第4話 進化
ーーー2人がダンジョンに潜り始めた少し後、
クエスト報告のためダイヤはギルドに戻ってきた。
いつも通り、受付のマーサさんと飲んだくれてるスタインしかいない。
閑散としているけど、ホームに帰ってきた実感が沸く。
「いや~今回は大変だったよ。」
「ふふふ、今回はどんな無茶をされたのチャコちゃん?」マーサさんがあきれ顔で微笑んでる。
「残念ながら、今回はダイヤのせいではありません。」
「残念ってなんだよ!」
チャコのやつはいつも一言余計だ。
同い年の癖に昔っから俺のことを子供みたいに扱ってくる。
いい迷惑だ。
「いつも迷惑かけてるのは事実でしょ。」チャコのいい方にムッとする。
「はいはい、喧嘩はそのぐらいにして。きちんとクエスト報告してね。」マーサさんが手を叩く。
「あんまり痴話喧嘩でマーサを困らせるなよぉ~」
「「うるさい!」」
スタインさんの余計な一言に思わず息が合う。
「それで、何が大変だったの?確か依頼は・・・オーリン渓谷でコボルトの討伐だったかしら?2人なら楽勝だと思ったけど?」
「楽勝でしたよ。コボルト程度に後れは取りません。」
「じゃあ何があったの?」
「あいつら・・・成長したんです。」
ダイヤは起きたことを包み隠さず話した。
コボルトを倒しているさなか、1匹の魔力が急に高まった。
黒い光を放ったかと思ったら、いつの間にか毛色が赤く変わっていた。
「・・・コボルトの色が変わった?」
「はい。毛の色もですが、体も二回りは大きくなってましたので、あれはグレートコボルトだったと思います。」チャコが記憶をたどるように宙を見た。
「グレートコボルトだなんて・・・危険度の高い魔物よ。怪我はないの?」
「複数いたらやばいですけど、1匹ならおれたちなら楽勝です!」
おれの返事にマーサさんは少し安心したようだ。
「魔物の・・・進化じゃな。」
いつの間にかマスターがマーサさんのそばに立っていた。
気配なく近くに来るのはびっくりするのでやめてほしい。
「進化・・・ですか?」
「そうじゃ。詳しい原因は分かっておらんが、魔力を多く持つことで存在そのものが変わる、それが進化じゃ。だがそんなのは大昔の記録にしか残っておらん。」
「何か問題が?」
マーサさんの顔から笑顔が消えてる。
「ある。記録によると、当時は各地に広がっていったとある。オーリン渓谷周辺はしばらく要警戒じゃ。」
「わかりました。他のギルドにも連絡します。」
そう言ってマーサさんはすぐに手紙を準備し始めた。
思ったよりも大ごとな雰囲気に息をのむ。
「それからオーリン渓谷じゃと近くのノービアースに行った2人が心配じゃ。スタイン!」
ぱっと振り返ると先ほどまで飲んだくれていたのがウソのように、ピシッと装備を整えたスタインさんが立っていた。
「心配すんな爺さん。サクッと行ってくるよ。」
「頼む。」
そういって颯爽とギルドから出ていった。




