↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライラと友達  作者: 角刈りチーズ
第一章 ほどほどの居場所
PR
3/25

第3話 はじめてのダンジョン

ーーーあれから、何年が経っただろう。

うきうきとした足取りで進むリサから一歩遅れて森を歩く。

どうしてあんなに元気なのか。

「今日はやけに元気だね。」

「当り前じゃないですか!ついに私もダンジョンデビューです!冒険者らしくなってきましたね。」

「そんなたいそうな依頼じゃないよ。」

眩しいほどの笑顔を向けられ、思わず目をそらした。


今朝、いつものようにギルドについたらゼフに呼び出された。

「お前さんたちにもそろそろダンジョンを経験してもらおうと思ってな。」

返事を聞く間もなく、唐突に依頼を受けさせられた。

ダンジョン、ノービアースで転移石の採取。

「転移石、きれいですもんね。」

「名前の通り転移につかえる伝説からきてるみたいよ。」

「さすがライラさん、物知りですね。」

毎回先輩と付けられるのもこそばくて、さん付けにしてもらった。

ノービアース、初心者向けといわれるだけあって、街からそんなに離れてない。

私が気持ちを切り替える前に入り口まで来てしまった。

入口の扉を開けると、想像以上に大きな洞穴が続いていた。

先が見えないほど暗く、じめじめしているが嫌な感じはしない。

地面のぬかるみに躊躇する中で、軽快にリサが進みだす。

「さあ、行きましょう!」

置いていかれないように、足を速めた。


「魔物です!」

リサの声に目を細めると、ゴブリン2匹とスライム1匹がこちらをにらんでる。

「先手必勝!」

「ちょっと!もう!」

急いでポケットから石を掴んで放つ。

投石の魔法によって、石は鋭くスライムを貫いた。

ゴブリンがチラッと横目にそれを見た刹那、リサの拳が1匹をとらえた。

ゴブリンがさっと棍棒を振り上げる。

しかし、リサはそれをもろともせずに回し蹴りで吹き飛ばした。

闘神流の師範代っていうのは本当なんだな。

前から強いと思っていたが、2匹を片付けた動きは見事だった。

でもそれは相手が弱いからこそだ。

「ちょっと!いきなり飛び出さないで。フォローできないじゃない。」

「いけそうな相手だったので・・・ごめんなさい。」

けろっとした謝罪だがきちんと反省するだろう。

軽いけど、まじめな子なのはわかってる。


魔物をさばきながら進んでいくと、三叉路にでた。

「全部回るのはさすがに大変ですね。ここは私に任せてください!」

返事を聞かずにリサがポーチに手を突っ込む。

「大丈夫なのそれ?」

「大丈夫です!私の願いをかなえてくれる魔法のポーチなんですよ。」

片側が壊れてる留め金が不安を煽る。

そんな気持ちはつゆ知らず、リサはスクロールを一つ取り出した。

「転移できるスクロールみたいですね。きっと石の場所までひとっ飛びですよ。」

「こら!いきなり使わない!」

私の声が耳に届く前に、2人とも光に包まれ消えた。


気づいた場所はより薄暗かった。

木の腐った臭いがする。

ダンジョンの中なのに、廃墟が広がっている。

動揺する私を他所にリサの声が響く。

「見てください!ありましたよ!」

暗闇でかすかに光る紫色、転移石が点在していた。

「やっぱりブギーバックは頼りになります。」

そう言ってリサが走り出す。

「安全確認が先!探知魔法を使うよ。」

私を中心に波紋が広がる。

反応が3つ、さっきまでのゴブリンとは違う異質な魔力を感じた。

近い。

「リサ!3体いる!強いよ!」

「・・・ミイラです!」

リサがさっとすぐに下がってきた。

暗闇から2匹の影が浮かび上がってくる。

ずるずると足音が聞こえる。

後ろにもう1匹いる、挟み撃ちにあってしまった。

「ライラさん、後ろにも!」

「そっちを先にやろう!援護するから行って!」

返事をする間もなくリサが背後に向けて駆ける。

私は両手を掲げて魔法を放つ。

ライト、周りを照らすだけの魔法。

ただちょっと、魔力を多く込めた。

とてつもない光が放たれ、前のミイラがひるむ。

背中に光を受けたリサの拳が後ろの1匹の体を吹き飛ばす。

2匹が迫ってくるが、リサが戻ってくる方が早い。すれ違いざまに叫ぶ。

「左を止めて!」

ポケットの石を鷲掴みにして右へ投げつけた。

投石の魔法によって、複数の石がミイラの体を貫く。

穴だらけになったミイラは立ってられずその場に崩れていった。

リサの方を向くと、倒したミイラが転がっていた。

動きの遅いミイラなど1対1なら彼女の相手ではなかった。

「楽勝でしたね!」

「油断大敵、囲まれたら危ないよ。」

急いで転移石を取って見回すと、出口は思ったよりも簡単に見つかった。


道中ミイラより強そうな魔物はおらず、あっという間に見覚えのある三叉路まで戻ってきていた。

「思ったよりもすぐでしたね。ブギーバック使わない方がよかったのかも。」

「本当に。戻ってこれなかったらどうするの。」

すみませんと頭を掻きながらいじらしく笑うリサを見て、私は呆れながらも自分の口元が少し緩んでいたことに気が付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。