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一儲けしたので

 今回はちょっと下の話から……。

 ダンジョンで困ることと言えば、なんといってもトイレである。


 トイレの時は、さすがに単独行動になる──か、少なくとも行為の最中はそれを見ないように、パーティーメンバーは視線を外すようにしている。

 その隙に魔物に襲われている……という事例は、たまにあるらしい。


 そんな訳で、そのような悲劇を少しでも減らす為に、ダンジョン内には探索者協会が設置した仮設トイレが点在している。

 まあ、清掃が行き届いていないので、臭い・汚いと、非常に評判は悪いし、極稀にその仮設トイレに罠を仕掛ける魔物も存在するらしい。

 しかも当然ながら、人類の未踏領域にはトイレなんて設置されていない。


 そこで──。


 ●アイ:どこでもトイレー!


 俺は「アイテムボックス」の中に仮設トイレを収納し、好きな時に取り出して使えるにした。

 これでダンジョンの地面に、直接垂れ流すようなことをしなくても済む。


 ただ、「アイテムボックス」の中には食料も入っているから、それと一緒の所に入れのはちょっと気持ちが悪い。

 だけど神様達の話によると「内部で混ざらないように、それぞれが隔離されているから大丈夫」とのこと。


 実際、水をそのまま収納しても、他の物が濡れることは無かったので、その通りなのだろう。

 それでも気分の問題はあるので、仮設トイレを収納する前には「浄化」のスキルで綺麗にしている。


 だからトイレに関しては、あまり困ってはいないのだが、今はスカートを穿(は)いているので、小の方を立ちながらすることはできない。

 その辺は猪狩君も同じようで、スカートの扱いに結構手間取るのか、仮設トイレに入ると出てくるまでが長い。

 まるで大の方をしているかのように。

 だからなのか猪狩君は、毎度恥ずかしそうにしながら出てくるのだった。


 ●:恥じらっている子って可愛いよね……


 ●:いい……


 ●:本来は堂々としていてもいいはずなんだがな……


 ●ナウーリャ:学校のトイレで男子が個室に入ると、からかわれるという風潮がありましたっけ……


 ●エルシー:あれは悪い文化でしたね


 ……色々と同意したくなる話だが、それはさておき──この仮設トイレの購入には30万円ほどかかった。

 買って損は無かったが、探索者活動をしていると思わぬ出費を強いられるなぁ……。


 だが、今回手に入れたユニコーンの素材で、おつりがくるほどの収入になるだろう。


 実際の所、翌日になってダンジョンから帰還し、ユニコーンの素材を協会の買取カウンターへ査定に出したら──、


「角1本400万円、肉などで80万円ですね」


「そんなに!?」


 係員さんが提示した金額に、俺は驚愕する。

 さすがレアモンスターの素材だ。


 というか、角から作られるという、万能薬が貴重なのか。

 症状が進行していない状態なら、不治の病すらも完治させるらしいし、むしろ400万でも安いくらいだが、所詮は素材は素材にしかすぎないという事か。

 薬師とか作る人の卓越した技術があってこそ、実現できるものらしいしなぁ……。


 あれ……?

 そのスキルを手に入れて、自前で万能薬を作れば、大儲けできる……?


 ……いや、獲得に必要なスキルのポイントが9000万だから、今すぐには無理だな……。

 

 ともかくユニコーンは4頭倒したから、角だけでも1600万円。

 肉などで320……いや、1頭分は神様達に奉納するので、240万円か。

 1日で2000万円近い稼ぎとなる……が、当然パーティーで分配しなければならない。


 でも、ユニコーンは俺と猪狩君に引き寄せられた可能性が高いらしいので──。


「半額は猪狩君が受け取ってね?」


「えっ、私はそれほど役に立てなかったので、そんなに貰えませんよ!

 せめて頭割りにして、私はその半額でいいです」


 そんな遠慮しなくても……とは、素直に言えない部分もある。


 ●:まあ、子供に大金は、金銭感覚がおかしくなるからあまり良くないね


 ●:大金を持つと、人間関係もおかしくなるぞ

 急に親戚が増えたり


 そうなんだよなぁ。

 教育上、良くないよなぁ。

 しかし頭割りとはいっても、コボルト達はほとんどお金なんか使わないし、実質的に俺が管理することになってしまう。


 それじゃあ悪いから、コボルト達の分の半額は、茲富(こことみ)さんを通して猪狩君の親御さんに預かってもらおうかな……。

 それでも断られるようなら、探索者協会に寄付でもしよう。

 

 だけどその上でなお、今回の収入は大きい。

 やはり一軒家の購入を本格的に進めるべきだな。

 あのユニコーンの狩場で繰り返しユニコーンを狩れば、一括払いで中古の家を購入することも可能だろう。

 ドッグラン付きの庭で、コボルト達を遊ばせるのが夢なんだ……。

 晴れの天気予報を信じて外出したら、雨に降られた……。

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