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勇気を振り絞って

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 査定の結果、俺が持ち込んだ魔物の素材は、500万円ほどになった。

 しかもこれでもまだ、オークウルフの価格が含まれていない。

 

 新種というか突然変異の特殊個体というか、とにかく前例が無い魔物なので、値段の設定が難しいらしい。

 それでも希少な素材なので、一体だけで数百万円は確実だとか。


 ●:ナオちゃん、ニッコニコやん


 ●:可愛い 5000P


「そりゃあ、たった数日の働きで、年収を上回る金額ですからね。

 ボクの捜索費用を払ってもプラスですから、嬉しいのも当然ですよ」


「よかったね、お兄ちゃん」


 ●:妹ちゃんも良かったね


 ●:すっごく心配していたもんね


「いや、それは……!」


 照れ隠しなのか水杜(みもり)は顔をそらして否定するような素振りを見せるが、身内が行方不明になった状況で心配しない訳は無いよな……。


「ごめんな、水杜……」


 普通なら頭の1つでも撫でてやりたいところだが、今は「幻術」で姿を変えているので、何処に本当の頭があるのか分からないんだよなぁ。

 迂闊に手を出すと、うっかり叩き落してしまいかねない。


 やっぱり水杜だけは、妖精の姿から早く人間の姿に戻してやりたい。

 ポイントを借金してでも、稼ぎのいいスキルを取得すべきか、本当に迷う……。


 それはさておき、ここは探索者協会支部のロビーだ。

 まだマヤさんとコボルト達の入国手続きが終わっていないので、その待ち時間な訳だが、早く家に帰ってゆっくりしたいね……。

 この半分猫の身体(からだ)になってからは、惰眠をむさぼるのが何よりも至福なので、帰ったら2~3日は1日中ゴロゴロとしたい。


 なんなら今すぐ、居眠りしたいのだが……。

 そんなことを考えていると──、


「あの……神無月さん?」


 声をかけられた。

 その声の主は──、


「君は……猪狩君?」


 茲富(こことみ)さんの甥っ子だという、猪狩走(いかりらん)君だ。


「少し、お話があるのですが……」


 猪狩君はチラリと水杜の方を見た。


「ああ、じゃあ私はコボちゃん達の様子を見てくるよ」


 と、水杜は気を利かせて、席を外す……って、親しくもない未成年の子と2人きりにされても気まずいんだけど……?


 ●:走くんちゃんだ!


 ●:男の娘が集結したね


 ●:可愛い子が2人……何も起きないはずもなく……


 ●:走ると書いてランと読ませるとは、キラキラなネームだなぁ

 普通は読めねぇ


 ●ナウーリャ:ランちゃんといえば、『うる○やつら』を思い出しますね……


 ●アイ:二面性のある子だよね

 この子は素直な性格だといいけど……


 ……って、配信が続いているってことは、水杜のやつ、「幻術で」で姿を消してどこかから見ているな……!?

 俺にもまったく気配を感じさせないとは、やるようになったものだ……。


 しかし、これは配信されていいのか?

 これから猪狩君が話す内容によっては、プライベートに関わると思うが……。


 でも俺1人にされるよりは、マシかもしれないし……。

 正直言って10歳以上は年が離れていそうな子と、どう接していいのか分からないし、配信なら神様達からの助言も期待できる。

 どのみち、神様達が本気で話を聞こうとしたら、それを防ぐ手段なんて無いしな……。


「座ったら、どう?」


「あ、はい。

 失礼します」


 と、猪狩君は、俺が座っていた長椅子の──その隣に腰を下ろした。

 その後、沈黙が続く。

 こちらからは特に用も無いし、()かすのもどうかと思い、話かけることはできなかった。


 ……というか、こんな若い子と会話するような状況なんて、妹以外ではこれまでの人生では無かったからな……。


 そんな訳で、俺は沈黙を守っていたのだが、隣にいる猪狩君はなにやらモジモジとしていて、一生懸命何かを話そうと、口を開けたり閉じたりしている。


 う~ん……なんだか猛烈に嫌な予感がするぞ……。


「あ、あのっ!!」


「は、はいっ!?」


 猪狩君が、思い切ったように声を上げた。

 緊張しているのか声が必要以上大きいし、ちょっと上擦ってもいる。


「スマホの連絡先を交換してくれませんか?

 交際を前提に、お友達になってほしいです」


 ああ……やっぱり。


 ●:BL展開きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 50000P


 ●:┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐┌(┌^o^)┐ 30000P


 ●:待て、ナオちゃんのことを、女子だと勘違いして一目ぼれしただけじゃないか!?


 ●:だとしても、ロリコンでは……?

 今のナオ君、下手をしたら小学生の見た目だぞ?


 ●:まあ、ランくんちゃんも半分ロリみたいなものだし、バランスは取れているのでは?


 なんだか生まれて初めて告白されたけど、これは困ったことになったぞ……!

 ヒロイン登場。


 あと、飼っていたヒメタニシが増えていました。卵生ではなく胎生なので、ある日突然出産して水槽の中で増えている。そして増えたと思ったら今度は大人のタニシが減っていて、さがしたら水槽の外へ脱走していた……。陸上でも殻に閉じこもっていれば何日も生きるので、大事には至らなかったが……。

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