第6話 おそろい
リサは任務の報告を私が起きるまで待っていてくれた。
改めてマスターに転移石を渡した。
「うむ、ご苦労じゃったな。大変な部分もあったが無事でよかったわい。して・・・この転移石はおぬしたちにプレゼントじゃ。街の宝石商にでも持って行って、何か作ってもらうとよい。」
マスターは満面の笑みだった。
「いいんですか!ありがとうございます!」
「ちょっと!・・・本当にいいんですか?」全く遠慮のないリサに呆れながら尋ねる。
「はっはっは。構わんよ。これはおぬしたちの頑張った成果なんじゃからな。」
マスターの豪快な笑いに、半場押し切られるように受け取ってしまった。
リサに引っ張られるように、街の宝石店までやってきた。
建物自体はそんなに大きくないけど、きれいに掃除され、清潔感があった。
「いらっしゃいませ、ライラ様、リサ様。ゼフ様よりお話は聞いておりますよ。」
店に入って早々店主のパッジににこやかに迎えられた。
少しふくよかな体型、混じりけのない笑顔から人の好さがにじみ出ていた。
「素敵なお店ですね!あれもこれも!」
店内の落ち着いていながらもきれいにディスプレイされた宝石たちにリサは大興奮だ。
「そんなに褒めていただけると、なんとも気恥ずかしいですね。」
誰からも好かれそうな雰囲気、2人はよく似ていると思った。
「ゼフ様からは転移石を使って何か作ってやってほしいとお聞きしてますが、具体的な案はお決まりですか?」
あれよあれよという間に連れてこられた私は頭が真っ白だった。
こんなよさそうなお店でアクセサリーなんて・・・そもそもお金がいくらかかるのか。
そんな私の遠慮なんて知らず、リサはぐいぐい話を進める。
「ライラさん!ネックレスにしましょう!おそろいの!」
「ちょっとリサ!っておそろい!?」
思いもしない提案に動揺を隠せなかった。
そんな私を勢いに巻き込むように手を掴んで訴えてくる。
「いいじゃないですか?ね?」
勢いに押され、ただただうなづくしかなかった。
パッジが転移石をもって裏に引っ込むと、トンカントンカン、軽快なリズムで音が鳴る。
ほんの数分でシンプルだけど小綺麗な箱を2個持って戻ってきた。
「どうぞ。開けてみてください。」
箱の中にはトップに転移石を使ったシンプルなネックレスが入っていた。
転移石は決して大きくはないが、きれいにカットされて紫の輝きがより一層増している気がする。
「うわぁ!」
すごくきれいで思わず声が漏れる。
「めちゃくちゃいいです!」
リサは大興奮だ。
「いえいえ、気に入っていただけて良かったです。お礼はぜひゼフ様にも。お代はいただいてますので。」
パッジの一言に依頼を受けたときのことを思い出す。
もしかして・・・マスターのやさしさを感じざるを得なかった。
家に帰ってから、箱からネックレスを取り出して眺める。
透き通った紫の石に吸い込まれそうになる。
おそろいにしようと誘ってきたリサの顔が浮かび、今日あったことを思い出していた。
リサと組んで半年は経っている。
お転婆な彼女にいつも振り回されてるけど、最近それも慣れてきた。
最初は本当に嫌だった。
純粋で、明るくて、悪意がなくて・・・私にリサは眩しすぎた。
自分が惨めな気がした。
でも、彼女はいつも私に真正面から向き合ってくれる。
褒めてくれる。
(おそろいも悪くないかもね)
そんな風に思いながら、鏡の前に立っていた。
その夜、箱にはしまわなかった。
明日つけて行くのを忘れないために。




