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ライラと友達  作者: 角刈りチーズ
第五章 選ばれなかった者
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24/25

第24話 ガルヴァス

ーーー魔王からは何も感じられなかった。

ただただ無、私たちの攻撃を受けながらも意に介した様子すら見せない。

そもそも防御すらしていなかった。

バルドさんの私の目では剣筋の追えない連撃も、マスターのあたり一面を覆いつくす雷撃も、リアンさんとルシオさんのコンビネーションも、魔王をピクリとも動かすことはできなかった。

視線はずっと、聖剣をとらえて離さない。

そんな状況で、私の剣が当たるはずもない。

絶対に当てられないと私の直感が言っており、踏み込めなかった。


それは皆もわかっており、魔王の注意をそらそうと攻撃を続けている。

「ぬうう!埒が明かんぞゼフ!」

「わかっておる!じゃがこれは・・・オルディンの方がましじゃったな。」

マスターの額に汗がにじむのが見える。

「弱いな。」

発する言葉すら重い。

魔王のつぶやきが、体にずんとのしかかってくる。

その時初めて、魔王が腕を振るう。

「いかん!」

その瞬間、バルドさんが私の前に割って入るのが見えた。

すさまじい衝撃と共に、私は吹き飛ばされる。

お腹を殴られたような衝撃に、思わずえづく。

視界がぼやけながらも顔を上げると、目の前でバルドさんが血を流して倒れている。

剣が折れてしまっていた。

「・・・バルドさん!」

よろめきながら駆け寄る。

「・・・リサか・・・お主は、無事か。」

息も絶え絶えになりながらも、真っ先に私の心配をしてくれたことに涙がにじむ。

力強く頷いた。

「・・・わしでは、受け流せなんだ。」

「違います!バルドさんがいなかったら私もっと!」

そう言って言葉をつなごうとすると、先ほどのような衝撃音が聞こえる。

ぱっと顔を上げると、マスターやリアンさん、ルシオさんが吹き飛ばされて、地面に這いつくばっていた。

「・・・逃げるんじゃリサ。わしらでは・・・勝てん。」

バルドさんが声を振り絞っている。

(みんなを置いていけない。)

自分が何とかしないと、そう思って視線を上げると、目の前に魔王が立っていた。

防御しないと、そう頭では考えたが、私が動き出すよりも早く魔王の腕が私の脇腹をとらえていた。

頭の中でバキバキと何本も骨の折れる音が聞こえる。

「あ・・・」

そう思った瞬間には、吹き飛ばされ、何度も地面に打ち付けられていた。


止まったと同時に口から血があふれる。

(動け!動け!)

何度も頭で念じるけど、思ったように動かない。

何とかしないといけないという焦りで、痛みを感じる余裕もなかった。

がくがくになりながら、立ち上がったそこにはまた魔王が立っていた。

「立つか。」

そう言って僅かに口角が上がる。

「では。」

そういうと魔王が片手を天に掲げる。

その手にどんどん魔力が集まっていく。

大地から、草木から吸い上げているのか、地面が揺れている。

目の前に集まる強大な魔力の塊、魔王が手のひらを閉じると見る見るうちに小さく、鋭くなっていく。

そこにできたのは、槍というにはあまりにも禍々しい形のものだった。

「褒美だ。我はガルヴァス、我が槍を受けて死ぬがよい勇者よ。」

そう言って魔王は槍を掴んだ。


振りかぶられたとき、いろんなことを思い出した。

トレバーの町にきてからのこと、本当に楽しかった。

そこにはいつもライラさんがいた。

町での暮らし、ダンジョンでの冒険、どれもキラキラしている。

魔族から助けられなかったことに、涙があふれてくる。

それと同時に、怖くて、助けてほしくて祈っていた。

頭に広がるライラへの思い、それを自覚したそのとき、自分からまばゆい紫色の光が広がる。

その瞬間に見えたのは、世界で一番大好きな背中だった。

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