみりゃいい。」

なるほどと思い、通信魔道具を起動する。


すぐに目の前にヴォルド様が映し出された。

目の前にいるわけではないのに、空気がひりつくのを感じる。

緊張だけではない、冷徹な雰囲気に無意識に体が反応している。

俺たち3人とは違って立派な角についつい目が行く。

「あなたたちから連絡とは珍しい。どうかしましたか?」

「それが・・・人間を捕まえたのですが、魔力を吸ってるのに減らないのです。」

「ほお。」

ヴォルド様がわずかに眉を上げたのがわかった。

「もう随分吸ってます。最初から魔力が多いなと思っておりましたが、どうも底が見えないのです。」

「底が見えない魔力ですか・・・ふむふむ。」

ヴォルド様の視線がやや上がる。

「それはもしかすると、伝説の天恵かもしれませんね。」

「で、伝説・・・ですか?」

「人間たちには天恵という能力が備わってるのは知っていますね?時折、特殊な天恵を持つものが生まれます。私も文献で読んだ程度ですが、どうやら無限の魔力を持つ天恵が確認されたことがあります。」

「む、無限!?」

「ええ、無限です。・・・これはもしかしたらとんでもない拾い物かもしれませんね。そのものを連れてきなさい。詳しく調べて事実なら・・・魔王軍の切り札になるでしょう。」ヴォルド様が大きく微笑む。


ドカン!

けたたましい爆発音が入口から響き渡る。

「なんだぁ!」

一斉に振り返った瞬間、1人の首が宙を舞う。

「まずは1匹。」

「人間!?」

「くそったれ!」

蹴りを入れようとするも消えた。

捕えてた人間に視線を移すと、いつの間にかそいつがそばに立っていた。

とびかかろうとしたとき、背筋が凍り付く。

爆発のあった場所から、とてつもない濃度の魔力が現れた。

「その子を返してもらうぞ。」

聞き終えると同時に、何本もの雷撃が襲い掛かってくる。

逃げる間もなく、激痛とともに体が消えていく。

(一体何が・・・)

部屋のものが消し炭になっていくのが見える。

通信が途切れる直前、ヴォルド様の声がかすかに聞こえる。

「なるほど、あなたが隠していたのですか。」

しかしその声が届いたものは、本人以外残らなかった。

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