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ライラと友達  作者: 角刈りチーズ
第三章 狂信の国
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第15話 雷王

ーーーイゴンコウの郊外は信じられないほど静かだった。

目の前に転移してきた魔力から、あの子たちの成功を感じた。

(自分たちだけでやり切るとは、成長しよったわい。)

魔力の塊がこちらに向かってくる。

人ではあるが膨大な魔力を爆発させた結果、ボロボロに崩れかけてるようにも見える。

目が合うと、顔が驚きの色に染まる。

「貴様の差し金か!ゼフ!」

目を血走らせセドリックは怒り狂ってる。

「失礼な奴じゃ。あれはあの子たちが自分たちでなした成果じゃ。まあそうならずとも、わしだけでも動くつもりじゃったがな。」

「なにぃ!?」

「あの人は、教会の運営になど興味ないにきまっとる。糸を引くものがいることぐらい、想像に易い。」

「貴様~!」

怒り狂うその醜悪な姿、力を追い求めるあまり、周りが見えなくなるのはかつての自分にも重なりため息が出る。

「残念じゃがお前さんはここまでじゃ。少々やりすぎとる。」

「ふざけるなー!」

セドリックの体から魔力が噴き出してくる。

(まだこれほどの魔力を保持しておるのか。恐ろしい技術じゃ。)

「貴様がいくら強かろうと!この力があれば恐れるに足らん!・・・そこをどけぇ!」

「哀れな奴じゃ。魔力の量は、強さではない。」

そうして右手をセドリックにかざした。

「よく見ておれ。」

左手を天高くつき上げ、魔力を集中させる。

空よりすさまじい量の雷が手に落ちてくる。

その衝撃に昔の記憶がよみがえった。



ーーー40年前、師の魔法を見てその美しさに惚れた。

何もかも捨てて飛び出して、何度も頭を下げて弟子入りしたものの、炎から雷への変更は困難を極めた。

魔力量が決して多くないわしが、天恵を越えた魔法を使うなど正気の沙汰ではないと笑われた。

それに師はあまりにも長く生き過ぎており、あらゆることに興味がなかった。

わしにも。

弟子になったものの、見て学ぶだけ、教えるのは壊滅的に下手じゃった。


そうして20年経った頃、辞めたギルドからマスターにならんかと誘われた。

その頃のわしは荒んでおった。

どれだけ鍛錬を積んで、時間をかけても、師の出す小さな雷さえ再現できなかった。

それほどまでに師の魔法は美しかった。


泥水をすする思いに疲れ、弟子を辞めると告げたあの日。

言われるがままに外で見せられた技。

気まぐれなのか、意図的なのかはわしにはわからん。

いやどうでもよかった。

この技は師から教わった最初で最後の技なのだ。



ーーー受けた雷に魔力をまとわせ放出する。

「魔力とはこう使うのじゃ!」

雷は1匹の龍のようにうねり、そこにいたものもろとも消し飛ばした。

果てまで伸びた焦げ付いた地面だけが残っていた。


「さてと・・・」

一息ついて、背後の気配に集中する。

「お主はどうするつもりじゃ?」

何もなかったはずの暗い空から、立派な角を携えた魔族が手をたたきながら現れる。

「いやはや、さすが雷王といったところですね。いいものを見せていただきました。」

まとっている魔力の異質さに眉をひそめる。

(こやつ、かなりの手練れじゃな。)

そっと構えようとすると、魔族は手で制してくる。

「おっと、あなたとここで戦う気はありませんよ。お互い、何のメリットもありませんから。」

その笑みは不気味だが、嘘をついてるわけではないと感じられた。

「なんじゃ。計画をつぶされた腹いせでもしてこんのか?」

「ふふふ、なるほどなるほど。面白い推理です。しかし、残念ながら私は、いや魔族はこれには関わっていませんので。」

「なんじゃと?」

「もしかするときっかけはあったかもしれませんがね。ですが、ここまでになったのはあれの独断ですよ。あそこまで集まるとは!今後は参考にさせていただきましょう。」

「・・・今後じゃと?逃がすと思っておるのか?」

さっと構えて魔力を練りだす。

「ふふふ、いい土産も見つけましたし、近々もらいに伺いますよ。戦いはまたその時に。」

そう言って魔族の姿が消えかけていく。

「待てい!土産とはどういうことじゃ!」

「あなたが隠してるあれですよ。ふふふ。我が名はヴォルド、また会いましょう雷王よ。」

そう言ってすっかりその場から消えてしまった。

(あれほどの魔族が何用でこんなところに・・・それに土産じゃと。)

ここ最近あったことを思い返す。

魔族が好むもの、魔力に関係するもの、そんな中で奴らが欲しいものなんて・・・

「まさかライラか!」

(調べる必要がある。)

わしは急いでイゴンコウに戻った。

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