表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/54

良心の呵責

 ダンジョンで休憩していたら、何かが近づいてきた。

 それも「カコッ、カコッ」という音を立てて……って、これは(ひづめ)の音じゃ?


 実際、暫くして通路の奥から見えてきたそのシルエットは、まさに馬だった。

 ただし、(ひたい)に1本の角が生えていたけど……。


 ●:こっ、これはユニコーン!!


 ●アイ:ガ○ダムがなんだって?


 ●エルシー:一角獣星座の邪○ですと?


 ●ナウーリャ:手塚○虫が原作の作品ですね


 ●:ちげーよ、処女厨だよ!


 ●:女の子も見ているから、言葉には気を付けような?


 うん、確かユニコーンって、男性経験の無い女性にしか心を開かないという、馬の魔物だよな。


「ゆ、ユニコーン!?

 角が万能薬の材料として高く売れるけど、滅多に現れないというレアモンスターですよ!!」


 お、普段は大人しい猪狩君が、テンションを上げている。

 それほどまでに貴重な存在なのか……。


 ●マルル:ある意味メタル○ライム的な感じかな?


 ●ナウーリャ:どちらというとゴー○ドマンでは?


 ●:馬刺し! 馬刺し! 10000P


 ●:桜鍋ぇ!! 6000P


 あっ……神様達が、馬肉を所望されている……。

 う~ん……。

 魔物を狩るのは(やぶさ)かではないのだけど……。


「お兄ちゃん、あの馬……敵意を感じないんだけど……」


 それなんだよなぁ……。

 どうもユニコーンから、攻撃しようという意思が感じられないのだ。


 ●:おや?

 ほぼ(けもの)のコボルトや、妖精の水杜(みもり)ちゃんがユニコーンの攻撃対象にならないのは当然として……


 ●:当然なのか?


 ●:動物や魔物とかに対しては、危害を加えられない限り、敵対しないいのよ

 でも、人類は自然破壊をするから、基本的には嫌っている

 純粋な乙女には心を開くようだけど……


 ●:純粋なショタじゃ駄目なんですか!?


 ●:ショタでも良いからナオちゃんやランちゃんに(なつ)いているのか、それとも普通に乙女認定されているのか……


 ●:過去にはショタが襲われたという事案もあるから、これは後者かな?

 そのショタがクソガキだったから……という可能性もあるが……

 でもユニコーンから見ても、ナオちゃんとランちゃんが女の子にしか見えないレベルの可愛さだったという可能性の方が高いな


 ●:可愛いは性別を超越する!


 ●:というか、ユニコーンってナチュラルに性差別主義者だよな……

 なのに聖獣扱いされることもある謎……


 ……うん、女子認定されるのは、あまり嬉しくない……かなぁ……。

 ただ、ユニコーンは完全にこちらを警戒していないので、倒そうと思えば簡単に倒せるだろう。

 だけどなんかこう……自分に懐いている動物の気持ちを裏切るようで、凄くやりにくい……。


 実際、ユニコーンは頭を下げ、俺や猪狩君にすり寄るような仕草を見せた。

 万が一男だと見破られて、襲い掛かってこられても困るので、直前で()けたけどね。


 しかしホントどうしよう、これ……?

 正直言って、ユニコーンの素材は大金になるらしいから、凄く欲しいというのが本音なんだよなぁ……。

 だけど倒してしまうと、かなり良心が痛むことに……。


 ●ナオ:あの……こいつ、どうしたらいいと思います?

 無抵抗な敵を殺すのはちょっと……


 ここは神様達に相談してみよう。


 ●:気にせずにやっちゃえ


 ●:こいつはナオちゃん達じゃなければ、普通に襲いかかってくる害獣やぞ


 ●ナオ:森の守護者とか、そういうのじゃないんですか?


 ●:自然界ならそういう役割をすることもあるけど、ここはダンジョンだから関係ないぞ


 ●:森の中ならともかく、ダンジョンではただの魔物だね

 そして一度ダンジョンに住み着いた魔物は、元の生息域に戻ることはほぼ無いらしいよ

 むしろダンジョンの特殊な環境の所為で、狂暴化することも多いとか


 そっか……そういうことなら……。


「倒すので、一応警戒を」


 周囲にそう呼び掛けはしたが、全員が戦闘態勢に入るとユニコーンに感づかれる可能性が高いので、俺は即座に攻撃へと移る。

 「アイテムボックス」からコンバットナイフを取り出し、ユニコーンの首を斬りつけた。


 直後、パックリと裂けた首の傷口から、大量の血液を溢れさせてユニコーンは昏倒した。

 なるべく苦しまないように、倒すことはできたと思う。

 

「凄く……手際がいいですね……!」


 猪狩君が感心したような声を上げた。

 いや……結構凄惨な場面だったと思うんだけど、さすがに俺よりも探索者歴が長いので、グロ耐性もある程度は持っているようだ。

 そういうことなら──。


「猪狩君、解体をやってみる?」


 魔物の解体は大変な作業だ。

 だからそれを猪狩君へ押し付ける……のではなく、戦闘で活躍できていない彼にも、役割を与えてあげようと思ったのだ。


 本当なら、何も活躍できなくて、居心地の悪さを感じてパーティーを抜けてくれた方が都合がいいんだけど、なんとなく彼を(ないがし)ろにするのは、気分が良くないんだよな……。

 別に彼に落ち度がある訳でもないのだから……。


 そんな俺の葛藤を知ってか知らずか──、


「はい、頑張りますね!」


 猪狩君は、笑顔で応じた。

 くっ……可愛いな。

 なんか色々と卑怯だよ、その可愛さは。




 なお、その後にユニコーンは3頭も現れた。

 レアな魔物だというのに、偶然とは思えないほどの出現率だ。

 もしかしたら俺と猪狩君のどちらかに……あるいは両者が揃ったことによる相乗効果で引き寄せられたのではないかと思えるほどだぞ……。


 ●ナーウリャ:これはユニコーンホイホイですね


 と、嫌な称号を(たまわ)うこととなったが、勿論嬉しくは無かった……。

 庭で野生の生きたカマキリを初めて目撃しました。死んでるのなら去年も見たけど、今まで再会の機会は無かったですねぇ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ