そして帰国
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水杜達と合流した俺達は、日本への帰路に付いた。
その道中──、
「『転移』魔法が使えるのですか!
それならば我が国の要人を、異世界まで送迎する依頼を受けてくれませんか?
報酬ははずみますので!」
「暇な時なら構わない。
ダンジョン内の移動は力場の問題で難しいが、ダンジョンの外からなら世界をまたぐことも可能なはずだ」
●レナ:はい、可能ですよ
一度行ったことがある場所なら、空間を越えて移動できますので
●エルシー:異世界とはいっても、実際には宇宙空間でつながっている場合も多いですからね
完全に隔絶している訳ではないのです
茲富さんとマヤさんが、仕事の話をしている。
はえ~「転移」のスキルか……。
俺も習得すれば、国からの依頼を受けて大金を手に入れることが可能かな?
取得する為に必要なポイントは8000万Pだが、国からの依頼を受けるのならすぐに元が取れる。
まあ、神様からの借金は必要だが、結果的には他の借金も早く返済できるんだよなぁ……。
それに好きな時に異世界へ行って、マヤさんに修行を付けて貰えるのなら、それも悪くない。
いや……でも借金は怖いな……。
せめて半額くらいは自力で貯めてからにした方が、精神的には楽かな……。
そんなことを考えていると、視線を感じた。
その視線の方を見ると、猪狩走……君だったっけ?
茲富さんの甥っ子だという……。
見た目が美少女なのに男の子だということで脳がバグりそうになるが、そんな彼がこちらを見ていた。
しかし、俺が気付いたことを察した彼は、すぐに目を逸らす。
獣人が珍しい……?
いや、それなら、マヤさんやコボルト達もいるし……。
まさか同じ男の娘属性を持つ者同士、なにか思うところがあるのだろうか?
しかしその辺のことは、本人に直接聞いてみないと分らない。
だけどいい年下大人が、未成年者に声をかけるのは、ちょっと躊躇うわ……。
今の見た目ならそんなに違和感は無いのかもしれないが、普通ならば事案になりかねないからな……。
そんな訳で、こちらからは声をかけることができず仕舞いだった。
それはともかく、帰路は順調に進むことができた。
元々、茲富さん達が通ってきた道なだけに、ある意味攻略済みのルートだし、出現する魔物も少なかったのだ。
おかげでさほど苦労することもなく、俺は久しぶりに日本の土を踏むことができた。
●アイ:ニッポンよ私は帰ってきた!
●ナウーリャ:あなたが、ではないですねぇ
●:ナオちゃん、お祝いにまた回天寿司屋とかに行こうぜ
●ウルティマ:そしてお供えしてください
うん、神様達にはお世話になったから、お供えはやぶさかではない。
というか、俺自身も日本食が恋しい。
いや、「アイテムボックス」には多少在庫が残っているし、ダンジョン内でも少しずつ食べてはいたが、非常食だと思うと好きなだけ食べるということもできなかったからなぁ……。
「それではマヤ様とコボルト達の入国手続きをしますので、別室へどうぞ。
私のコネで、さほどお時間は取らせませんので」
と、茲富さん。
実にありがたいね。
マヤさんはともかく、コボルト達は我が家に住む予定になっているので、本来なら煩雑な手続きが必要になるのだろうけど、その手続きが簡単になるのは嬉しい。
「ナオ君は待ち時間で、ダンジョンでの収穫を査定したらどうでしょう?」
「ああ、そうですね」
俺の「アイテムボックス」の中には、なんだかんだで100匹近くのオークや狼、巨大蟻などの魔物が入っている。
質の良い魔物の肉や毛皮などは高く売れるらしいので、解体をプロに任せて手数利用を取られたとしても、魔石だけを持ち込むよりはいい収入になるだろう。
「え……こんなに倒したのですか?」
●:係員さん、ドン引きである
●:オークなんて新人探索者がソロで倒せるような相手じゃないし、ましてや数十匹単位なんて無理だろうからね……
「しかもこれ、新種……!?
これは研究用に、高額の査定になると思いますよ!」
オークウルフはマヤさんが倒したけど、マヤさんがいらないというので、ありがたく素材をいただいた。
それを俺の功績としてカウントするのもどうかと思うが、マヤさんから修行をつけてもらった今なら俺でも倒せると思うので、まあいいか……。
勿論マヤさんには、何らかの形でお礼はするけど。
「これなら国に申請すれば、中級探索者に認定されると思いますよ。
納税面など、様々な優遇が受けられます。
ただ、緊急時には、協力要請を受ける義務も生じますが」
協力要請というと、今回の捜索やお迎えみたいなこととかかな?
俺も助けられている立場なので、協力するのは吝かではないが。
報酬もちゃんとでるようだから、余程理不尽な要請でなければ断る理由も無い。
「申請手続きは、代理で行うこともできますよ。
勿論、手数料はいただきますが」
「では、お願いします」
こうして俺は、探索者として一段上のステージへと、一気に駆け上がることになる。
結果的に転移の罠に引っかかったのも、無駄ではなかったということだな。
いや、各所に心配をかけたので、大きな声で「良かった」とは言えないけどさ……。
鉢植えで育てたチンゲン菜から採取した種をまいて、ようやく芽が出た……と思ったら病気が発生して破棄することに……。今、熱消毒した土でやり直しています。




